ザ・ドラムスはアメリカのロックバンド。2000年代後半のニューヨーク、ブルックリンのポップスのブームで出てきた。2010年代後半以降は1人となっている。
2009年。ギター2人、ベース不在の4人編成。アメリカ・ニューヨーク出身。7曲入りEP。
2010年。バンドサウンドのほかに涼しいキーボードや高めのコーラスがつき、ポップな印象を与える。ギターにはやや深めのエコーがかかっている。エレクトロニクスを使わず、「スキッピン・タウン」で手拍子を使ったり、「レッツ・ゴー・サーフィン」で口笛を使ったりするところが若さ、青さ、初々しさを感じさせる。このバンドが2010年の大型新人だという。
2011年。ボーカル兼ドラム、ギター、シンセサイザーの3人編成。ベースはシンセサイザーで代用されているわけではないが、シンプルなサウンドなので、3人のうち誰かが兼任することが可能だ。曲の雰囲気に幅が出てきたので、若さや希望のほかに、悲しさや諦観を感じさせる曲がある。メンバーが若いので、しばらくは気持ちがそのまま表れた曲が出てくるだろう。
2014年。ボーカル兼ギター兼ベース兼ドラム兼キーボードとギター兼キーボードの2人で録音。アルバムを出すたびにメンバーが1人ずつ減っている。作曲者も演奏者も少ないので曲調が1つの方向に流れやすい。メンバーが4人なり5人なりいれば、その方向をずらせる一瞬の響きをメンバーの個性によって作り出すことができるが、2人だとその2人の音楽の幅の広さ狭さがそのまま出てしまう。使われるメロディー楽器がシンセサイザーとギターに限られるのは苦しい。バンド編成に戻るべきだろう。
2017年。ギター兼キーボードが抜け1人に。ギター、ベース、ドラム、キーボードを1人で演奏している。以前の4人編成でも再現できるような無理のないバンドサウンドだ。デビュー時の曲調に戻ったのではないか。抑制されたギター、キーボード、ボーカルによるポップなロックは、地方のバンドとの違いを浮き立たせる。
2019年。オープニング曲の「プリティー・クラウド」はシンセサイザー、エレクトロニクスを大きく扱ったポップスで、前作から転換したように思わせる。2曲目以降はシンセサイザーを使いながらも従来型のバンドサウンドに戻る。アルバム前半のギターはロック寄り。「ローナー」は児童合唱団が参加しており、メロディーもいい。バンドが1人になってもアルバムを作ることができるが、ニューヨーク・ブルックリンから出てきたバンドに求められているのは、もっと変化に富む曲だろう。思い通りにならなくてもバンド体制に戻した方がよい。