1983年。邦題「情念の炎」。レインボー、ブラック・サバスのボーカルだったロニー・ジェイムズ・ディオが結成したバンド。4人編成。ロニー・ジェイムズ・ディオとベースがキーボードを兼任している。ギターはヴィヴィアン・キャンベル。レインボーやブラック・サバスほどドラマティックな曲はないが、ボーカルは従来通りの安定した歌唱。曲のコンパクトさは作曲能力に関係していると思われる。「レインボー・イン・ザ・ダーク」収録。全米56位。
1984年。キーボードが加入し5人編成。キーボードはそれほど活躍せず、「エヴィル・アイズ」「ミステリー」で装飾的に響く。「ウイ・ロック」は代表曲。全米23位。このアルバムが全米チャート上の最高作で、ヒットのレベルは他のヘア・メタル勢と同じ。
1985年。オープニング曲は前作に続き勢いのある曲。ライブ風に歓声が入っている。アメリカで売れることを意識したような曲があり、野心が感じられる。「ハングリー・フォー・ヘヴン」はポップ。全米29位。
1986年。「タイム・トゥ・バーン」だけがスタジオ録音で、残りの5曲はライブ。ライブのギターはヴィヴィアン・キャンベル、スタジオ録音の曲はクレイグ・ゴールディー。曲は平凡。「ロックン・ロール・チルドレン・メドレー」はレインボーの「ロング・リヴ・ロックン・ロール」と「銀嶺の覇者」をやっている。全米70位。
1987年。ギターが交代。ポップな曲はなく、総じてイメージ通りの曲が並ぶ。しかし、それぞれの印象は薄く、曲の起伏やメロディーが平凡だ。全米43位。
1990年。ロニー・ジェイムズ・ディオ以外のメンバーが全員入れ替わった。キーボードはイングヴェイ・マルムスティーンズ・ライジング・フォースのヤンス・ヨハンソン、ドラムはAC/DCのサイモン・ライト。前作に続き明るさや華やかさがない作風。ヤンス・ヨハンソンのキーボードがほとんど活躍しない。ボーカルの実力以外の部分が著しく欠けている。ハードな曲にしろポップな曲にしろ、インパクトのある曲がないと評価は上がらない。全米61位。
1991年。ベスト盤。
1992年。ベスト盤。
1993年。キーボードがいなくなり、ギターとベースが交代。4人編成。大胆にサウンドを変え、ハードなヘビーメタルをやっている。流行に合わせた音で、80年代のディオのサウンドはまったく出てこない。サウンドを変えること自体はなにも問題ないが、変え方がとても下手だ。かつてハードな音楽の最先端を行ったことがあるアーティストなら復活作とも呼べたが、一度もそういうことがなかったアーティストがハードな音楽をやり出すと、時流に乗ろうとしたと言われるのは当たり前だ。全米142位。
1996年。ギターの音は前作と変わらない。サウンドも前作と同様の曲があるが、一部は80年代の作風に戻している。「ゴールデン・ルールズ」はモーツァルトのいわゆる「きらきら星変奏曲」(もとはフランス民謡)を使用、最後の「ディス・イズ・ユア・ライフ」はピアノをバックにロニー・ジェイムズ・ディオが歌い上げる。
1998年。ライブ盤。
2000年。ギターにクレイグ・ゴールディーが復帰、キーボードも兼任。ベースも初代メンバーが戻っている。ヨーロッパでしか支持されないような物語性の強いアルバムで、キーボードもふんだんに使われている。「ドリーム・イーブル」の質をあげたような作風。コンセプト・アルバムなので全体的に曲のサウンドは似ている。最後の曲は18分にわたる朗読。ただ、サウンドが以前に戻っても、コンセプト・アルバムを作ることそのものは流行を追いかける対象が変わっただけで、姿勢がかわったわけではない。だれかがやっていることを再びなぞっている。
2002年。ギターがライオン、バッド・ムーン・ライジングのダグ・アルドリッジに変わった。キーボードはベースが兼任。「アングリー・マシーンズ」の路線。「ロック・アンド・ロール」はメロディーよりもリズムが強調されたゆっくりした曲。「スロウ・アウェイ・チルドレン」は同様のサウンドで子供の合唱が入る。「ビフォア・ザ・フォール」だけキーボード奏者が異なり、オルガン・サウンドが聞ける。
2005年。ギターは再びクレイグ・ゴールディー。キーボードが加入し5人編成。スピーディーな曲やポップな曲をやる気はないようだ。