BLACK MIDI

ブラック・ミディはイギリスのロックバンド。4人編成。ボーカル兼ギター、ギター、ベース、ドラムの4人編成。サックス、キーボードを含め、バンド演奏による高密度なポストパンク、ロックを標榜する。

1
SCHLAGENHEIM

2019年。ギター2本、ベース、ドラムの古典的な編成を曲の中心として、多数の付随的楽器を使う。リズムやテンポは変化を繰り返すが、曲のハードさは失わない。キーボードよりも各種の撥弦楽器や打楽器を多用し、シンセサイザーやサンプリング由来の電子的な音は少ない。衝動的に演奏しているように聞こえる曲でも、演奏の安定性がある。日本盤ボーナストラックの「トーキング・ヘッズ」はトーキング・ヘッズを思わせる歌詞ではないが、曲はポストパンクだ。

2
CAVALCADE

2021年。ギターが抜け3人編成。サックス奏者とキーボード奏者が参加している。前作よりもキーボードの音が増えている。相対的に、ギターとベースが即興風に同時演奏するハードな部分は減っている。「イントロ」は1分半のシンセサイザー主体のインスト曲。「ジョン・L」は密度の高い演奏に朗読のようなボーカルが加わる。全体的に、プログレッシブロックのバンドがジャズやファンクに影響を受けたような技巧的なアンサンブルを繰り広げる。曲の出だしや途中で息詰まるアンサンブルを緩和する部分も設定される。演奏力の見本市のような構成、ボーカルのスタイル、80年代以前のジャンルが豪快さと緻密さをもって掛け合わされている。

3
HELLFIRE

2022年。前作に続き、サックス奏者とキーボード奏者が参加。メロディー楽器としてはギターよりもピアノやサックスの方が活躍する。ボーカルは楽器並みに表現力と技術が上がっている。アルバムは曲順に従って聞かれるような歌詞になっているが、内容は抽象的でSF風だ。ミートローフの「地獄のロックライダー」のような確定できるような物語にしていないかもしれない。しかし、現在の懸案や不安が未来にも同じように続いているというような内容は、現在の状況への抗議と言える。ハードなポストジャズパンクとでも言えそうな、分類を拒否する曲調だ。