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GAMMA RAY

1
HEADING FOR TOMORROW
1990年。ハロウィンを脱退したカイ・ハンセンがタイラン・ペイスのボーカル、ラルフ・シーパースとともに結成したバンド。4人編成。クイーンのようなオペラ風コーラスは既に聞かれる。イントロがあり、ドラマチックでスピーディーな「ラスト・フォー・ライフ」に移っていく形式はハロウィン時代と同じ。最後に長い曲が入っているのもハロウィンと同じ。「マネー」はカイ・ハンセンとラルフ・シーパースが2人でリード・ボーカルをとり、声を音響上の楽器として使っている。「サイレンス」はすばらしいバラード。ユーライア・ヒープの「対自核」のカバー収録。日本ではカイ・ハンセンの名前で発売された。ラルフ・シーパースはこのアルバムに参加したことによって大きく知名度を上げ、実質的にほとんどのヘビーメタル・ファンがこのアルバムで名前を知ることとなった。
 
HEAVEN CAN WAIT
1990年。シングル盤。デビュー盤は「クイーン、スティクス、ピンク・フロイド、シャム69」の影響を受けているという。未発表の2曲目はキーボードが活躍するポップな曲。4曲目はカイ・ハンセンのエモーショナルなギターが活躍するインスト。
 
WHO DO YOU THINK YOU ARE
1990年。シングル盤。ギターが1人増え5人編成。
2
SIGH NO MORE
1991年。イントロからスピーディーな曲というオープニング形式は踏襲していない。ヘビーメタル然としたパワフルな曲もあるが、リラックスした感じの曲が多い。ハロウィンとブラインド・ガーディアン、ガンマ・レイのデビュー盤によって認知された典型的ジャーマン・メタルからは幾分離れている。「リッチ・アンド・フェイマス」収録。
3
INSANITY AND GENIUS
1993年。ドラムとベースが交代。再びアグレッシブな曲がオープニングになった。ギターのダーク・シュレヒターが作曲した「ヒール・ミー」はオペラ風ですばらしい。「トリビュート・トゥ・ザ・パスト」収録。「ザ・ケイヴ・プリンシプル」のエンディングはエイドリアン・ガーヴィッツのガンを思い起こさせる。
 
FUTURE MADHOUSE
1993年。バース・コントロールの「ガンマ・レイ」のカバーのロング・バージョンと「ドリーム・ヒーラー」のデモ・バージョン収録。
4
LAND OF THE FREE
1995年。ボーカルのラルフ・シーパースが抜けカイ・ハンセンがボーカルを兼任するようになった。「フェアウェル」でブラインド・ガーディアンのハンジー・キアシュ、「ターン・トゥ・ブレイク・フリー」でハロウィンのマイケル・キスクが参加。「マン・オン・ア・ミッション」「ランド・オブ・ザ・フリー」はガンマ・レイの個性を確立した曲。多くの曲で勢いが異なり、デビュー盤並みの傑作となった。
 
REBELLION IN DREAMLAND
1995年。「ランド・オブ・ザ・フリー」のオープニング曲。ホロコーストの「ヘビー・メタル・マニア」のカバーもある。
 
SILENT MIRACLES
1996年。バラード4曲入り。「ミラクル」は「マン・オン・ア・ミッション」のバラード版。「サイレンス」はカイ・ハンセンのボーカルによる再録音版。ダーク・シュレヒターはいい曲を書く。アルバム未収録曲1曲収録。
 
 
ALIVE '95
1996年。ライブ盤。
5
SOMEWHERE OUT IN SPACE
1997年。ギターにヘニユ・リヒター、ドラマーにダニエル・ツィマーマン加入。ダーク・シュレヒターはベースに転向。ユーライア・ヒープのカバー「リターン・トゥ・ファンタジー」収録。ガンマ・レイの個性が最も強く表れたアルバム。序曲的なイントロ、マイナー調のツイン・ギター、連打されるバス・ドラム、重層コーラスがつくサビ、統一されたテーマ。今のところ最高傑作か。
 
VALLEY OF THE KINGS
1997年。アルバムに先駆けて発売されたシングル。ジューダス・プリーストのカバーが入っている。
6
POWER PLANT
1999年。前作のような畳みかけるメロディーは一歩後退したが曲の構成が練られている。ペット・ショップ・ボーイズの「イッツ・ア・シン」のカバー、日本盤ボーナストラックでレインボウの「ロング・リヴ・ロックン・ロール」のカバー収録。
 
 
BLAST FROM THE PAST
2000年。ベスト盤。2枚組。
7
NO WORLD ORDER
2001年。前作の路線。どのアルバムでも覚えやすいメロディーの曲があり、ヨーロッパ型ヘビーメタルのよさを先導、継承している。最後の「イーグル」「レイク・オブ・ティアーズ」はハロウィンの「守護神伝パート2」を思い出させるサウンド。
 
HEAVEN OR HELL
2001年。先行シングル。シン・リジーの「エンジェル・オブ・デス」のカバー収録。2曲目の「ソリッド」は単純なツー・バスの連打がアイアン・セイヴィアー風だと思ったら、アイアン・セイヴィアー用に書かれた曲だという。
 
SKELETONS IN THE CLOSET
2003年。ライブ盤。2枚組。ガンマ・レイの代表的な曲ではない曲をやる公演を録音しているので、「ランド・オブ・ザ・フリー」等は入っていない。ライブ盤は1996年の「アライヴ95」以降出ていないので、「ノー・ワールド・オーダー」の代表曲とみられる「ノー・ワールド・オーダー」「ヘヴン・オア・ヘル」が収録されている。バルセロナとストラスブールで録音しており、バルセロナの公演は2002年10月末のハロウィンとなっている。18曲のうち「ウェルカム」は1分のイントロ、「ダンズ・ソロ」はドラムソロ。ガンマ・レイ以外の曲はハロウィンの「ヴィクティム・オブ・ヘイト」のみ。観客との掛け合いは「ヘヴィ・メタル・ユニヴァース」で聞かれるが、曲間のしゃべりは曲紹介がほとんど。カイ・ハンセンのボーカルは聞きやすい。日本盤はハロウィンの「アイ・ウォント・アウト」がボーナストラックとなっている。
8
MAJESTIC
2005年。「サムホェア・アウト・イン・スペース」と「パワー・プラント」の間にあるようなサウンド。オープニング曲はスピーディーだがイントロはついていない。「ブラッド・レリジョン」「マジェスティ」はやや長めの曲で、短めの曲よりもよくできている。「ハウ・ロング」はシングルにすればヒットしそうな曲で、キーボードの音もポップだ。
9
LAND OF THE FREE II
2007年。1995年の「ランド・オブ・ザ・フリー」の続編とされるアルバム。ジャケットのデザインもそれに沿っている。「ランド・オブ・ザ・フリー」はボーカルがカイ・ハンセンになってから最初のアルバムで、カイ・ハンセン主導のバンドとしては原点にあたる。ある程度の質が保たれていることが聞く前から分かっているのは安心だ。「エンプレス」は女帝を意味する歴史用語で、一般的に想像されるのはイギリスのエリザベス女王かロシアのエカチェリーナ2世である。前者は好意的評価の代表、後者は否定的評価の代表として挙げられる。この曲の場合はロシアのエカチェリーナ2世について歌っている。間奏に出てくるのはロシア民謡の「ポーリシュカ・ポーレ」で、世界的に有名。日本盤の解説のような、アクセプトの「ボールズ・トゥ・ザ・ウォール」に言及するのは不自然だ。
10
TO THE METAL!
2010年。「トゥ・ザ・メタル」というタイトルは、サウンドを変えないことを宣言するのと同義だ。赤と青を基調にするジャケット、ハロウィンのマイケル・キスクの参加も、聞き手を安心させる。サウンドもこれまでと変わらないヘビーメタルで、厚めのコーラスや若干のキーボードもつく。展開の多さやメロディーの分かりにくさを「難解さ」と結びつけて評価する人は、分かりにくさを高度な作曲能力ゆえと考える傾向があるため、覚えやすいメロディーや、明るい曲調を過小評価しやすい。音楽に対する思考パターンによってアルバムの評価は変わるだろう。
11
EMPIRE OF THE UNDEAD
2014年。中心人物のカイ・ハンセンが影響を受けたクイーン、ジューダス・プリースト、ハロウィンを思わせるフレーズが所々に入るけれども、曲としてはどれもガンマ・レイの自作曲となっている。「タイム・フォー・デリヴァランス」などにはキーボードが使われるが、通常のヘビーメタルの曲はバンド演奏で完結しており、装飾を排したサウンドとなっている。日本盤ボーナストラックの「サムデイ」はエレクトロニクスを使った2010年代のポップな曲。かつてペット・ショップ・ボーイズのカバーをしたこともあるので意外なサウンドというわけではないが、カイ・ハンセンの音楽的幅の広さを示すサウンドと言える。ヘビーメタルに深く傾倒する、追究するという創作上の理念はアルバムだけの話で、ユニソニックではハードロックをやり、アルバム以外の録音では趣味を抑制しないのだろう。

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