1976年。ギター2人の5人編成。レコーディング中にキーボードが加わり6人編成。ボーカルのリック・ロバーツはフライング・ブリトウ・ブラザーズのボーカル兼ギターだった人。ギターのジョック・バートレーはゼファーのメンバーで、トミー・ボーリンの後任だった人。ベースのマーク・アンデスはスピリット、ジョ・ジョ・ガンのメンバー。ドラムのマイク・クラークはバーズ、フライング・ブリトウ・ブラザーズのメンバー。無名なのはギターのもう1人とキーボードだけ。アコースティック・ギターとコーラスを中心としたウェスト・コースト・ロック。パーカッションも入る。本格的なカントリーやブルー・グラスなどはない。あくまでもロック。オープニング曲の「イット・ダズント・マター」なスティーブン・スティルス&マナサスの曲で、ボーカルのリック・ロバーツはこの曲を共作している。リック・ロバーツのボーカルはやや高く、哀愁を帯びている。「リヴィン・エイント・リヴィン」「シンデレラ」「メキシコ」「ユー・アー・ザ・ウーマン」収録。
1977年。ホーン・セクション、ストリングス、マリンバ、女声コーラスを取り入れ、曲の幅が広がった。典型的なイーグルスのような曲が多かった前作に比べれば、ポップさと泥臭いカントリー風サウンドが同居している。メロディーがあか抜けているのでポップになった印象が強い。「ジャスト・リメンバー・アイ・ラヴ・ユー」「ソー・ロング」「サムデイ・スーン」収録。
1978年。前作ほど音に手を広げず、最小限にとどめた。ホーン・セクションやストリングスは少ない。もともとキーボードがサックス、フルートも兼任しており、そのサックスとフルートぐらいにしか管楽器は出てこない。したがってサウンドにまとまりが出ており、ポップなウェスト・コースト・ロックの名盤になった。代表作。「ストレンジ・ウェイ」「グッドバイ、アイ・ラヴ・ユー」「スウィート・アンド・サワー」収録。
1980年。サウンドではなく曲調の幅が広がったが、前作がウェスト・コースト・ロックの雰囲気でまとまっていたのに対し、このアルバムはジャンルをまたがっている。ロックン・ロールからアコースティック・ギター中心の曲まであり、同時代に聞けば変わったという印象を持たれてもしょうがない。
1980年。ベースのマーク・アンデスとドラムのマイク・クラークが交代。マーク・アンデスはハートに加入。ウェスト・コースト・ロックの雰囲気はあまりなく、普通のロックバンドになった。10曲のうちリック・ロバーツの作曲は3曲で、これまでで最も少ない。ウェスト・コースト風のサウンドを持っていたのはリック・ロバーツであったことを感じさせる内容だ。「オールド・ウィング・マウス」はジミー・ウェッブ作曲。「ステイング・ウィズ・イット」はトム・スノウ作曲。このアルバムで解散。
1981年。ベスト盤。
1982年。ギターのジョック・バートリーが再結成。3人編成で、全員がギターとボーカルの担当。ベース、ドラム、キーボード、パーカッションはゲスト・ミュージシャンが演奏している。かつてファイアフォールのメンバーだったリック・ロバーツやキーボード兼フルートのデイブ・ミューズ、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングのスティーブン・スティルスが参加している。ウェスト・コースト・ロックではないオーソドックスなロック。コーラスは以前のように爽快。「アンダートウ」と「クラウズ・アクロス・ザ・サン」のサウンドからリック・ロバーツの哀愁とロックン・ロールを除いたような曲が多い。ヒットしそうな曲が並ぶ。
1983年。ドラムが加入。4人編成。ゲスト・ミュージシャンを使っているのは主にベースだけになった。ドラムはエレキ・ドラムの音で、キーボードもシンセサイザー中心の音。多分に人工的なサウンド。このアルバムだけはファイアフォールと別のバンドのように聞こえる。ギターよりドラムとキーボードが目立ち、ポップスとなった。
1992年。新曲1曲を含むベスト盤。ヒット曲が時代順に並んでいる。