CREED/ALTER BRIDGE

  • アメリカのオルタナティブ・ロックバンド。4人編成。
  • グランジ、オルタナティブ・ロック、インダストリアル型が主流であった1990年代後半のアメリカのヘビーロックに、暗めのメロディーを伴った力強いボーカルで人気を得た。
  • 2004年に解散し、ボーカルだけが入れ替わったアルター・ブリッジがデビューしたが、クリードが2009年に再結成してからも両方のバンドが存続している。

1
MY OWN PRISON

1997年。ミドルテンポで内省的な曲を歌うため、ボーカルメロディーが分かりやすい。ボーカルは力強く安定しており、ヘビーロックのデビュー盤としては優れたボーカルと言える。グランジ、オルタナティブ・ロックを洗練したサウンドで、曲によってギターソロが出てくる。ギターの重ね録りは少なく、全体の楽器の数も少ないのでベースとドラムの存在感が大きい。全米22位、600万枚。日本盤は1999年発売。

2
HUMAN CLAY

1999年。サウンド全体が豪快になった。音階をあまり上昇させないままサビに持っていくメロディーは、90年代のアメリカのロックの主流を反映している。曲の盛り上げは、演奏の豪快さとボーカルの歌い方によって出している。「ハイヤー」「ウィズ・アームス・ワイド・オープン」収録。全米1位、1100万枚。

3
WEATHERED

2001年。ベースが抜け3人編成。ベースはギターが兼任している。メロディアスなヘビーロックになり、もともと明快だったボーカルメロディーがさらに分かりやすくなっている。サビに音階の頂点が来るのは、個性の1つを失ったと言える。「フーズ・ガット・マイ・バック?」はレッド・ツェッペリンの「カシミール」を意識したような曲。「ハイド」はヘビーロックというよりハードロックだ。「マイ・サクリファイス」「ワン・ラスト・ブレス」収録。このアルバムで解散。全米1位、600万枚。

4
ONE DAY REMAINS/ALTER BRIDGE

2004年。クリードのボーカルを除く3人が、別のボーカルを加えて結成したバンド。ボーカルはクリードよりもやや高めで、「ウェザード」よりも伸びやかなメロディーを歌う。ギターの厚みが増し、豪快な音になっているが、「ヒューマン・クレイ」のような暗さや寄る辺なさ、あてどなさというような、メロディーによる苦しさは薄れている。全米5位。

5
BLACKBIRD/ALTER BRIDGE

2007年。メロディアスでオーソドックスなヘビーロック。ギターがサウンドの中心でありながら、ボーカルがそれに劣らない歌唱力で曲を引っ張る。ヒップホップ型、オルタナティブ・ロック型ではない日本盤は出なかった。全米13位。

6
FULL CIRCLE

2009年。再結成。デビュー当初に比べて明らかにギターの比重が大きくなっており、バンドの中心はボーカルとギターの双頭ではなくギターに傾いている。ボーカルは力強くなった。短調の曲がほとんどだが陰鬱なメロディーではない。アコースティックギターの利用が多くなり、「レイン」「アウェイ・イン・サイレンス」「タイム」「ザ・ソング・ユー・シング」はエレキギターとともに使われる。エレキギターだけの曲よりは重厚感が薄れ、アルバム全編を通して聞きやすくなっている。全米2位。

7
ABIII/ALTER BRIDGE

2010年。クリードは再結成してもアルター・ブリッジは解散せず、ボーカルの異なるバンドが2つ共存している。ギターがコーラスをつける曲が多くなった。キーボードも適宜使う。ギターが中心ではあるがディストーションがかった音ばかりではないので、ヘビーロックではなくメロディアスなロックの方が実態を反映している。「ゴースト・オヴ・デイズ・ゴーン・バイ」「オール・ホープ・イズ・ゴーン」はフォール・アウト・ボーイのような曲。全米17位。

8
FORTLESS/ALTER BRIDGE

2013年。「ABIII」よりハードになった。ボーカルが2声になるのは前作と変わらないが、ギターはヘビーロックのハードなサウンドだ。アコースティックギターを多用するクリードとは異なる路線を取る。ボーカルメロディーは歌い上げることがほとんど。ハードなロックとしてはオーソドックスで、サウンドはむしろ保守的と言える。