1994年。オルタナティブ・ロックの一つの特徴である単調なボーカル、強く主張しないギターを持ち、トランペットが加わる。パーカッションとトランペットがあることで、アメリアッチの雰囲気が感じられる。「ペンタグラム」「ジーザス・ロート・ア・ブランク・チェック」はカントリー日本盤は2008年発売。
1996年。アメリカの50、60年代音楽を消化したロック。オープニング曲のタイトルは「フランク・シナトラ」、「キサス、キサス、キサス」はナット・キング・コールのカバー、「恋のサヴァイヴァル」はグロリア・ゲイナーのカバー、「サッド・ソングス・アンド・ワルツ」はウィリー・ネルソンのカバーで、関心の対象は幅広い。どの曲もオルタナティブ・ロック風の簡潔な演奏を崩さないが、「ザ・ディスタンス」はヒップホップ風のボーカルとGファンク風のシンセサイザーがあり、目を引く。「スティックシフツ・アンド・セーフティベルツ」はコマンダー・コディの「ホット・ロッド・リンカーン」を思わせる。このアルバムで日本デビュー。日本盤は1997年発売。
1998年。邦題「とけない魔法」。ギターが抜け4人編成。ギターは数人が曲ごとにゲスト参加している。アルバムの前半は1曲ごとにこのバンドの特徴を音で示している。「メキシコ」はボブ・ディラン風。「ネヴァー・ゼア」はドラムをプログラミングしたような同時代的サウンド。「ギター」ではムーグ、「ユー・ターン・ザ・スクリュー」ではピアノを使い、音に広がりを持たせた。
2001年。前作に続き、オープニング曲はドラムやパーカッションがプログラミングされたような音だ。トランペットもラテン風ばかりではない。ボーカルは単調とは言えなくなり、曲の応じて雰囲気を合わせている。バンドとしての個性が定まってきたと言える。アルバムタイトル曲は「ザ・ディスタンス」風。「コミッショニング・ア・シンフォニー・イン・C 」はキーボードが中心。
2004年。オープニング曲の「ウィールズ」のような曲がこのバンドの基本的な曲調だろう。前のめりにならないことが個性の一つだが、キーボードで飾ってしまう曲が増えている。「カーボン・モノクサイド」のようなメロディックパンクの曲は、曲自体に全く問題はないものの、これまでのバンドのイメージとは異なる。この曲の収録をバンドが希望したかどうかについては、判断を留保すべきだろう。「ノウ・フォーン」はギターとベースが加わったGファンクのようなサウンド。「ザ・ギター・マン」はブレッドのカバーで、作曲はデイヴィッド・ゲイツ。
2011年。トランペットが添え物のように扱われていた前作に比べると、このアルバムでは出番が多くなっている。ポップな曲もやっていた前作とは異なる。CDは紙製のケースに入っており、録音は太陽光発電で行ったことをわざわざ記している。大手レコード会社を離れたことの意味を、音と形で示している。「フェデラル・ファンディング」「ザ・フェデラル・ファンディング・マーチ」はユーフォニアムとトランペットが中心。日本盤は出ていない。