ANGEL

キーボードのグレッグ・ジェフリア、ギターのパンキー・メドウズを中心とするアメリカのハードロックバンド。全員が白い衣装で統一されアイドルとして売り出された。アナログシンセサイザーを多用したプログレッシブ・ハードロックのサウンドだった。

1
ANGEL

1975年。邦題「天使の美学」。音圧の高いムーグ、メロトロンを中心にグレッグ・ジェフリアがキーボードを弾きまくるバンド。日本ではアイドル的人気が高かった。基本的にアメリカン・プログレッシブ・ハードロックだったが、そういう目で見る人はほとんどいなかった。ムーグの音はキース・エマーソン、イーソスを思い出す。「エンジェルのテーマ」はオジー・オズボーンのランディ・ローズが「ミスター・クロウリー」を作曲したときにメロディーを拝借したという。「ロックン・ローラーズ」収録。全米156位。

2
HELLUVA BAND

1976年。邦題「華麗なる貴公子」。「フィーリン・ライト」でギターとキーボードが長いバトルをしている。長尺の曲はプログレッシブ・ロックそのもの。白い衣装を着ているのはレコード会社のイメージ戦略。全米155位。

3
ON EARTH AS IT IS ON HEAVEN

1977年。邦題「舞踏への誘い」。1曲は5分で、あとは4分以下。コンパクトになって曲もポップになった。軽くなったということではない。「魅惑のテレホンコール」「痛快なる魔術」収録。全米76位。「痛快なる魔術」は77位。

4
WHITE HOT

1978年。邦題「天使の反逆」。3枚目から5枚目は、常に変化をともなっている。キーボードが中心人物になっているバンドは、70年代中期という時期を考えれば多くがプログレッシブ・ロックの影響下にあって、エンジェルもその例外ではなかった。「天使の美学」、「華麗なる貴公子」は、そのプログレッシブ・ロック趣味を丸出しにしていたが、「舞踏への誘い」で曲をコンパクトにまとめ、このアルバムでポップ路線を打ち出し、「甦った天使たち」でキーボードに頼らないサウンドを確立した。全米55位。「マイ・ハートエニィモア」は44位。

5
SINFUL

1979年。邦題「甦った天使たち」。コーラスをうまく使うようになり、フランク・ディミノのボーカルもややソフトになった。ポップ・ロックとしては曲の出来が優れている。キーボード偏重バンドから普通のロック・バンドの音になった。売れるための条件が出そろったときに解散。全米159位。

 
LIVE WITHOUT A NET

1980年。ライブ盤。キーボードはスタジオ盤と違うメロディーが多い。「オン・ザ・ロックス」の前半5分はキーボード・ソロ。「ロックン・ローラーズ」の間奏はギター・ソロを兼ねている。「ホワイト・ライトニング」は途中でドラム・ソロが入る。モット・ザ・フープルの「すべての若き野郎ども」をカバー。「フォクシー・レディー」はスタジオ盤未収録曲だがジミ・ヘンドリクスのカバーではない。全米149位。

AN ANTHOLOGY

1992年。ベスト盤。

6
IN THE BEGINNING

1999年。ボーカルとドラムが再始動して20年ぶりにレコーディング。ギター、キーボード兼任とベースの4人でやっている。グレッグ・ジェフリアは不参加。かつてのギターとベースも一部参加している。キーボードがあまり目立たないメロディアス・ロック。以前のきらびやかさはない。

7
RISEN

2019年。邦題「リィズン~華麗なる復活~」。1970年代当時のボーカルとギターを中心に再結成。ギター2人の6人編成。オープニングは「エンジェルのテーマ(2019年バージョン)」、エンディングは「タワー(2019年バージョン)」。「タワー」は原曲にほぼ忠実な演奏だ。70年代に比べてキーボードの音が抑えられている。作曲はボーカルとギターの2人、プロデュースはギターの2人なので、全体の曲調もギター中心になる。バンドの音楽的中心をキーボードと捉えていた人には想像とずれるかもしれない。ボーカルの音域もやや下がった。「ショット・オブ・ユア・ラブ」「ドント・ウォント・ユー・トゥ・ゴー」「スタンド・アップ」は当時のポップさがある。「1975」は懐古的なバラード。「(パンキーズ・カウチ・ブルース)ロックド・コックド・レディ・トゥ・ロック」はAC/DCの「バック・イン・ブラック」を下敷きにしたロックンロール。「デザイアー」のイントロはフォリナーの「衝撃のファースト・タイム」か。「タワー」の録音にストライパーのオズ・フォックスが関わっている。