CANNIBAL CORPSE

  • デスメタルとしては代表的な知名度があるバンド。アメリカ、ニューヨーク出身。
  • ボーカル、ギター2人、ベース、ドラムの5人編成。ドラムの技能がことさら強調されないバンドでもある。
  • イラストとはいえジャケットはグロテスクであることを旨としている。

1
EATEN BACK TO LIFE

1990年。邦題「屍鬼」。ギター2人の5人編成。アメリカ・ニューヨーク州出身。サウンドは以前からある典型的デス・メタルと変わるところはなく、ジャケットだけがパロディー的ひんしゅくを買うようにし続けているバンド。ハードコアと言えなくないが、オープニング曲の「細切れ人間」とエンディング曲の「裏庭に埋葬されて…」は5分以上ある。「散乱する肉片、飛び散る脳味噌」「うじ虫だらけの頭蓋骨」収録。

2
BUTCHERED AT BIRTH

1991年。邦題「斬鬼」。ボーカルのデス声がさらに低い声になっている。「ボミット・ザ・ソウル」はデス声でのダブル・ボーカルがある。1曲平均4分。「ミート・フック・ソドミィ」「死肉喰い」「腐乱死体の下に…」収録。

3
TOMB OF THE MUTILATED

1992年。邦題「殺鬼」。ミドルテンポが少なくなり、ほとんどの曲がスピーディーになっている。ベースの音がアイアン・メイデンのスティーブ・ハリスに近くなった。日本盤ボーナストラックでブラック・サバスの「ゼロ・ザ・ヒーロー」をカバー。「破壊された顔面」「少女屍姦」収録。

4
THE BLEEDING

1993年。日本デビュー盤。ギターソロやバックの演奏が向上。ジャケット以外の特徴がやっとできた。ギターのアレンジが前作とは異なっており、どの曲も明確なメロディーを持たせている。ギターの切れもよい。デスメタルの中では推奨できるアルバム。ジャケットは全体の中の一部が使われているが、全体を見てもおとなしい。曲のタイトルに邦題がなくなった。「ストリップト・レイプド・アンド・ストラングルド」収録。最高傑作。

5
VILE

1996年。邦題「顰蹙」。ボーカルが交代。前作を引き継いだサウンドで、質も高く感じる。ボーカルが変わったことによる聞き手の不安を取り除くため、オープニング曲のイントロは猛烈に突進して安心させている。前作とは逆にすべての曲に邦題がついている。この手のバンドとしては、日本のレコード会社の力のいれようが大きい。

6
GALLERY OF SUICIDE

1998年。「殺鬼」以前の作風に戻ったか。それともプロデュースの仕方が悪いだけなのか。「フロム・スキン・トゥ・リキッド」は珍しくゆっくりした長めの曲。日本盤ボーナストラックの「サクリファイス」はカナダのサクリファイスのカバー。

7
BLOODTHIRST

1999年。再び「ブリーディング」「顰蹙」のころのサウンド。日本盤ボーナストラックの「コンフェッションズ」はポゼストのカバー。ジャケットは人間ではなく人間のようなものになっている。

 
LIVE CANNIBALISM

2000年。ライブ盤。スタジオ盤と変わらない激しさを持っている。無論、そうでなければ出さない。観衆の声がライブハウスのように聞こえ、バンドのサウンドに見合う歓声の少なさだ。

8
GORE OBSESSED

2002年。これまでの路線とは異なり、ボーカルやギターがニュー・ウェイブ・オブ・アメリカン・ヘビーメタルに近づいている。このバンドには、他のバンドにない特殊なイメージが染みついているので、その路線から大きくそれていなければ安易にデス・メタルだと判断してしまう。このアルバムにはデス・メタル特有のデス声だけではなく、デス声から絶叫に至るニュー・ウェイブ・オブ・アメリカン・ヘビーメタルの特徴があり、「グロテスク」はそれが顕著だ。

 
WORM INFESTED

2003年。シングル盤。「ディーモンズ・ナイト」はアクセプトの、「コンフェッションズ」はポゼストの、「ノー・リモース」はメタリカのカバー。

15 YEARS KILLING SPREE

2003年。4枚組ボックスセット。ベスト盤2枚とアルバム未収録曲等を含む企画盤1枚と映像集1枚。

9
THE WRETCHED SPAWN

2004年。これまでの曲とこのアルバムの曲を無作為に並べられても、このアルバムの曲だと分かる要素は少ない。すなわち、このアルバムらしき特徴はこれといってない。曲のイントロではハードコア風になっても、その後リズム転換がしつこくなされるので、ヘビーメタル・バンドとしての目印は保っている。日本盤は海外盤とジャケットが異なる。13曲で44分。

10
KILL

2006年。ギターが交代。1曲目、2曲目ともすぐにボーカルが入り、絶叫になっている。他の曲でも時折絶叫があり、エネルギーの放出、解放とでもいうような、いわば「ガス抜き」がある。アンサンブルは緻密に組み立てられていて、それが演奏技術によって支えられていることも分かるが、デスメタルというサウンドの性質上、分かりにくくなっている。日本盤の帯にある「偽者」「本物」は宣伝文句として幼稚だ。13曲で42分。

11
EVISCERATION PLAGUE

2009年。過去のアルバム収録曲がこのアルバムに入っていても、もはや気付くことが難しいほど一貫したサウンドだ。デビューから20年経っているので、加齢とともにサウンドの変化があってもおかしくない。海外、特に英語圏の場合、25年を超えると「変わらないで存在すること」の価値が認められてくるだろう。日本盤の場合、3作連続でジャケットがおとなしい。12曲で39分。

12
TORTURE

2012年。デスメタルとしては最高レベルの曲と演奏。メンバーの技術が高いため演奏が安定し、どの楽器も明確に聞こえる。12曲で44分。