THE CARS

  • ボーカル兼ギターのリック・オケイセクを中心とするロックバンド。キーボードを含む5人編成。アメリカ出身。
  • 1978年にデビューし、シンセサイザーとエレキドラムを使うことでニューウェーブのバンドと認識される。

1
THE CARS

1978年。邦題「錯乱のドライヴ/カーズ登場」。ギターとキーボードでポップなメロディーを作り、5人全員が参加するコーラスで。リック・オケイセクがほぼ全てを作曲しているが、コーラスのメロディーがボーカルメロディーを補うように作られていることが分かる。オープニング曲はクイーンを思わせる。「マイ・ベスト・フレンズ」は1960年代のロックンロールに近い曲。「ドント・チャ・ストップ」はハードロック。「ムーヴィング・イン・ステレオ」と「オールミックスト・アップ」はつながっており、ジャーニーやスティクス、クイーン9曲のうち5曲をリック・オケイセク、4曲をベースのベンジャミン・オールがボーカルをとる。「燃える欲望」収録。全米18位、600万枚。

2
CANDY-O

1979年。邦題「キャンディ・オーに捧ぐ」。「いつまでも恋人」「オール・アイ・キャン・ドゥ」はギターが目立ち、クイーンをプロデュースしたロイ・トーマス・ベイカーならでは音作りと言える。「危険がいっぱい」はT・レックスの「ゲット・イット・オン」を下敷きにした曲。「ダブル・ライフ」からアルバムタイトル曲までの3曲と、「ナイトスポッツ」「燃えつきた恋」はほぼつながっており、曲間のつなげ方もロイ・トーマス・ベイカーの制作の範囲内だったとみられる。全米3位、400万枚。

3
PANORAMA

1980年。オープニング曲のアルバムタイトル曲がシンセサイザーを駆使した長い曲なので、これまでとは印象が異なる。「ユー・ウェア・ソーズ・アイズ」「アップ・アンド・ダウン」もリズムがエレキドラムで作られたような音で、ニューウェーブと呼ぶにふさわしいサウンドだが、メロディーにはポップさも残している。「ギミ・ザム・スラック」「ダウン・ボーイズ」はギターが活躍するロックンロール。過去2作よりエレクトロニクスの量が多いだけで、「アップ・アンド・ダウン」などは従来のロックと変わらない。コーラスは減っている。全米5位、100万枚。

4
SHAKE IT UP

1981年。「パノラマ」をポップにしたようなサウンド。濃厚なエレキギターを減らし、シンセサイザーの音を軽くし、リズム・マシーンを取り入れることは、70年代型サウンドから80年代型サウンドへの作り替えであり、新しいものと未来を感じさせるものが一致することだった。サウンド上はもはやギターが2人いる必要はなく、キーボードが2人いてもよさそうだ。アルバムタイトル曲や「シンク・イット・オーヴァー」はロックの基本としてグラムロックがあることを示す。「アイム・ノット・ザ・ワン」「ジス・クッド・ビー・ラヴ」はエレクトロニクスが強く、「クルーザー」はギターがローリング・ストーンズ風。全米9位、200万枚。

5
HEARTBEAT CITY

1984年。プロデューサーがロバート・ジョン・マット・ランジに交代。コーラスが増え、ドラムの音の強弱が大きくなった。ロバート・ジョン・マット・ランジは前年にデフ・レパードの「炎のターゲット」を制作しており、それに近いサウンドになっている。「マジック」「ユー・マイト・シンク」「イッツ・ノット・ザ・ナイト」はデフ・レパードのようでもあり、フォリナーのようでもある。リズムをロックらしいドラムに戻したのがよかったか。全米3位、400万枚。

GREATEST HITS

1985年。ベスト盤。「トゥナイト・シー・カムズ」はアルバム未収録曲。全米12位、600万枚。

6
DOOR TO DOOR

1987年。リック・オケイセクがプロデュースしている。ミドルテンポの「ファイン・ライン」「ワウンド・アップ・オン・ユー」が高揚感を削ぎ、アップテンポの曲もそれほど目立つ部分はない。最後のアルバムタイトル曲は、ハードなロックもできます、と意気込んで演奏しているようで、流行を意識しすぎてしまった。このアルバムで解散。全米26位、50万枚。

JUST WHAT I NEEDED:THE CARS ANTHOLOGY

1996年。ベスト盤。2枚組。40曲のうち5曲は未発表曲、3曲はデモバージョンもしくはアーリーバージョン。シングルのB面も3曲ある。6枚のアルバムから40曲なので、1枚から4~7曲選ばれている。未発表曲のうち「ファンタイム」はデヴィッド・ボウイとイギー・ポップの共作で、イギー・ポップのカバー。

7
MOVE LIKE THIS

2011年。ベースのベンジャミン・オールが死去し、ベンジャミン・オールを除く4人で再結成。全米7位。