2002年。ザ・コーラルはギター2人、キーボード奏者を含む6人編成。イギリス出身。1960年代風の古風なサウンド。7曲収録のEPで、誰が作曲したか、メンバーは誰かの表記はない。「シェリフ・ジョン・ブラウン」はアニマルズの「朝日のあたる家」と同じギターフレーズ。
2002年。エコーがやや深く、同時に鳴っている楽器の数が少ない。新しいサウンドではないが、古風なロックではない。予定調和とは距離を置いたサイケデリックなロックンロールだ。
2003年。5曲入りEP。タイトル曲以外の4曲はアルバム未収録曲。
2003年。編曲とアンサンブルを重視し、偶然で作り出す緊張感を少なくしている。エレキギターを使っているが、サウンド全体としてはアコースティックの雰囲気が強い。音は跳ねているが、衝動性とは無縁のロックだ。
2004年。ミニアルバム。ポップであったり、ロックンロールであったりするようなロックにはそれほど難しい形容はいらないが、そうではないロックの場合、多くがサイケデリックと評される。不定型の度合いが大きくなれば前衛的、ハードになればハードコア風、などと別の形容をされる。このミニアルバムはサイケデリックの手前でとどまったサイケデリック志向のオルタナティブロック。
2005年。パーカッション奏者が加入し7人編成。1960年代のポップス、ロックのようだ。デビュー当初の緊張感は薄れ、メロディーもサウンドも親しみやすい。前作に続きアコースティック・ギターやパーカッションがよく使われる。曲によってはハードで、バンドとしての一体感がある。
2007年。アメリカ南部のような、あるいはシンガー・ソングライターのようなサウンド。50代の男性が人生の辛酸を歌っているようだ。コーラスとストリングスで、哀愁と諦観を増幅させる。イギリスの20代のバンドだとは思えないサウンドだが、こんなサウンドを出すバンドも珍しい。
2008年。ベスト盤。2枚組。
2010年。ギターが抜け6人編成。「金色の髪の少女」でポップ化する前の、「ヴェンチュラ・ハイウェイ」のころのアメリカに似たサウンドだ。ドラムやオルガン奏者もいるので低音に安定感がある。アルバムタイトル曲はエレキギターで後半を盛り上げる。コーラスはどの曲も美しい。曲によってはフォークロック時代のザ・バーズだ。ボーカルを含めたすべての楽器が突出した音を出さない、中産階級的サウンド。
2014年。「インヴィジブル・インヴェイジョン」から「ルーツ&エコーズ」の間に録音された曲を収録。
2016年。濁り気味のギターと60年代後半のソフトロックのようなボーカルハーモニーで、暗めのサイケデリックロック、あるいはのようなサウンドになっている。ギターだけでなくキーボードにも若干の濁りが残る。録音に際してそれほど音を整形しなかったことが、適度に緊張感を残すことになり、危うさをはらんだサイケデリックさを醸成している。メロディーに享楽性はほとんどない。「ミス・フォーチュン」は明るめのメロディー、「ホーリー・レヴェレイション」はアルバム収録曲の中ではビートが効いている方だが、勢いがついているわけではない。「エンド・クレディッツ」はメロトロンのソロをラジオで聞いているような曲。