FANFARLO

  • 男性4人、女性1人の5人編成。イギリス出身。
  • キーボード、ギターをはじめ多数の楽器を用いるが、サンプリングも使う。室内楽的インディー・ロック。

1
RESERVOIR

2009年。ギター、ベース、ドラム、キーボードの基本的楽器のほか、バイオリン、トランペット、サックス、マンドリン、鉄琴、鍵盤ハーモニカ等を使い、伝統的アコースティック楽器を多用した平穏なサウンド。メンバー全員がコーラスを取れるが、ボーカルの男性をサビで補強する程度のコーラスだ。比較対象にされるアーケイド・ファイアやブロークン・ソーシャル・シーンほどの近寄りがたさはなく、どの曲もポップと呼べるが、単純なポップさではないところが引き合いに出される理由だろう。デビュー盤であるため、実現できるサウンドには限界があっただろうから、これからの発展が期待される。日本盤は曲ごとに作曲者のコメントが付いており、文学からの着想が多いことがうかがえる。ジャケットの右側はシガー・ロスのヨンシーの妹で、シガー・ロスのバンド名の由来となった人。日本盤は2010年発売。

2
ROOMS FILLED WITH LIGHT

2012年。実際の楽器の音とともにサンプラーで採取した音も多用し、バンドサウンドとそれに近い人工音が同時に響く。人間による音に近い人工音は、現代の社会で言えばアンドロイドであり、人間に近づけば逆に人間との差が違和感となって立ち現れてくることの効果を生み出す。「デコンストラクション」はジャック・デリダの「脱構築」。バンド名をボードレールの小説から借用しているくらいなので、文学や哲学には関心が高いのだろう。キーボードの女性がデュオのようにコーラスを取るようになった。ジャケットは高知県大川村の三ツ石橋で、吉野川の早明浦ダムに架かる。

3
LET'S GO EXTINCT

2014年。シンセサイザーやサンプラーの量が増え、バイオリンや鉄琴などは少なくなっている。アコースティック楽器を中心に演奏するバンドとは言えなくなってきているが、リズムが電子音に置き換わるようなことはない。オープニング曲は6分を超える。キーボードの女性によるボーカルが多くなり、「ライフ・イン・ザ・スカイ」「ウィア・ザ・フューチャー」「ランドロックト」「グレイ・アンド・ゴールド」ではデュオに近い。曲によってはロック寄りのベル・アンド・セバスチャンだ。「ミス・オブ・マイセルフ」はエレクトロニクスを駆使した曲。ハイライトは哀感を帯びた「ザ・ビギニング・アンド・ジ・エンド」だろう。初回盤は4曲収録のEP盤が付いている。