2006年。ボーカル兼ギター、ギター、ベース、ドラムの編成で録音。あまりディストーションのかからないギターをロック風に演奏し、ベンジャミン・ブリッドウェルがやや高い声で歌う。商業的ではない曲調で、ポップあるいは豪快といった分かりやすさとは距離を置く。習作に近いサウンド。
2007年。ボーカル兼ギター、ギター兼ベース、ドラムの編成で録音。キーボードも使う。インディーロックがロックの主要なジャンルとなって以降の、いくつかの特徴的なサウンドを兼ね備えている。減衰音中心の演奏、やや深めの残響、70年代以前のロックへの傾倒、男性としては高めの声などが挙げられる。前作に比べギターに濁りがあり、ボーカルも力強くなっている。歌詞に特定のメッセージを込めたり、物語につながりを持たせたりしようとしないのも、インディーズらしさが出ている。日本盤は2008年発売。このアルバムで日本デビュー。
2010年。ギターが交代、ベース、キーボードが加入し5人編成。オープニング曲の「ファクトリー」からメロトロン風キーボードの活用と2声のボーカルを聞かせ、前作からサウンドを変化させたと印象づける。オープニング曲ながらミドルテンポだが、メロディーのよさ、曲のよさの自信の表れだろう。2曲目以降はギター中心で、エレクトロニクスも若干使う。「ブルー・ベアード」などはボーカルハーモニーも技巧的。「ウェイ・バック・ホーム」「ディリー」はメロディーが前向きだ。キーボード奏者が作曲した「オールダー」はキーボード中心ではなくスチールペダルのようなギターが中心になり、アメリカ南部らしさがある。
2012年。1970年代から90年代までのアメリカ西海岸のロックを、オルタナティブロックの視点で再現しようとしたようなサウンド。ギター中心となり、ロックンロールやウェストコースト風のロックが多くなっている。前作のようなインディーロックらしさは薄れている。「ダンプスター・ワールド」の前半はアメリカの「名前のない馬」のような雰囲気。「エレクトリック・ミュージック」はローリング・ストーンズのようなロックンロール。「ロング・ヴァウズ」は初期のニール・ヤングのような曲。
2016年。再びキーボードとギターを併用し、インディーロックに近いロックとなっている。オープニング曲は「インフィニット・アームズ」と同じようにミドルテンポで始まり、楽器の輪郭が曖昧なインディーズらしさを持っている。7分のうち5分が「ダル・タイムス」、2分が「ザ・ムーン」。「ハグ」はキーボード中心で、「インフィニット・アームズ」の「ファクトリー」のような曲。「カジュアル・パーティー」はポップなメロディー。インディーロックらしい曲とポップな曲が概ね交互に出てくる。