CARPENTERS

カーペンターズはリチャード・カーペンター(ピアノ、ボーカル)、カレン・カーペンター(ボーカル、ドラム)による兄妹デュオ。カレン・カーペンターのアルトのまろやかなボーカル、リチャード・カーペンターのポップなメロディー、ソフトなサウンドで人気を得た。代表曲は「イエスタデイ・ワンス・モア」「トップ・オブ・ザ・ワールド」「シング」「遥かなる影」など。オールディーズのカバーが多いのはリチャード・カーペンターの趣味。カレン・カーペンターは1983年に拒食症で死去している。

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TICKET TO RIDE

1969年。当初のアルバムタイトルは「オファリング」。邦題は「涙の乗車券」。タイトル曲はビートルズのカバー。リチャード・カーペンターが当時凝っていたボーカルの多重録音技術を、いろいろ実験してみたというようなアルバム。「遙かなる影」はバート・バカラック作曲、大ヒット。「歌うのをやめた私」はニール・ヤング作曲。カレン・カーペンターは全曲でドラムを叩いている。ベースも2曲演奏。

2
CLOSE TO YOU

1970年。邦題「遙かなる影」。今回もビートルズの「ヘルプ」をカバーしている。「ベイビー・イッツ・ユー」はシュレルズの、「恋よさようなら」はディオンヌ・ワーウィックのカバーで、いずれも有名曲。カーペンターズと言えば誰もが思いつくような高水準ポップスは次作以降に登場。最後の「アナザー・ソング」はプログレッシブ・ロックと呼んでもよい。「愛のプレリュード」収録。ドラムはカレン・カーペンターのほか、ハル・ブレインも叩いている。全米2位。

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SUPERSTAR

1971年。10曲のうち、カーペンターズ作曲は3曲。あとはポール・ウィリアムス、ロジャー・ニコルズ、バート・バカラックなど、日本でいうソフト・ロックの作曲家が作曲。「雨の日と月曜日は」「ふたりの誓い」収録。全米2位。

4
A SONG FOR YOU

1972年。邦題「トップ・オブ・ザ・ワールド」。前作から一転し、レオン・ラッセル、キャロル・キングの曲を歌ってポップス路線に回帰した。特に「愛にさようならを」のトニー・ペルーソのギター・プレイは珍しくディストーションがかかった泣きのギターで特筆ものだ。「トップ・オブ・ザ・ワールド」は日本で大ヒット。「動物と子供たちの詩」収録。「ハーティング・イーチ・アザー」はルビー&ザ・ロマンティックスのカバー。アメリカでは6曲もシングル・カットされた。全米4位。

5
NOW&THEN

1973年。「シング」「イエスタデイ・ワンス・モア」を含む代表作。有名な60年代オールディーズ・メドレーが入っている。ビーチ・ボーイズの「ファン・ファン・ファン」、クリスタルズの「ハイ・ロン・ロン」、ジャン&ディーンの「危険なカーブ」あたりは、日本人の好みと一致している。リチャード・カーペンターのコーラスに対するこだわりがうかがえる。「ジャンバラヤ」はハンク・ウィリアムス作曲のカントリーのスタンダード曲。カレン・カーペンターが全曲でドラムを叩いている。全米2位。

 
LIVE IN JAPAN

1975年。ライブ盤。オールディーズ・メドレーではビーチ・ボーイズ(またはホンデルス)の「リトル・ホンダ」、デル・シャノンの「悲しき街角」、シャングリラスの「リーダー・オブ・ザ・パック」、チャック・ベリーの「ジョニー・B・グッド」といった有名曲のほか、マニアックな曲もやっている。「シング」は日本語で歌われる。

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HORIZON

1975年。邦題「緑の地平線」。イーグルスの「ならず者」を「愛は虹の色(デスペラード)」という邦題でカバーしているが、このアルバムを全体的に覆う雰囲気はこの曲に象徴されており、当時のウェスト・コースト・サウンドに影響を受けた音と言える。従来のポップなイメージはマーベレッツ(またはビートルズ)の「プリーズ・ミスター・ポストマン」のカバー、自作曲では「オンリー・イエスタデイ」、「ハッピー」に見られる。リチャード・カーペンターのボーカルはほとんど出てこない。「ソリテアー」収録。

7
A KIND OF HUSH

1976年。邦題「見つめあう恋」。オールディーズのカバーが多い。リチャード・カーペンターが出てこないことは逆に単調な印象を与える。ニール・セダカの「悲しき慕情」のカバー収録。カレン・カーペンターはドラムを叩かなくなった。

 
LIVE AT THE PALLADIUM

1976年。邦題「ライヴ・イン・ロンドン」。メドレーが2曲ある。ガーシュウィン・メドレーはダブル・ドラムのインスト。7分もあるクラシック風インストは、アルバムに含めたことに是非が分かれそうだ。

8
PASSAGE

1977年。これまでとは大きく異なるサウンド。コーラスも初めて外部アーティストを用いた。カントリー、クラシック、ロックが混在。「星空への旅立ち(コーリング・オキュパンツ)」はクラトゥーのカバー。クラトゥーはカナダのアメリカン・プログレッシブ・ハードロックのバンド。「あの日、あの時」ではジェイ・グレイドンとリー・リトナーが参加。「ふたりのラヴ・ソング」収録。

CHRISTMAS PORTRAIT

1978年。クリスマス企画盤。

9
MADE IN AMERICA

1981年。カレン・カーペンター存命中の最後の作品。「見つめあう恋」以前のスタイルに戻った。とは言っても、サウンドはモダンなアレンジになっている。アダルト・コンテンポラリー。1曲だけカレン・カーペンターがドラムを叩いている。マーベレッツのカバー「恋のビーチウッド」は浮いている。

10
VOICE OF THE HEART

1983年。カレン・カーペンターの死後発売。カレン・カーペンターが亡くなった時点でこのアルバムは未完成だった。したがってカレン・カーペンターのボーカルはメロディー・ラインだけで、コーラスやカウンター・メロディーのボーカルはほとんどない。仮歌をそのまま使用している曲もあるとみられる。装飾や加工のないボーカルが聞ける。

AN OLD-FASHIONED CHRISTMAS

1984年。2枚目のクリスマス企画盤。

 
CHRISTMAS PORTRAIT

1985年。78年にアメリカでリリースされた「クリスマス・ポートレート」と、84年の「オールド・ファッション・クリスマス」から選曲されたクリスマス・アルバム。クラシックも3曲入っている。

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LOVELINES

1989年。邦題「愛の軌跡~ラヴラインズ」。カレン・カーペンターがソロ・アルバム用に録音した4曲を含む未発表曲集。ほとんどは1977年から80年頃に録音されている。「愛の想い出」は高い声で歌っている。

FROM THE TOP

1991年。4枚組ボックス・セット。貴重音源多数。ジャズ・バンド時代のハードなドラム・プレイも聞ける。1965年録音なのでカレン・カーペンターは14、5歳ということになる。

FROM THE TOP

2枚目。「シング」のスペイン語バージョンがポイント。メドレー途中のアーティスト名当てコンテストのNGもある。カレン・カーペンターの爆笑が入っている。

FROM THE TOP

3枚目。サントリーのCM用音源2バージョンがポイント。

FROM THE TOP

4枚目。テレビ用音源以外は既発曲。

CHRISTMAS SONG

1995年。シングル盤。2曲収録。ともに「クリスマス・ポートレート」収録曲。

AVE MARIA

1996年。シングル盤。2曲収録。ともに「クリスマス・ポートレート」収録曲。

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AS TIME GOES BY

2001年。邦題「レインボウ・コネクション」。テレビ用に録音された曲が中心。本作のメーンは邦題曲だが、その他の曲にも注目すべき曲がたくさんある。マーサ・リーブス&バンデラスの「ダンシング・イン・ザ・ストリート」とママス&パパスの「夢のカリフォルニア」のカバーは有名曲のカバー。「夢のカリフォルニア」とビートルズの「ひとりぼっちのあいつ」はデビュー2年前の録音。「アイ・ガット・リズム」は途中でジョージ・ガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」のフレーズが出てくる。

ESSENTIAL COLLECTION BOX

2003年。「フロム・ザ・トップ」の内容を差し替えた4枚組ボックス・セット。