1984年。ギター2人の5人編成。メンバーの演奏だけですべての音を作っている。すなわちギターが3人分あったり、キーボードが入ったりしない。短く刻むギターが曲の大半を占めており、この時期のヘビーメタルの典型を体現していると言えるが、ボーカルが致命的に弱い。一部はアイアン・メイデンのポール・ディアノを思わせるが、ポール・ディアノには及ばない歌唱力だ。
1985年。ギターのメロディーの多彩さや編曲のうまさは向上している。ボーカルはそのままだ。メンバー5人全員が作曲にかかわっている。誰がメーンというわけではない。ハロウィンのデビューEPもボーカルが弱く、次のアルバムから曲がよくなってボーカルの問題が相対的に小さくなった。これと同じことがスティーラーでも発生しているが、スティーラーの曲のよさはハロウィンほどではない。ドイツのヘビーメタルが(英米に比べ)劣っているという評価に加担している。
1986年。このアルバムで現在のレーベルに移籍したため、日本のレコード会社がCD化している。ギター2人を含む5人編成。どの曲も英米のバンドに追従しており、ヨーロッパ的な暗さやドラマチックさはほとんどない。ボーカルは声域が狭く難あり。
1988年。前作から大きく飛躍し、曲がポップになった。ヘビーメタルというよりはハードロックで、多用するサビのコーラスも覚えやすい。世界的にハードロックが好調だった80年代後半、デフ・レパードやボン・ジョビ、ヨーロッパなどに刺激されたことは想像に難くない。アメリカのバンドと言われても違和感はない。
1990年。スティーラー脱退後、ギターのアクセル・ルディ・ペルが結成したバンド。メロディーが覚えやすく、それだけで高い作曲能力を示している。誰でも覚えられるメロディーを書くことは、それ自体が難しい技術であり、簡単ではない。ドラムはレイジ、ストラトバリウスのヨルグ・マイケル、ベースはボンファイアのヨルグ・ダイジンガーとU.D.O.のトーマス・ボドスとスティーラーのボルカー・クラウツァック。キーボードを含む5人編成。オーソドックスなヘビーメタルで、過小評価されている感がある。キーボードは目立った活躍をしていない。
1991年。ボーカルはインペリテリのロブ・ロック、ベースはボルカー・クラウツァック。バラエティに富み、3部構成のインスト曲や11分の長尺曲、カバーもある。それ以外の曲は基本的にオーソドックスなヘビーメタルで、ロブ・ロックのボーカルがうまいことを確認できる。インストの「オープン・ドアーズ」は、他の多くのギター・インストよりもはるかにアイデアがある。長尺曲は失敗か。
1993年。ボーカルはイングヴェイ・マルムスティーンズ・ライジング・フォースのジェフ・スコット・ソート。いわゆるヨーロッパ型のヘビーメタルではなく、どちらかと言えばアメリカ型のヘビーメタル、つまりくどい大仰さがない。また曲が単独で成り立ち、曲の間に連関はない。構成もシンプルだ。ドイツ人がこうしたスタイルを選択することがもはや個性の一部をなしていよう。
1993年。バラード集。
1994年。キーボードの使用が多くなり、最後のインスト曲ではギターとキーボードが交互にアップテンポで演奏している。個々の曲は申し分のないヘビーメタル。「ウィッシング・ウェル」はフリーのカバー。
1995年。ライブ盤。
1996年。オープニング曲のイントロをのぞく13曲のうち、ギターのインストが4曲。「フール・フール」は代表曲。アルバムタイトル曲はレインボーの「スターゲイザー」に似ている。アルバムの後半はクオリティーがかなり落ちる。ボーナストラックの「ヘイ・ジョー」はジミ・ヘンドリクスのカバー。スピーディーな「ゲッティン・デンジャラス」のベースはレイジのピーヴィー・ワグナー。
1997年。アルバムの真ん中に長い曲を置くのはずっと変わらない。その曲と最後の曲以外はツーバスを連打する曲ばかりで、アクセル・ルディ・ペルのアルバムの中で最もハードな作品。ボーナストラックはハロウィンのローランド・グラポウと共演している。
1998年。ボーカルがハードラインのジョニー・ジョエリ、キーボードがラフ・シルクのファーディー・ダーンバーグに交代。前作ほどのハードさはない。「アッシズ・フロム・ジ・オースはよくできた構成で、曲の盛り上がりが素晴らしい。全体的に曲が長くなっている。
1999年。バラード集の2作目。
2000年。ドラムがレイジのマイク・テラーナに交代。「ヴードゥー・ナイツ」はアクセル・ルディ・ペルの作曲ではあるが、ハードラインの「ホット・シェリー」に似た曲。今回はオープニング曲のイントロを除いて、インスト曲が一曲もないのが特徴。「テンプル・オブ・ザ・ホーリー」はレインボーの「テンプル・オブ・ザ・キング」を意識したか。最後の曲はユーライア・ヒープの「7月の朝」のカバー。原曲に大きく負けている。
2000年。ベスト盤。
2002年。アルバムの真ん中の長い曲がなくなり、8分台の曲が3曲ある。ハードさは控えめで暗めのバラードやミドルテンポの曲が多い。雰囲気はドラマチックなのでレインボーやロニー・ジェイムス・ディオ時代のブラック・サバスに似ている。
2002年。ライブ盤。
2004年。
2004年。バラード集の3作目。
2006年。
2007年。カバー曲集。
2008年。
2009年。ベスト盤。
2010年。
2011年。バラード集の4作目。
2012年。