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TORTOISE

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TORTOISE
1994年。ドラム3人、ベース2人の5人編成。アメリカ・シカゴ出身。人の声が入る曲もあるが、基本的にすべてインスト曲。メンバー全員が同時に演奏するわけではなく、ベースの2人とドラム1人が中心になって曲を作る。ベースは一方が本来のベース、もう一方がギターの役割を担っている。多くのメンバーがキーボードや木琴、鉄琴も演奏できるうえ、録音後の編集・加工も行っているようで、バンド編成から見てもサウンドから見ても実験性が強いと感じられる。インスト曲であること、打楽器音が多いこと、音の加工が多いことが曲の神秘性を強くしている。メンバーの年齢層を考えると、ミニマル・ミュージックの大御所、スティーヴ・ライヒの「ドラミング」から影響を受けたと感じざるを得ない。
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MILLIONS NOW LIVING WILL NEVER DIE
1996年。ドラムの1人が脱けギターが加入。オープニング曲の「ジェド」が高く評価され、バンドが認知されるようになった。「ジェド」はいくつかの曲の断片をつなげて1曲にしたような曲。21分もあり、多くの聞き手に受け入れられるような曲ではない。6曲のうち、他の5曲は2分台と5分台なので、「ジェド」も5分台の曲が4曲つながっていると解釈できる。ライブでは、曲のつながり方や移行の仕方、曲の順番もその場限りで決められると考えられるので、ジャムバンド的な要素も持っていると言える。そこが多方面からの評価の源泉かもしれない。日本盤はボーナストラックとして「ガメラ」収録。
 
A DIGEST COMPENDIUM OF THE TORTOISE'S WORLD
1996年。「トータス」収録曲とアルバム未収録曲を収録した日本編集盤。15曲のうち、「トータス」収録曲が5曲、「トータス」のリミックス盤である「リズムス・レゾリューションズ&クラスターズ」から6曲、日本盤ボーナストラックが4曲。初心者向けガイドの企画盤なので、曲ごとに解説があり、ポストロックと呼ばれる前にスローコアと呼ばれていたことなどがわかる。
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TNT
1998年。トータスが世界中の音楽ファンに認知された代表作。一般的にはハードディスク・レコーディング(プロ・ツールズ)を駆使した最初のアルバムとして知られる。テープではなくデジタルデータによって音を管理するので曲の断片を加工しやすくなった。ハードディスク・レコーディングによる最も分かりやすい変化は、曲の断片の並べ替えが容易になったことだ。音を重ねることと加工することと並べ替えることには、それぞれ難易度に差があったが、それが同じ水準となって、大幅に扱いやすくなった。これは、曲を作るというよりも組み立てるというニュアンスに近くなり、心の中の音楽的イメージ(メロディー、リズム、ハーモニー等)から、実際に完成された曲に至るまでの制作過程に大きな変化をもたらす可能性がある。
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STANDARDS
2001年。バンドアンサンブルが重視されたようなサウンドで、ライブでもそのまま再現できそうな曲もある。前作の凝ったサウンドを考えると、反動とも取れるような変化だ。ドラム2人とベースの1人はキーボードとビブラフォン(鉄琴)も演奏し、ベースとギターは主にベースとギターを演奏する。「ブラック・ジャック」はこれまでのトータスのサウンドからすると古風。「イーデン2」と「イーデン1」は同じ素材が使われているという。日本盤は初回限定として「ザ・トータス・ブック」がついている。
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IT'S ALL AROUND YOU
2004年。「スタンダーズ」に近い路線。1曲ごとにメンバーの演奏楽器が書かれている。キーボードやギターは曲によって具体的に書かれ、ソリーナやローズ、ハモンドなどと記されている。ソリーナが入っていると70年代後半から80年代のサウンドに近くなる。「ザ・リチウム・スティッフズ」でスキャット風の女声ボーカルが入る。歌詞はないので、あくまでも楽器としての使い方に聞こえる。「ドット/アイズ」はハードな音だ。「エルメーソン、リンカーン&パーミアリー」は「エマーソン、レイク&パーマー」のしゃれだろう。ジャケットは写実的で、滝の近くに碁盤目状の都市があるのは、アメリカを意識していると思われる。
THE BRAVE AND THE BOLD/TORTOISE AND BONNIE 'PRINCE' BILLY
2006年。トータスとシンガー・ソングライターのボニー・プリンス・ビリーが協演し、カバー曲を録音した企画盤。ブルース・スプリングスティーンの「涙のサンダー・ロード」やエルトン・ジョンの「ダニエル」のような有名曲から、個人的趣味とみられる無名曲まで10曲をカバーしている。トータスのサウンドに乗る形でボニー・プリンス・ビリーがカントリー風ソウルで歌う。トータスの演奏は、これまでのトータスと似ていることもあれば、オルタナティブ・ロック風、70年代風もあり、一定ではない。サウンドにもう少し幅があってもよかったか。
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BEACONS OF ANCESTORSHIP
2009年。ビブラフォンを使わなくなり、ギターとシンセサイザーを中心にメロディーを作る。その結果、ロック、フュージョンのアルバムに近くなった。「プリペア・ユア・コフィン」ではギターの速弾きまで出てくる。「ペナンブラ」や「チャーターオーク・ファウンデーション」のように、ムーグやアナログ・シンセサイザーが出てくると70年代のプログレッシブ・ロックを想像する。「インシャンゲチェンチー」はハードコア風。
 
WHY WASTE TIME?
2010年。4曲入り日本企画盤。「パサライン」はサンプリングを「編曲」して作った曲だという。音の加工を積極的に行うアーティストならではの曲と言える。13分ある「アイス・・アイス・グレイヴィ」はいくつかの曲の断片がフェードイン、フェードアウトによってつなげられている。
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THE CATASTROPHIST
2016年。前作に続き、主としてシンセサイザー、ギター、ドラム、エレクトロニクスで構成。低音の響きや構成を考えている曲が多い。カバー曲以外、10曲ともバンドとして作曲したことになっており、バンドの誰がそれぞれの曲を作ったのか明らかでないが、メンバーごとの趣味は出ているのだろう。7分半の「ゲシープ」以外は概ね3、4分台で聞きやすい。「ロック・オン」「ヤンダー・ブルー」はボーカルがつく。いずれもメンバーではなくゲストが歌う。「ロック・オン」はデイヴィッド・エセックスの有名曲をカバー。

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