1998年。エールはフランスの男性デュオ。ムーグやソリーナ、ローズなどの有名シンセサイザーを使い、バート・バカラックを近未来風にしたようなサウンドを作る。「夢織り人」のゲイリー・ライトのようなサウンドと言ってもよい。「セクシー・ボーイ」「オール・アイ・ニード」「ユー・メイク・イット・イージー」には女性ボーカルが加わり、いかにもフランスというような落ち着いた雰囲気で歌われる。歌詞は英語。「ス・マタン・ラ」は映画音楽といわれれば信じてしまう。
1999年。1997年に発売されたEPの日本盤。9曲入っているのでアルバム分の分量がある。
2000年。映画のサウンドトラック。エールの作品として認知されている。
2001年。「ムーン・サファリ」よりもはっきりとドラム(プログラミング)の音が出て、ポップスらしくなった。「セックス・ボーン・ポイズン」は日本語の歌詞がある。
2004年。「ムーン・サファリ」と「テン・サウザンズ・ヘルツ・レジェンド」の中間的な作風。日本人がフランスに対して持っている漠然とした偏見(おしゃれ幻想)を、いくらかはサウンドで体現している。少なくとも同じフランス出身アーティストであるダフト・パンクやローラン・ガルニエよりはパリのイメージに近い。
2007年。「シンフォニー」という単語が入っているので、裏ジャケットにはアルバムタイトルにドイツ・グラモフォンのような囲み装飾がついている。「ワン・ヘル・オブ・ア・パーティー」「日本海」では琴のような音が使われる。歌詞は特に日本を取り上げているわけではなく、「日本海」は日本海である必然性がない歌詞だ。オープニング曲はインストで、その後4曲ごとにインスト曲が入る。
2009年。「テン・サウザンズ・ヘルツ・レジェンド」以来のポップス、ロック寄りサウンド。「ソー・ライト・イズ・ハー・フットフォール」「イート・マイ・ビート」ではこれまでなかったようなエレキギターの音が出てくる。「ビー・ア・ビー」はロックそのものだ。これまでエールを聞いたことがない人には受け入れられやすいのではないか。