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MANOWAR

1
BATTLE HYMS
1982年。4人編成。アメリカ出身。「バトル・ヒム」収録。なぜマノウォーはヨーロッパで支持されるのか、なぜそのヨーロッパで「超」人気バンドになれないのか、両方の答えがこのアルバムに見て取れる。アメリカで支持されずヨーロッパで支持されるのはヘビーメタルの音楽的形式を受け継ぐものの、そこから踏み外すことがないからだ。ヘビーメタルを客観化できず、ヘビーメタルと一体化した態度が、ヨーロッパの若年男性の、特に下層階級の認知構造と一致する。ベース・ソロの「ウィリアムズ・テイル」はロッシーニの「ウィリアム・テル序曲」。
2
INTO GLORY RIDE
1983年。ドラムが交代。大作指向になってきた。ドラマティックな曲が多い。ヨーロッパ人大喜びの音。
3
HAIL TO ENGLAND
1984年。「キル・ウィズ・パワー」収録。アメリカのバンドでありながら、詩に出てくる言葉は「アスガード」であり「ワルキューレ」であり「オーディン」である。80年代初期から中期にかけて、このようなサウンドを出しながら、ヨーロッパ世界の神話伝説を取り上げるバンドはヨーロッパにもなかっただろう。全英83位。
4
SIGN OF THE HAMMER
1984年。これまでのマノウォーのジャケットには剣しか出てこなかったのだが、このアルバムでハンマーが登場し、以降のアルバムには両方が必ず出てくるようになる。デビュー後一貫してロゴが変わらず、お約束のキャラクターが毎回登場するのはアイアン・メイデンに通じるものがある。「サンダーピック」はベース・ソロ。ヨーロッパの神話に関しては「戦神トール」「死戦士宣言(The Oath)」のように、そのものずばりというタイトルの曲が出てきた。全英73位。
5
FIGHTING THE WORLD
1987年。親しみやすいメロディーの曲も書けるようになってきた。ライブで合唱できそうな曲もある。「ファイティング・ザ・ワールド」「ブラック・ウィンド・ファイア・アンド・スティール」収録。曲のエンディングが大仰になってきている。ジャケットに初めてマノウォー・サインが登場。
 
DIFENDER
「ディフェンダー」にオーソン・ウェルズのナレーションが入ったシングル。
6
KINGS OF METAL
1988年。ヨーロッパのヘビー・メタル・ファンが望む音を実現しているにもかかわらず、なぜ、マノウォーは他の一流バンド並みに評価されないか。それは「プレジャー・スレイブ」のような曲を書くからだ。ヨーロッパ人男性の女性観はアメリカ人のそれと一緒ではない。あからさまに性的快楽を取り上げた曲を書くことはフェミニストでなくても嫌悪感を持つ人が多い。ファンのターゲットをヨーロッパに絞っているにもかかわらず、そのような文化的背景を知る人がいなかったことは、マノウォーにとって不幸なことだった。「クラウン&リング」や「ハート・オブ・スティール」ではオルガンやピアノを使い、荘厳さが加わっている。ベース・ソロの「スティング・オブ・ザ・バンブルビー」はリムスキー・コルサコフの「熊蜂の飛行」。本名かどうかは別にして「ウォリアーズ・プレイヤー」のおじいさんはアーサー・ペンドラゴン・ウィルシャーという名前。
7
THE TRIUMPH OF STEEL
1992年。邦題「勝利の鋼鉄」。ギター、ドラムが交代。1曲目は25分超の組曲。ヘクトールが主人公のようなので、ホメロスの「イリアス」を題材にした曲だと分かる。「スピリット・ホース・オブ・チェロキー」はアメリカ先住民について書かれており、戦記文学が好きな青年がヘビー・メタルをやるとこうなるという実例を見ているようだ。
 
METAL WARRIORS
1993年。「メタル・ウォリアーズ」、「ハート・オブ・スティール」のドイツ語版、「ファイティング・ザ・ワールド」のライブを収録したシングル。ジャケットは「勝利の鋼鉄」の全体図になっている。
 
 
THE HELL OF STEEL
1994年。ベスト盤。
8
LOUDER THAN HELL
1996年。神話世界を歌う曲はなくなった。大仰さも薄れているが、サウンドに変化はない。
 
NUMBER 1
1996年。「ブラッド・オブ・マイ・エネミーズ」と「キル・ウィズ・パワー」はライブ・バージョン。サビの部分でも歓声はほとんど聞こえないが、エリック・アダムスのボーカルは一切妥協していない。
 
COURAGE
1997年。シングル。「トゥデイ・イズ・ア・グッド・デイ・トゥ・ダイ」と2曲入り。
 
COURAGE LIVE
1997年。シングル。「ヘル・オン・ウィールズ・ライブ」からカット。2曲目は同曲のスタジオ版のリマスター・バージョン。
 
HELL ON WHEELS
1998年。2枚組ライブ盤。23曲収録で、1曲ごとに収録場所が違う。従ってつながっている曲はひとつもない。しかし、歓声はつながっているように聞こえる。「ウォリアーズ・オブ・ザ・ワールド」はエリック・アダムスのMCや歓声をつなげた曲。おもしろい試みだ。
 
HELL ON STAGE
1999年。2枚組ライブ盤。前作は96年から97年のライブ。これは98年のライブ。前作同様に1曲ごとに収録場所が違う。「ウォリアーズ・プレイヤー」から「ブラッド・オブ・ザ・キングス」は通常、一連をなしている曲で、「ウォリアーズ・プレイヤー」は語り。にもかかわらず、次の「ブラッド・オブ・ザ・キングス」は同一の場所ではなく、違う会場の音をつなげている。ライブそのものは実力通りで、エリック・アダムスのボーカルもよく声が出ている。「ウォリアーズ・プレイヤー」では、最初から最後まで語りを暗唱してしまう観客の声が聞ける。
9
WARRIORS OF THE WORLD
2002年。曲名に日本タイトルがない。3曲目はマーク・ボールズやトミー・ハートも歌ったプッチーニの歌劇「トゥーランドット」の「誰も寝てはならぬ」。すべての曲に「~に捧げる」というコメントがついており、2曲目は同時テロで亡くなった人とその家族に、7曲目は「ヘビー・メタルの父」ワーグナーに捧げられている。「アメリカの祈り」は誰が歌ってもいい曲に聞こえる。
 
 
WARRIORS OF THE WORLD(PART I)
2002年。シングル。
 
WARRIORS OF THE WORLD(PART II)
2002年。シングル。「キル・ウィズ・パワー」「ネッスン・ドルマ」はライブ・バージョン。99年のライブなので「ヘル・オン・ウィールズ・ライブ」と「ヘル・オン・ステージ・ライブ」収録曲ではない。
 
AN AMERICAN TRILOGY
2002年。シングル。「ネッスン・ドルマ」のオーケストラ・バージョン収録。
 
THE DAWN OF BATTLE
2002年。シングル。3曲目の「コール・トゥ・アームス」はアルバム収録曲だが、1、2曲目は未収録。いずれももったいないほどのすばらしい曲。「ザ・ドーン・オブ・バトル」は出だしからツーバスを踏み続け、途中でストリングスと男声合唱だけのバックでエリック・アダムスが朗々と歌い、再び、ツーバス連打のハードな部分に戻る。7分近くある大作。「アイ・ビリーブ」は男声合唱とパイプオルガンで始まるミドルテンポの曲。
10
GODS OF WAR
2007年。16曲で74分あり、曲の半分くらいは序曲や間奏曲になっている。1曲目はアルバム全体のイントロで、2曲目も3曲目に続くイントロになっている。「ヘイル・トゥ・イングランド」以来続いている北欧神話がテーマで、オーディンやロキといった神名がタイトルにも出てくる。北欧神話での戦争の神はオーディン。ドラマチックで壮大に仕上げてあるが、普通の人は74分も緊張感を維持することができないので、軽めの曲や雰囲気の異なる曲を入れてもよかったのではないか。カバー曲でもいい。
 
THE SON OF ODIN
2007年。EP盤。5曲すべてが「ゴッズ・オブ・ウォー」収録曲のバージョン違い。2曲はライブ。
11
BATTLE HYMNS MMXI
2010年。
12
THE LORD OF STEEL
2012年。「ロード・オブ・スティール」というタイトルは「キングス・オブ・メタル」と相似形をなしている。曲調も「キングス・オブ・メタル」に似ており、1990年代以降の大仰さは抑えられている。「マノウォリアーズ」「ヘイル・キル・アンド・ダイ」は「キングス・オブ・メタル」に入っていてもいいような曲。「アナイアレイション」はベースがギターよりも目立つ。オープニング曲はアルバムタイトル曲で、エンディング曲はそれに対応した「ザ・キングダム・オブ・スティール」となっている。
13
KINGS OF METAL MMXIV
2014年。1988年の「キングス・オブ・メタル」の再録音盤。曲順は変えており、「ヘイル・アンド・キル」「キングス・オブ・メタル」はフェードアウトだった曲がきちんとバンド演奏で終わるようになっている。「ウォリアーズ・プレイヤー」は子どももおじいさんも効果音も物語の内容も変わる。エリック・アダムスのボーカルは年齢とともに高音が出にくくなっているが、メロディーを変えている部分は少ない。「熊蜂の飛行」は以前の方がよかった。「プレジャー・スレイブ」を収録しなかったのは長年批判があったからだろう。

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