1996年。ギター2人の5人編成。アメリカ・テキサス出身。サウンドは今でいうエモ、スクリーモで、ボーカルは若い。曲は平均3分以下。
1998年。ベースとドラムが交代、サウンドが厚くなり、曲も幅が広がっている。キーボードも取り入れた。ボーカルが前作から大きく向上し、安定している。コントロールできた勢いがあり、この当時の流行であるヒップホップとインダストリアル・ロックを若干含んでいる。ベースとドラムが安定しているのは大きい。
1999年。7曲入りミニ・アルバム。
2000年。「イン・カジノ・アウト」のサウンドで、曲やメロディーをさらにいい方向に進めた。プロデューサーはスリップノット、リンプ・ビズキット、KORN、セパルトゥラで有名なロス・ロビンソンで、ギターの浮遊感やサウンドの輪郭のあいまいさはそのままこのバンドにも使われている。ボーカルのセドリック・ビクスラーは衝動的な勢いを含みながらよく制御できている。CDのブックレットにはメンバーそれぞれのルーツが国旗で表示されており、アメリカのバンドでありながらアメリカ人を名乗るメンバーがいない。ボーカルとドラムはメキシコ、ギターの2人はプエルトリコとテキサス、ベースはレバノンとなっている。プエルトリコとテキサスはアメリカだが、メンバーはわざわざプエルトリコ領と併合前のテキサス合衆国のイメージを使っている。ここに「アメリカ人ではない」というメッセージが込められており、多文化主義、体制への非恭順が示されている。この後アット・ザ・ドライヴ・インは解散し、スパルタとマーズ・ヴォルタに分裂した。
2005年。アット・ザ・ドライヴインのベスト盤。18曲のうちアルバム収録曲が9曲、未発表曲等が9曲。
2017年。再結成。ギターの1人が交代している。前作から長期間経っているため、メンバーもその期間にさまざまな経験をしており、志向もその当時と同じであることはない。変化していないと不自然で、以前と同じであれば後退とみなすべきだろう。一般的に、20代から30代にかけて、認知構造が自分の衝動中心から全体把握や自己客観視に変わるため、若いときよりも予定調和性が高くなる。このアルバムでもボーカルはメロディーの流れを踏まえた歌い方をしており、ボーカルの勢いが曲の流れよりも先走っていたころとは異なる。メンバーがマーズ・ヴォルタ、スパルタ等を経て、全体を見渡した中での歌い方や演奏を行っており、そこにポスト・ハードコアのさらにその後を見出すことができる。今後は好きなようにアルバムを作っても許されるだろう。