1986年。ギター兼ボーカルを含む4人編成。オープニング曲のイントロはピアノとチャーチオルガンが使われているが、あとは突進するスラッシュ・メタル。過激なロックとして世界中がスラッシュ・メタルをやりはじめていたころの典型的なサウンドと言える。
1988年。専任ボーカルを入れ、ギターも2人入れ替わり5人編成になった。曲の質が急激に上昇し、西ドイツのヘビーメタルでは名盤とされてもよいほどだ。ボーカルの歌唱力が上がったうえにメロディアスになり、ギターもスラッシュ・メタルではなく、通常のヘビーメタルのようだ。メロディーを担うメンバーが全員入れ替わったとなれば、別バンドになったといってもよい。翌年解散し、ボーカルのS.L.クーはスキャナーに加入。
1998年。再結成し、キーボードを含む5人編成。このアルバムで日本デビュー。ベースとドラムはデビュー時から変わらない。ギターが主体で、キーボードはそれほど活躍しない。このバンドが再結成してこのようなサウンドをやっていることは、1997年に伝統的なヘビーメタルがヨーロッパでブームになったことが大きい。「スポットライト・キッド」はレインボーのカバー。
1999年。前作に比べ、ややハードさを抑え、プログレッシブ・メタル風になっている。キーボードも活躍するが、音はストリングスの代用に近く、そこがヨーロッパ特有の大仰さを作っている。アメリカのバンドなら、キーボードをストリングスの代用とせず、キーボードの音をはっきり決定する。
2000年。前作と同じ。アルバムの真ん中にミドルテンポの小難しそうな曲が続けて入っている。サウンドはドリーム・シアターを聞きやすくした感じ。むしろ十分にヘビーメタルで曲も適度に短いエンジェル・ダストの方が大衆性がある。「クロス・オブ・ヘイトレッド」はコーラスをうまく使っている。キーボードの使い方がこなれてきた。
2002年。ギターの音は現代風で好感が持てる。ドリーム・シアターよりはサバタージに近くなった感じだ。このバンドは時期によってサウンドがかなり異なるので、一概にどれが最高作か判断するのは難しいが、このアルバムは「トゥ・ダスト・ユー・ウィル・ディケイ」とともに名盤とされてもよいだろう。