アメリカン・フットボールはアメリカのロックバンド。4人編成。エモに分類される。スティーヴ・ライヒに影響を受けた反復音型のギターやシューゲイザー風のサウンド、苦悩と未練を残した歌詞、抑制された演奏などが、一般的なロックバンドとの差になっている。アルバムタイトルは全てバンド名と同じ。
1999年。2本のギターを中心に展開されるインディー・ロックのような曲調。演奏は長く、歌詞は短いながらも内省的だ。同時期にオルタナティブ・ロック、ヘビーロック等が流行していたが、それらが持っていた男性性、男性優位的なイメージとは逆の再帰的な心性が、中産階級の上位層に響いた。3人で録音し、ベースはボーカル兼ギターのマイク・キンセラが代役的に演奏しているため音が薄くなっている。これが結果的にミニマル・ミュージックらしさを強調している。「ザ・サマー・エンズ」「フォー・シュア」「ザ・ワン・ウィズ・ザ・ウーリッツァー」はトランペットが入る。「ネヴァー・メント」収録。
2016年。ベースが加入し4人編成。ベースがバンドの中で機能するようになり、ボーカルにもハーモニーが付くようになった。マイク・キンセラのボーカルも安定している。メンバー全員の演奏能力が上がっているため、演奏の危うさによる緊張感は少なくなった。トランペットは使われなくなっている。9曲全曲が3、4分台。
2019年。曲が4分台から7分台と長くなった。女性ボーカルが3人ゲスト参加し、過半数の曲でコーラスを付けるか、メインボーカルをとる。残響の長いグロッケンシュピールがキーボードの役割を果たしている。全体としてギターの輪郭があいまいになっており、「エア・アパレント」はシューゲイザーの影響がある。ジャケットもそのイメージを反映している。オープニング曲の「シルエット」はこのアルバムにグロッケンシュピールが大きく活用されていることを宣言している。ゲスト参加のボーカルはパラモア、スロウダイヴのメンバー。