1995年。ギター2人とボーカルの3人組。ベースとドラムとキーボードはいない。メンバーが一時的にいないのではなく、最初から意図してこうした編成になっている。中心人物はギターの2人で、両方ともレインボーとブラック・サバスとカンサスに影響を受けているという。特にブラック・サバスはロニー・ジェイムス・ディオがボーカルの時代とことわっている。ボーカルはブラック・サバスのトニー・マーティンにとても近く、サウンドもその時代のブラック・サバスに近い。キーボードはほとんどがハモンド・オルガンを使用する。ブラック・サバスと違う点は、7人の弦楽器奏者と5人の管楽器奏者、その他楽器奏者が5人参加していること。曲に挿入されるクラシック調の部分と民族音楽の部分はキーボードではなく各楽器奏者が演奏している。アルバムタイトル曲は4分の器楽曲で、ボスニア・チェンバー・オーケストラが演奏している。メンバー写真も中世ヨーロッパ調。ジャケットに描かれている「1010011010」は2進法と思われる。10進法に直すと「666」。
1997年。ボーカルの歌い方は変わらない。キーボードも教会オルガンやチェンバロの音を使うようになった。しかし、サウンドはポップになっている。曲もトニー・マーティン時代のブラック・サバス風ではなく頻繁に曲調が変わるロック。「キング・コング・ソング」はアバのカバー。モアニ・モアナとしてのアルバムはこれが最後となるが、メンバーのトミー・レーンはこのアルバム収録の「アングトリア」をバンド名にしたデビュー盤路線の新しいバンドを結成している。ボーカルは元クレイドル・オブ・フィルス、セリオンの女性ボーカルで、モアニ・モアナのボーカルも参加している。このアルバム収録曲では「アングトリア」が最もデビュー盤に近く、ストリングスも弦楽器を使用している。
2004年。モアニ・モアナ、ワザリング・ハイツのギター、ヘンリック・フリーマン主導のバンド。ボーカルはロイヤル・ハントのヘンリック・ブロックマン。ベースはマンティコラのメンバー。曲の途中でワーグナーの「ワルキューレの騎行」、ベートーベンの交響曲第5番第1楽章、交響曲第9番第4楽章、「エリーゼのために」、モーツァルトのセレナード第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、バッハの管弦楽組曲第2番の「バディネリ」を使用。これらのクラシック曲の方が印象が強い。つまり、オリジナルのヘビーメタルの部分はそれほど耳をひかない。その原因がボーカルと個人技に走りすぎたキーボードにあることは疑いようがない。人選ミス。無名メンバーで構成するべきだった。ロイヤル・ハントのキーボード、アンドレ・アンダーセンとタイム・レクイエムのキーボード、リチャード・アンダーソンが参加。いずれも無個性に終始。
2005年。 ギターとゲスト・ミュージシャンの弾くキーボードがかつてのイングヴェイ・マルムスティーンとよく似た傾向を持つ。クラシックからの引用はない。自作のメロディーやサウンドでクラシック風にするのはロイヤル・ハントと同じ。前作からの変化を挙げようと思えば挙げることは簡単だが、ロックの中での目新しさに欠ける。「イエス・サー、アイ・キャン・ブギー」はバカラの「誘惑のブギー」のカバー。
2006年。
2008年。
2012年。