BRITNEY SPEARS

  • アメリカのポップス歌手。1981年生まれ。
  • デビュー当初はアイドルとして、「ベイビー・ワン・モア・タイム」「(ウップス!...アイ・ディド・イット)アゲイン」が大ヒットした。
  • 「インザ・ゾーン」のころからダンス音楽の傾向が強くなり、芸能ゴシップの話題が多くなっている。
  • 近年はアイドル時代ほどのヒットは出ていない。

1
...BABY ONE MORE TIME

1999年。アメリカ・ルイジアナ出身。1981年生まれ。デビューの華々しさは大きく、アルバムとシングルの両方で全米1位を記録した初の女性歌手となっている。したがって、アルバムやシングルはもちろん、言動まで注目されることになり、予測がつかない常識を越えた振る舞いが若手女性歌手の一種の基準となっていく。ブリトニー・スピアーズは作曲せず、ボーカルとコーラスのみ。スウェーデンで録音されているため、バックの演奏もスウェーデン人らしき名前が並ぶ。作曲者が編曲と一部演奏も担当している。バンド演奏だがダンス音楽に近いサウンドで親しみやすい。あまり高い声では歌わない。バラードが少なく、若さを感じさせるポップな曲がメーンになっている。サウンドそのものはダンス音楽として中庸で、好みの別れる斬新さを避けたもよう。全米1位、1400万枚。

2
OOPS! ...I DID IT AGAIN

2000年。ビートをやや強調し、強拍で同時発音される音を多くしている。したがってサウンド全体の輪郭がはっきりしており、そぎ落とされた雰囲気がある。ブリトニー・スピアーズのボーカルにも力強さが出ている。「サティスファクション」はローリング・ストーンズのカバー。日本盤ボーナストラックを含めると、11曲目以降の5曲はバラードやミドルテンポになり、勢いが落ちる。10曲目までと11曲目以降を分けたとも考えられる。オープニング曲の邦題は「(ウップス!...アイ・ディド・イット)アゲイン」。全米1位、400万枚。

 
OOPS! ...I DID IT AGAIN

2000年。シングル盤。バージョン違いの「フロム・ザ・ボトム・オブ・マイ・ブロークン・ハート」と「ディープ・イン・マイ・ハート」は「ベイビー・ワン・モア・タイム」収録曲。

 
STRONGER

2000年。シングル盤。「ウォーク・オン・バイ」はアルバム未収録曲。

 
I'M A SLAVE 4 U

2001年。シングル盤。

3
BRITNEY

2001年。バンド・サウンドが少なくなり、電子音やリズム・マシーンのサウンドが多い。エレクトロ・ポップとまではいかないが、コンピューターとキーボードを中心に作られた音になっている。オープニング曲の「アイム・ア・スレイヴ・フォーユー」と「ボーイズ」はザ・ネプチューンズがプロデュースしている。「オーヴァー・プロテクテッド」や「アンティシペイティング」はメロディアスだが、リズムはバンドサウンドではなく、ダンス音楽がベース。「アイ・ラヴ・ロックン・ロール」はジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツのカバー。「ボンバスティック・ラヴ」は「(ウップス!...アイ・ディド・イット)アゲイン」の路線。

4
IN THE ZONE

2003年。前作よりもさらにパーカッション的な音が増えた。ラップは出てこないが、バックの演奏からヒップホップ・ソウルと認識しても間違いではない。「ウップス!...アイ・ディド・イット・アゲイン」のころに比べれば、テクノロジーを駆使した都市的なサウンドで、それは民族的なメロディーが多少入っていても変わらない。オープニング曲の「ミー・アゲインスト・ザ・ミュージック」はマドンナと共演。

 
ME AGAINST THE MUSIC

2003年。シングル盤。アルバムとは異なる4つのバージョンを収録。

TOXIC

2004年。シングル盤。

 
GREATEST HITS:MY PREROGATIVE

2004年。ベスト盤。

 
SOMEDAY(I WILL UNDERSTAND)

2005年。邦題「サムデイEP」。アメリカのテレビで放映されたブリトニー・スピアーズと夫のケビン・フェダーラインの生活追跡番組のテーマ曲を収録。

5
BLACKOUT

2007年。ハウスのサウンドになり、ブリトニー・スピアーズのボーカルにも幅が出てきた。コーラスがなくてもブリトニー・スピアーズのボーカルだけで聞かせることができる。コンピューターで作られた人工的なリズムやメロディーにも、引きつける音が多い。ブリトニー・スピアーズが作曲にかかわった曲は12曲のうち2曲しかないが、どの曲も出来がよく、女性歌手のダンス音楽風アルバムとして優れている。「ホワイ・シュド・アイ・ビー・サッド」はザ・ネプチューンズのファレル・ウィリアムズ作曲。

6
CIRCUS

2008年。前作に続きダンス音楽。リズムはプログラミングされた音で、エレキギターやアコースティックギターはほとんど出てこない。アフリカ系歌手ならもっとヒップホップに近いサウンドになるのだろうが、それほど凝ったリズムは使っていない。13曲のうちブリトニー・スピアーズが作曲にかかわっているのは3曲。歌い上げるようなバラードは入っていないし、入っていれば違和感が出るだろう。考えずに楽しむアルバム。

7
FEMME FATALE

2011年。ポップなダンス音楽。「イン・ザ・ゾーン」以降の路線を踏襲している。ブリトニー・スピアーズは作曲にかかわらず、日本盤のボーナストラックのみ共作となっている。「ビッグ・ファット・ベース」はブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アム、「ドント・キープ・ミー・ウェイティング」はブリンク182のドラム、トラヴィス・バーカーが参加している。ノリのいい曲を16曲並べたアルバムで、意味を求めるアルバムではない。「ファム・ファタール」はメリメの「カルメン」やプッチーニの「マノン・レスコー」で有名になった「男を破滅に追い込む魔性の女」。ジャケットの挑発的な表情にその意味が現れている。

8
BRITNEY GEAN

2013年。ブリトニー・スピアーズ、ブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アムを中心に制作し、エレクトロニクスを駆使したポップスとなっている。アップテンポなダンス音楽中心ではなく、アルバムの前半はバラードとダンス音楽が交互に出てくる。ポップスの最先端がレディー・ガガやリアーナやケイティ・ペリーに移り、ブリトニー・スピアーズへの注目度は2000年代前半ほどではないが、最先端から離れているわけではない。「イット・シュッド・ビー・イージfeat.ウィル・アイ・アム」「ボディ・エイク」はデヴィッド・ゲッタが作曲に参加。「パッセンジャー」はケイティ・ペリーが作曲に参加し、ブリトニー・スピアーズは関わっていない。ボーナストラックの「ナウ・ザット・アイ・ファウンド・ユー」を含め、アップテンポの曲はいい曲が多い。