EDGUY

  • ドイツ出身のヘビーメタルバンド。
  • ドイツのハロウィン、ガンマ・レイ等と、北欧のストラトヴァリウス等から影響を受けたメロディアスなヘビーメタル。
  • ボーカルのトビアス・サメットを中心とする。当初4人編成、現在5人編成。
  • 大仰すぎないサウンドと男臭すぎないメロディーで、他のメロディアスなドイツのバンドよりも一歩抜け出ている。

1
SAVAGE POETRY

1995年。ボーカル兼ベースのトビアス・サメットを中心とするグループ。ギター2人の4人編成。キーボードもトビアス・サメットが弾いている。曲は平均で6分あり、デビュー盤にしては長い。メロディーは一貫して変わっていないことが分かる。ギターソロのメロディーはすでに一流だ。

2
KINGDOM OF MADNESS

1997年。メジャー・デビュー盤で、あまりサウンド・プロダクションに予算を割けなかったのは音を聞けば分かる。音に厚みがない。ボーカリストの歌唱力も厳しい。最後の曲は18分超。

3
VAIN GLORY OPERA

1998年。キーボードとコーラスを大幅に強化してプロダクションの充実を図った結果、ガンマ・レイ直系のサウンドになった。ウルトラヴォックスのカバー収録。ストラトヴァリウスのティモ・トルキとブラインド・ガーディアンのハンジー・キアシュ参加。

4
THEATER OF SALVATION

1999年。専任ベースが加入して5人編成となった。ほぼ全曲に分厚いコーラスを使っている。それが2声、3声でクラシックの影響を受けたアレンジとなっている。スピーディーな曲調は、個性や音楽性を分析する上ではあまり重要ではない。

 
THE SAVAGE POETRY

2000年。1995年に出したデビュー盤を再録音した企画盤。オリジナル・バージョンとは曲順が違う。

5
MANDRAKE

2001年。音楽性においてはガンマ・レイの類似性が言われるが、コーラスを重視したヨーロッパ型ヘビー・メタルではすでにブラインド・ガーディアンがおり、フリーダム・コールもデビューしたとなれば、彼らとは違う個性を確立しないと苦しい。大げさなオーケストレーションではなくキーボードの使用によってロックらしさをだしているのは評価できる。「マンドレイク」とは植物の名前。根は人間の形をしている。引き抜くと金切り声が聞こえるという伝説がある。幻でも何でもなく、実在する植物だが中国へ行かないと見られない。

 
BURNING DOWN THE OPERA

2003年。ライブ盤。2枚組。16曲収録。イントロとドラムソロを含むので実質14曲、102分収録。「ティアーズ・オヴ・ア・マンドレイク」「ヴェイン・グローリー・オペラ」「アヴァンタジア」は歓声が大きくなる。

 
KING OF FOOLS

2004年。シングル盤。タイトル曲はシングル・バージョン。他の4曲はアルバムに収録されない。「ライフ・アンド・タイムス・オブ・ア・ボーナス・トラック」はいいアイデア。「俺は日本盤ボーナストラック」と歌う。トビアス・サメットのピアノ弾き語り。

6
HELLFIRE CLUB

2004年。曲の内容、アルバムの構成、ともに申し分なし。ジャンルを超えた普遍性がある。個々の曲が全体的に底上げされた。

HALL OF FLAMES

2004年。ベスト盤。2枚組。

 
SUPERHEROES

2005年。シングル盤。タイトル曲はピアノとストリングスだけで演奏されるバージョンも入っている。「ジューダス・アット・ジ・オペラ」はハロウィンのマイケル・キスクが参加。「ザ・スピリット」はマグナムのカバー。

7
ROCKET RIDE

2006年。デビュー当初のヨーロッパ型ヘビーメタルは少なくなり、ミドルテンポが多い。キーボードとストリングスを使い、曲を盛り上る。「ヘルファイア・クラブ」と「ロケット・ライド」は2作で一対をなしており、ハードなアルバムとドラマチックなアルバムで性格付けをしている。メロディーは覚えやすく、ミドルテンポでそうした曲を作ったことは、作曲能力の高さを示している。「トリニダード」はカリブ海にあるトリニダード・トバゴのことなので、サウンドもそれにあわせてスチール・ドラムが出てくる。

8
TINNITUS SANCTUS

2008年。大仰すぎず、軽くもなく、ヘビーメタルとしては際立った特徴に欠けるのかもしれない。曲全体を仰々しくするのではなく、一部に明るいメロディーを使うところはエドガイ、あるいはトビアス・サメットの特徴が出ており、ハロウィンやガンマ・レイと同じ系統だと言える。

FUCKING WITH FIRE-LIVE

2009年。ライブ盤。

9
AGE OF THE JOKER

2011年。70年代、80年代ののロックにみられるサウンドを随所に織り込んでいる。これまでとは異なる動機によって制作されている。「ロビン・フッド」「ジ・アーケイン・ギルド」はハモンドオルガンを重用、「パンドラの箱」はスライドギターを使う。「ロック・オヴ・キャッシェル」はシン・リジーのようなギターのハーモニーが出てくる。ライブ盤を出して区切りをつけ、次の段階へ進んだ結果のサウンドだ。録音後の編集を大幅に取り入れたり、エレクトロニクスを使ったりすることも、変化としては想定しうるが、ヘビーメタル・ファンの保守性を考えると、無難な選択をした。

10
SPACE POLICE

2014年。ジャーマン・メタル、あるいはヨーロッパ型ヘビーメタルといった冠つきのヘビーメタルではなく、どんな曲でも相当の水準を保つヘビーメタルのバンドになった。したがってヨーロッパ的な大仰さは目立たない。アルバム制作の方向性は「ロケット・ライド」に近い。特定のテーマや共通性を設けないで、出来のよかった曲を並べている。6曲目の「ロック・ミー・アマデウス」を真ん中として、10曲が前半と後半にわかれる。前半はハードな曲とヘアメタル風の曲があり、後半は長めの曲を置いている。「ロック・ミー・アマデウス」はファルコのカバー。