HardrockHeavymetal.com

はてなブックマークに追加

METALLICA

1
KILL 'EM ALL
1983年。邦題「血染めの鉄槌」。若さに任せているのか、全曲に勢いがある。スラッシュ・メタルの定義を音で示した。「ウィプラッシュ」「シーク&デストロイ」「メタル・ミリティア」収録。以前はボーナス・トラックにダイアモンド・ヘッドの「アム・アイ・イーブル」とブリッツクリーグの「ブリッツクリーグ」が入っていた。メガデスのデイブ・ムステインが4曲で作曲に関わっている。全米155位。
2
RIDE THE LIGHTNING
1984年。音質が向上。ギターにしてもドラムにしても、音圧が高くなっている。スレイヤー、アンスラックスがファースト・アルバムしか出していないこの当時では、スピード、重さ、リフなどのアグレッシブさは群を抜いていた。「クリーピング・デス」収録。全米100位、400万枚。
3
MASTER OF PUPPETS
1986年。邦題「メタル・マスター」。曲の展開が多いために一曲の演奏時間が長くなっている。このころにはスラッシュ・メタルがヘビーメタルの一大勢力となっているが、スピーディー、アグレッシブな方向に突き進むバンドが大量に生まれる中で、バンドがアレンジを聞かせる方に向いたことは賢明だった。「バッテリー」は代表曲。全米29位、500万枚。
 
THE $5.98 EP: GARAGE DAYS RE-REVISITED
1987年。邦題「メタル・ガレージ」。カバーを収録したミニ・アルバム。カバーされているのはダイアモンド・ヘッド、ホロコースト、キリング・ジョーク、バッジー、ミスフィッツ。ミスフィッツの最後にアイアン・メイデンの「誇り高き戦い」のイントロを挿入。全米28位。
4
...AND JUSTICE FOR ALL
1988年。邦題「メタル・ジャスティス」。ベースのクリフ・バートンが事故死したことにより、元フロットサム&ジェットサムのジェイソン・ニューステッドがベースになった。バスドラムの音が乾いており、ギターが無機質的な音だ。「ワン」で初めてビデオ撮影をしたことが物議を醸したが、メッセージ色が濃い内容だったため「商業主義に走った」という批判を一応は抑えることができた。しかし、メッセージ色が濃いビデオはメタリカが初めてというわけではなく、多かれ少なかれすべてのビデオクリップはメッセージ性を帯びている。メタリカの場合、そのメッセージが政治的で平和志向だととらえられ、「平和」の絶対的価値の前にファンは反論する意味を見失った。また、「ワン」のビデオ制作は、スラッシュ・メタル、あるいはメタリカが映像コンテンツとして魅力があると判断されたということであり、アンダーグラウンドであったスラッシュ・メタルがメジャー化したことの象徴だった。全米6位、700万枚。
5
METALLICA
1991年。スラッシュ・メタルはおろかヘビーメタル全体を通しても、特大ヒットとなった代表作。世界全体でヘビーメタルが最も売れたのは80年代中期から後期だが、90年代は時代遅れのイメージがつき、多くのバンドが苦戦した。代わって台頭したのはパンテラ型サウンドで、80年代から活動するバンドではメタリカが独り勝ちだった。オーソドックスなスラッシュ・メタルはスレイヤーが継承役となり、メタリカはヘビーメタルそのものの先導役となった。「エンター・サンドマン」「ジ・アンフォーギブン」「ナッシング・エルス・マターズ」収録。世界一売れたヘビーメタル・アルバム。全米1位、1200万枚。チャートインした期間の長さ、281週は、ロックではピンク・フロイドの「狂気」に次ぐ2位。以下、レッド・ツェッペリンの「IV」、ニルバーナの「ネバーマインド」と続く。
 
WHEREVER I MAY ROAM
1993年。シングル。日本盤は解説がついている。
 
 
LIVE SHIT!:BINGE&PURGE
1994年。CD3枚、ビデオ3巻のライブ・ボックスセット。普通のファンにとっては15000円という値段が商業主義に対する批判対象であり、熱心なファンにとっては買うかどうかが自らの存在を試す踏み絵であった。全米26位。
6
LOAD
1996年。サウンドの変化はある程度やむを得ないという雰囲気はあった。どう変化するのかというのが興味の対象だった。ファンはジャケットのバンドロゴの変化を見て、裏ジャケの短髪になったメンバーの写真を見て、その変化が小さくはないことを聞く前に感じ取った。聞き手が覚悟した状態で聞いたため、衝撃度はやや小さくなったと思われる。これが以前と同じロゴ、風貌で出されていたならば、問題作扱いになったはずだ。その意味で、イメージ戦略は成功している。故意に歪ませたボーカル・サウンドやトレモロアームを使ったギターなど、明らかにこれまでとは違う音が入っている。メタリカの比較対照はスレイヤーやメガデスではなくなり、また過去のメタリカ自身でもなくなり、同時代のトップ・バンドであるパール・ジャムやニルバーナとなった。そうした状況が新しい音に反映している。全米1位、400万枚。
 
UNTIL IT SLEEPS
1996年。ボン・ジョヴィやハロウィン並みにたくさんシングルを切ってくる。「アンティル・イット・スリープス(ハーマン・メルビル・ミックス)」は有名DJのモービーがリミックスしている。モービーは「白鯨」で有名なハーマン・メルビルの子孫。「キル・ライド・メドレー」は「キル・エム・オール」と「ライド・ザ・ライトニング」収録曲の6曲メドレー。「オーヴァーキル」はモーターヘッドのカバー。全米10位。
 
HERO OF THE DAY
1996年。シングル盤。「ストーン・デッド・フォーエヴァー」「ダメージ・ケース」「トゥー・レイト・トゥー・レイト」はモーターヘッドのカバー。全米60位。
 
 
MAMA SAID
1997年。シングル盤。
7
RELOAD
1998年。他のバンドに比べて特に変わったことをやっているわけではない。マリアンヌ・フェイスフルを参加させたり、バイオリンを導入したりする程度のことが実験的であるとはとても言えない。特にマリアンヌ・フェイスフルが参加する「ザ・メモリー・リメインズ」は、パティ・スミスが参加するR.E.M.の96年のシングル曲「E-ボウ・ザ・レター」と似ており、R.E.M.のまねをしたという印象がある。しかし、ロックバンドにサウンド上の挑戦を求める聴き方は、聞き手が1970年代から80年代のロックの価値観を持っていることの証であり、聞き手が90年代の価値観に対応できていないとも言える。ロックに進化や実験性を求めるのは、進化や実験的であることが正当だと考えるからであり、広く捉えれば、作曲家が芸術性の拡大に寄与することが正当とされるロマン主義的価値観である。よく考えると、ハードではなく込み入った構成でもない曲で占められるこのアルバムは、実験性がないことが90年代的価値観の反映だと聞き手思わせる力がある。その力の源泉は「メタル・マスター」から「メタリカ」にかけてロックバンドのトップに立ったという実績だ。全米1位、300万枚。
 
THE MEMORY REMAINS
1998年。シングル盤。マリアンヌ・フェイスフルが参加している。「キング・ナッシング(テピッド・ミックス)」はKMFDMがリミックス。全米28位。
 
THE UNFORGIVEN II
1998年。シングル盤。全米59位。
 
 
FUEL
1998年。シングル盤。
 
GARAGE INC.
1998年。これまでに様々な音源に収録されてきたカバー曲をまとめた企画盤。シン・リジーの「ウィスキー・イン・ザ・ジャー」、マーシフル・フェイト・メドレー、レイナード・スキナードの「チューズデイズ・ゴーン」などが注目に値する。全米2位、500万枚。
 
S&M
1998年。オーケストラと共演したバンドはたくさんある。オーケストラ側がロックに理解を示しているので、バンド側にカデンツァ的な部分を残している。対位法的でバンドに生々しさがある。指揮者がロック・アーティストのオーケストラ・アレンジをやっているため、メーン・メロディとカウンター・メロディの長けた構成が面白い。功労者はオーケストラではなく指揮者であって、バンドが賞賛されるべき部分は少ない。全米2位、400万枚。
 
TURN THE PAGE
1999年。シングル盤。ボブ・シーガーのカバー。
 
WHISKEY IN THE JAR
1999年。シングル盤。収録の6曲すべてがカバー。
 
 
DIE,DIE MY DARLING
1999年。シングル盤。
8
ST.ANGER
2003年。「ロード」、「リロード」とは変わり、スピーディーさが全編にわたって入っており、スラッシュメタルと呼ばれていたころからのファンは驚きとも満足ともとれる評価がある。ただ、歌メロは流行のラウドロックに近く、初期と最近の折衷したサウンドになっている。DVD付き。
 
ST.ANGER
2003年。シングル盤。ラモーンズの「コマンド」「トゥモロウ・ザ・ワールド」「スニッフ・サム・グルー」「ハッピー・ファミリー」のカバー収録。
 
 
FRANTIC
2003年。シングル盤。
 
 
UNNAMED FEELING
2003年。シングル盤。
9
DEATH MAGNETIC
2008年。「メタル・ジャスティス」から「メタリカ」のころに近いサウンド。個別の楽器が80年代から90年代のヘビーメタルの音になっている。それぞれの音も輪郭がはっきりしており、音階の移動も階段を上下するような明確な段差がある。このアルバムの(ヘビーメタルの世界での)新しさは、過去の自らのフレーズ(らしきもの)を現在のサウンドに参照させていることである。洋楽ではサンプリング等、呼び方はいろいろだが、珍しくない手法だ。ヘビーメタルの世界でも大陸ヨーロッパ型ヘビーメタルで使われている。そうした手法を(使い回しなどと)否定的にとらえる思考パターンしか持ち得ないヘビーメタル・ファンは多数いるので、ヘビーメタルしか聞かないファンには不評だと思われる。見方を変えれば、ウィリアム・バロウズが文学の中で取り入れ、ヒップホップに応用されたカットアップという手法の中に、カットアップされる対象として、かつての自分たちの曲が入ってきたサウンドとも解釈できる。しかし、ヒップホップになじみのないヘビーメタル・ファンが、そうした解釈をもってこのアルバムを聞き直すという姿は想像しがたい。ほとんどの曲が6分から8分あるが、どの曲も長いとは思わせない。
 
ALL NIGHTMARE LONG
2008年。シングル盤。8分弱ある。「ホエアエヴァー・アイ・メイ・ローム」「メタル・マスター」「ブラッケンド」「シーク・アンド・デストロイ」はライブ。ライブはいずれも歓声が大きい。
 
LULU/LOU REED&METALLICA
2011年。ルー・リードとメタリカの共演盤。2枚組。ルー・リードはポエトリー・リーディング型の歌い方で、バックではジェイムズ・ヘットフィールドもボーカルを取っている。「ミストレス・ドレッド」はメタリカの演奏がハードで、キーボードも被さっている。2枚目の「リトル・ドッグ」「ジュニア・ダッド」はルー・リードが主導権を取ったような文学的なサウンドだ。メタリカが演奏しているが、メタリカのアルバムではないゆえに、聞き手にも寛容さが生まれるだろう。1枚目は6曲40分、2枚目は4曲で47分。
 
BEYOND MAGNETIC
2012年。「デス・マグネティック」に収録されなかった4曲を収録した企画盤。7分前後が3曲、8分が1曲。特に驚くような要素はなく、テンポが頻繁に変わったり、ボーカルとともに曲が終わったりするところは「デス・マグネティック」や「セイント・アンガー」と同じだ。
THROUGH THE NEVER(MUSIC FROM THE MOTION PICTURE)
2013年。ライブ盤。2枚組。映画の撮影のために行われたライブを収録。「…アンド・ジャスティス・フォー・オール」「バッテリー」のイントロはバンドの演奏ではなく録音をそのまま流している。映画を切り離せば一般的なライブ盤と変わらない。特定のアルバムに絡んだライブではないので、有名曲ばかりを演奏しているという点ではライブ・ベストと解釈してもよい。選曲は80年代が多く、「ロード」「セイント・アンガー」からは選曲なし、「デス・マグネティック」から1曲のみ。

HOMEご意見はこちら → webmaster@hardrockheavymetal.com