DUA LIPA

デュア・リパはイギリスの女性シンガー・ソングライター。1995年生まれ。アルバニアをルーツとすることを隠さない。2010年代以降の若い女性歌手によくみられるように、多様性や少数者の尊重をメッセージとして強く発信する。

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DUA LIPA

2017年。2010年代後半の若い女性歌手、シンガー・ソングライターとして登場し、エレクトロ音楽中心の比較的ポップな曲調が並ぶ。デュア・リパの声はやや低め。この低さが曲に力強さを与え、歌詞の主張や決意に説得力を持たせる。発売当初はそれほどヒットしなかったが、「ニュー・ルールズ」が歌詞、ビデオとともに評価され、デュア・リパの評価も大きく引き上げられた。「IDGAF」「ホッター・ザン・ヘル」「ビー・ザ・ワン」収録。

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FUTURE NOSTALGIA

2020年。アルバムタイトルがアルバムの雰囲気を表しており、2010年代のポップスの一般的な曲調を踏襲している。基本的にエレクトロ、シンセサイザー中心だが、ストリングスも多用する。「ドント・スタート・ナウ」はヒット性が高い。「フィジカル」はアップテンポのダンスポップでオリビア・ニュートン・ジョンの「フィジカル」とサビのフレーズが同じ。「レヴィテイティング」は「フィジカル」「ボーイズ・ウィル・ビー・ボーイズ」とともにコーラスが厚い。「ブレイク・マイ・ハート」はイン・エクセスの「ニード・ユー・トゥナイト」を引用しているが、クイーンの「地獄へ道づれ」のフレーズともほぼ同じ。2枚組のボーナス・エディションはリミックス17曲を収録。「ブレイク・マイ・ハード/コズミック・ガール」はジャミロクワイ、「レヴィテイティング」はマドンナとミッシー・エリオット、「フィジカル」はグウェン・ステファニー、「キス・アンド・メイク・アップ」はブラックピンクが参加。

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RADICAL OPTIMISM

2024年。前作に比べれば、個々の曲はデュア・リパとしても、現代の女性アーティストとしても、既に知っている音の範囲に収まっている。アルバムのタイトルとは裏腹に、挑戦的なことをしているわけではない。音楽以外の言動が注目される若い女性は、音楽でも革新的でなければならないという暗黙の審査基準のために評価のハードルが押し上げられるが、そのような見られ方を拒否するかのようにポップだ。ヒスパニック系を意識したような曲もある。「フーディーニ」「フォーリング・フォーエヴァー」はいい曲だ。