1993年。フェイス・ヒルはアメリカのカントリー歌手。1967年生まれ。オープニング曲からアップテンポだ。「愛の瞬間」はタイトルのイメージとは異なり、ロックン・ロールだ。ギターの弾き語りに近いサウンドは「瞳をそらさないで」だけ。フェイス・ヒルが作曲にかかわっているのは10曲のうち2曲で、「アイヴ・ガット・ディス・フレンド」では男性ボーカルとデュエットしている。「ピース・オブ・マイ・ハート」はアーマ・フランクリン、ジャニス・ジョプリンの「心のかけら」のカバー。「ワイルド・ワン」は大ヒット。日本盤は1998年発売。
1995年。曲調は変わらないが、コーラスやキーボードがやや目立つようになった。フェイス・ヒルは作曲にかかわっていない。前作がヒットしたので、10曲のうち5曲がシングルになっている。アナログ時代の収録時間で、10曲36分。日本盤は1998年発売。
1998年。スチールギター、バイオリン、キーボードを中心にポップになり、大ヒットした。作曲にダイアン・ウォーレン、アルド・ノヴァ、シェリル・クロウがかかわり、フリートウッド・マックのビリー・バーネット、デラニー&ボニーの娘のベッカ・ブラムレットも参加している。フェイス・ヒルのボーカルも抑揚が大きくなった。「アイ・ラヴ・ユー」はホーン・セクションが目立つ。「ジャスト・トゥ・ヒアー・ユー・セイ」は夫でカントリー歌手のティム・マッグロウとデュエットし、17人のストリングス奏者が参加している。「シークレット・オブ・ライフ」はグレッチェン・ピーターズのカバー。このアルバムで日本デビュー。
1999年。「フェイス」が大ヒットしたのを受け、アルバムタイトル、曲順、収録曲を変更した再発盤。「フェイス」から「ユー・ギヴ・ミー・ラヴ」「マイ・ワイルド・フロンティア」「ジャスト・トゥ・ヒアー・ユー・セイ」が削除され「ラヴ・ウィル・オールウェイズ・ウィン」「ピース・オブ・マイ・ハート」「イット・マターズ・トゥ・ミー」が追加されている。ほとんどの曲はポップス寄りに編曲されている別バージョン。「ピース・オブ・マイ・ハート」は「テイク・ミー・アズ・アイ・アム」収録曲とはバージョンが違う。「レット・ミー・レット・ゴー」は映画で使用したバージョンと「フェイス」に収録されたバージョンの2曲が入っている。
2000年。女性ボーカルのアルバムという雰囲気になり、カントリーポップの要素は少なくなっている。それでもリズム・マシーンやエレクトロニクスはほとんど使われず、バンドサウンドで貫かれている。曲ごとにミュージシャンが表記されており、マイケル・ランドウも参加している。「アイ・ガット・マイ・ベイビー」「ザ・ワイ・ユー・ラヴ・ミー」「ブリンギング・アウト・ジ・エルヴィス」などはロックだ。「イフ・アイ・シュッド・フォール・ビハインド」はブルース・スプリングスティーンのカバー。ブックレットはカントリー系の女性歌手としては露出が大きい。
2001年。邦題「永遠に愛されて~パール・ハーバー愛のテーマ」。シングル盤。映画「パール・ハーバー」の主題歌。ダイアン・ウォーレンが作曲したバラード。
2001年。邦題「永遠に愛されて~ザ・ベスト・オブ・フェイス・ヒル」。ベスト盤。
2002年。シングル盤。「ウィキッド」は「クライ」の日本盤ボーナストラックとして収録されている。「シャドウズ」はバラード。
2002年。カントリーポップから完全に離れ、ポップスの歌手になった。エレクトロニクスを本格的に取り入れ、バンドサウンドもエレキギターとキーボードが中心。アコースティックギターやスチールギターはわずかだ。サウンドに合わせてボーカルは声を大きく張り上げる。セリーヌ・ディオンやホイットニー・ヒューストンを目指しているのか、ジェニファー・ロペスやクリスティーナ・アギレラに対抗しようとしているのか、どちらにしろ無謀のように感じられる。
2003年。シングル盤。「ストロンガー」はライブ。
2005年。カントリーに戻り、アコースティックギターやスチールギター、マンドリン、バイオリンがメロディーを主導する。ドラムやピアノも使っているのでカントリーポップにとどまっているが、前作からは大きな揺り戻しだ。「ミシシッピー・ガール」はフェイス・ヒル本人のこと。歌詞は卑近で、歌い方もシンガー・ソングライターに近い。
2007年。ベスト盤。
2008年。クリスマス・アルバム。