2009年。ギターを中心とし、若干のキーボードとエレクトロニクスを使う。ロックンロールではなく、編曲にある程度の変化を持たせたインディーズ風のロック。ロックンロール・リバイバルとシューゲイザーの影響が感じられる。イギリスから数年ごとに出てくるギター中心のバンドとしては、リバティーンズやアークティック・モンキーズよりも音楽的に知性が高いが、歌詞は未熟なままだ。ボーカルはドノヴァンに似た不安定さを感じさせるが、緊張感を与えるような不安定さではない。
2010年。アコースティックギター、ベース、ドラムによる、装飾の少ないアコースティックなサウンド。ドラムを使わない曲も多く、意表を突くサウンドと言える。11曲のうち2曲は過去に発表した曲の再録音、2曲はカバー曲。「アイヴィー&ゴールド」はカントリー風の編曲。日本盤は出なかった。
2011年。キーボード、エレキギター中心のロックサウンドに戻った。フリート・フォクシーズがエレキギターとキーボードを多用したような雰囲気だ。ボーカルにも、背景音としてのシンセサイザーにも、シューゲイザーのようなフィードバックがかかることがある。曲調は陰鬱にならず、ポップさを残している。静かに曲が始まり、曲の後半にシューゲイザーの手法が使われると、曲の盛り上がりという点では大きな効果をもたらす。「バッド・タイミング」「テイク・ザ・ライト・ワン」「ホワット・ユー・ウォント」「スティル」などはいい曲だ。12曲のうち8曲に参加している女性ボーカルがボーカルハーモニーの幅を広げ、浮遊感のある雰囲気の創出にも貢献している。インディー系のロックとしては最前線に出てきた。日本盤の帯にある「壮快なギター・ポップ」とは異なる。
2014年。ボーカル兼キーボードのジャック・ステッドマンによるサンプリング、サンプラーの多用が目立つ。ギター、ベース、ドラムはロックらしさの維持装置として機能している。したがって、キーボード、シンセサイザーを多用したロックのように聞こえ、ギターが後方に退いている。デビュー以来、ジャック・ステッドマンの音楽的関心をそのままアルバムに反映しているため、アルバムを出すごとにサウンドが大きく変わっている。しかし曲が不定型であることは維持しており、変化してもそれを肯定的に捉えることができる。このアルバムで活動休止。