BOYGENIUS

ボーイジーニアスは女性シンガー・ソングライターのジュリアン・ベイカー、フィービー・ブリジャーズ、ルーシー・ダッカスによるグループ。3人はいずれも1994、95年生まれ、2015~17年にデビュー。

BOYGENIUS

2018年。EP盤。6曲収録。3曲は3人が1曲ずつ持ち寄った曲。「バイト・ザ・ハンド」「ケチャム、アイダホ」はルーシー・ダッカス、「ミー・アンド・マイ・ドッグ」「スーヴェニア」はフィービー・ブリジャーズ、「ステイ・ダウン」はジュリアン・ベイカー、「ソルト・イン・ザ・ウーンド」はルーシー・ダッカスとジュリアン・ベイカーがボーカルをとる。ジュリアン・ベイカーは高めの声、フィービー・ブリジャーズはルーシー・ダッカスはやや低めの声。「スーヴェニア」「ケチャム、アイダホ」はアコースティックギター中心だが他の曲はオルタナティブロックの影響を受けている。

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THE RECORD

2023年。インディーロック、オルタナティブロック、カントリーではないインディーフォークの曲調で、電子機器をあまり使わないバンドサウンドが中心になっている。ソロではなく3人いることの利点を複数ボーカルやコーラスに生かしている。オープニング曲の「ウィズアウト・ユー・ウィズアウト・ゼム」はアカペラ。ボーカルは誰かが主導しているわけではなく、3人それぞれが同じ程度にリードボーカルをとる。ジュリアン・ベイカーが中心になったとみられる「$20」「ノット・ストロング・イナフ」「サタニスト」「アンチ・カース」はロックのハードさが目立つ。フィービー・ブリジャーズは「エミリー・アイム・ソーリー」「レター・トゥ・アン・オールド・ポエット」で過去にからむ心の痛みを歌う。ルーシー・ダッカスは経験したこと、見たことをシェリル・クロウのように歌い、聞き手に想像させる。3人の違いを強いて言えば、ジュリアン・ベイカーはロック、フィービー・ブリジャーズはシャンソン、ルーシー・ダッカスはフォークの手法で歌うけれども、アフリカ系の視点で見ればいずれもブルースだろう。同時代のSZAは、白人ならポップス、アフリカ系ならR&Bと呼ぶことに人種差別を嗅ぎ取っているが、ボーイジーニアスは女性をカテゴリー化することの女性蔑視を見抜いている。保守的価値観にユニバーサル的視点で対抗するところに現在の支持流行の基盤がある。