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VALENTINE

1
ROBBY VALENTINE/ROBBY VALENTINE
1992年。次作の「マジック・インフィニティ」で日本デビューしたときに同時発売された。ピアノを中心とするキーボードと厚いコーラスを中心に抑揚の大きい曲を作る。キーボードはメロディーの上がり下がりが大きく、速い。コーラスはクイーンの影響が強い。「マジック・ブリーズ」「アイ・ビリーブ・イン・ユー」「オーヴァー・アンド・オーヴァー・アゲイン」収録。ビートルズのカバーもある。
2
THE MAGIC INFINITY/ROBBY VALENTINE
1993年。日本デビュー盤。前作をさらに大仰にしたコーラス。その中でも「ノー・ターニング・バック」は特にオペラチックだが、ギターがクイーンのブライアン・メイそっくりの部分が出てくる。
 
LIVE&DEMOS
1994年。「ロビー・ヴァレンタイン」収録の3曲のデモ・バージョンとライブ3曲。ライブは日本盤として初めて公式に出た。3曲ともMCでつながっており、音や歓声の切れ目がない。
 
HAND IN HAND
1995年。シングル盤。アルバム未収録曲。阪神・淡路大震災の被災者支援を目的に発売された。売り上げは義援金として寄付された。ライブ3曲収録。ボーカルはスタジオ盤とほとんど同じで、メロディーを変えたりしていない。
3
VALENTINE
1995年。代表作。ハードロック・ヘビーメタルの中だけで評価をするのはもったいない。ロックというジャンルで評価されるべきだ。前作に比べ曲の幅が広がっている。「ゴッド」「モーニング・ミンストレル」「ドリームズ・ネヴァー・ダイ」収録。
 
WHERE DO WE GO FROM HERE
1995年。シングル盤。アルバムとはバージョン違い。3インチシングルなので収録は2曲。
 
GOD
1996年。クイーンの「ボヘミアン・ラプソディー」に似た曲。3インチシングルなので収録は2曲。
4
UNITED
1997年。クイーン、ビートルズにELOの雰囲気が混じってきた。「コンチェルト・フォー・ジ・アンコンディショナル・ラブ」はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番の冒頭を使用。このアルバムから日本のみの発売となっている。
 
I BELIEVE IN MUSIC
1997年。シングル盤。
 
CHRISTMAS IN HEAVEN
1997年。クリスマス曲2曲、ショパンの幻想即興曲、ベートーベンの「歓喜の歌」、「アイ・ビリーブ・イン・ユー」のモーツァルト・バージョン。モーツァルトの時代には現在のようなピアノは存在せず、ピアノより音域が狭く音量の小さいピアノフォルテが鍵盤楽器の主流だった。本格的なピアノが完成したのはモーツァルトの死後、ベートーベンの時代だ。したがってベートーベンあたりから始まるロマン派以降の激情、抒情的な弾き方は想定されていない。モーツァルトは宮廷のサロンで貴族向けに作曲し、細やかな装飾音や流れるような旋律を至近距離で聞かれることを想定していた。したがって、大ホールで鍵盤を強打して弾き鳴らすというイメージではない。また、ショパンのように自分の内面を曲に反映させるような作風でもない。内省的すぎず、過剰に劇的でもない抑制された演奏は、モーツァルトの特徴をよく研究している。
5
NO SUGAR ADDED
1998年。もはや「クイーン的」と呼べるのはギターの音と2、3曲のコーラス・ハーモニーくらいで、アメリカのハードロックに近くなっている。キーボードを多用したサミー・ヘイガー時代のバン・ヘイレンや、80年代のジャーニーを思わせる。初期のヴァレンタイン臭さは薄れつつある。シングルが出なくなり、アイドル的人気も落ち着いた。
 
V
1999年。ヴァレンシアと共演したアルバム。「ライオン」はスウィートの「フォックス・オン・ザ・ラン」とキッスの「シャウト・イット・アウト・ラウド」を足して割った感じ。2人で一緒にアルバムを作ったからといって、単独作品より質の高い作品ができあがるかといえばそうでもない。随所にクイーン、ELO等の強い影響がうかがえるのはソロ作品でも同じで、それとは違う何かを生み出さなければ評価は得られない。
6
BELIEVING IS SEEING
2000年。前年にヴァレンシアと共作アルバムを出したが、「ホワット・イン・ザ・ワールド・アイム・ウェイティング・フォー」はヴァレンシア、またはヴァレンシアが影響を受けたスパークスからの影響が見られる。ホーン・セクション風キーボードもかつてない試み。音楽的ルーツはレッド・ツェッペリンまで広がっている。2007年に発売された「フォーリング・ダウン・イン・ミスアンスロポリス」の解説の中で、ロビー・ヴァレンタインは「ホワット・イン・ザ・ワールド・アイム・ウェイティング・フォー」について、グウェン・ステファニーのソロ・デビュー・シングルの「ホワット・ユー・ウェイティング・フォー?」のボーカル部分に借用されたと言っている。似ているが、借用されたかのように言うのは大人げない。
 
VALENTINE vs VALENSIA
2002年。前作(「V」)よりは曲の構成が練られている。しかし、曲ごとにどちらが作曲したかが分かるようにマークがついていることから、2人で一つのものを作り上げようとする意識はないようだ。自分の書いた曲を一枚のCDに同時収録した、という作品。芸術的な目的とは別方向のベクトルが存在することを暗に感じさせる。
7
THE MOST BEAUTIFUL PAIN
2006年。邦題「モスト・ビューティフル・ペイン~愛憎美劇」。ヴァレンタイン単独のアルバム。オープニング曲から4曲目までは人工的な電子音が入ったりギターの音の濁りが大きかったりしてサウンドがモダンになった印象を受ける。特に「愛・シュッド・ハヴ・ノウン・ベター」はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの「キリング・イン・ザ・ネーム」の影響を受けている。ヴァレンタインはこれまでにもラップを取り入れたことがあるが、この曲ではレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの代表曲という、誰にも分かりやすい形でギター・フレーズを似せている。5曲目以降はクイーンやビートルズ路線に戻り、従来の厚いコーラスが聞ける。このアルバムから再びヨーロッパでも発売されるようになった。
8
FALLING DOWN IN MISANTHROPOLIS
2007年。アバの「SOS」とクイーンの「フリック・オブ・ザ・リスト」のカバーを入れ、音楽的ルーツを素直な形で出した。「フリック・オブ・ザ・リスト」のエンディングはクイーンの「オウガ・バトル」を忠実に再現して挿入している。前作からの、ややモダンなサウンドは継続。「ロック・ミー・ライク・ア・ハリケーン」はリズムがエレクトロ・ポップで、ロックのドラムではない。スコーピオンズの「ロック・ユー・ライク・ア・ハリケーン」とは関係がない。「ショウ・ユア・フェイス」のイントロはアンドリューW.K.のようなキーボードが聞ける。
 
ANDROGENIUS
2008年。2枚組ベスト盤。「マジック・ブリーズ」「オーヴァー・アンド・オーヴァー・アゲイン」「ノー・ターニング・バック」「アイ・ビリーヴ・イン・ユー」は再録音されている。
9
RV
2016年。2枚組のうち、「ビザロ・ワールド」は通常のアルバム、「ザ・クイーン・アルバム」はクイーンのカバー25曲収録したアルバムで、「RV」はこの2枚の総称。それぞれのアルバムは2014年に出ていたが、日本のレコード会社との契約を得て、2枚組として発売されている。従来通り、ロビー・ヴァレンタインによる多重録音でほとんどのボーカルハーモニーを構築している。「ザ・クイーン・アルバム」は全ての楽器をロビー・ヴァレンタインが演奏していると明記されているが、「ビザロ・ワールド」もほとんどそれに近いとみられる。日本盤はロビー・ヴァレンタインが自ら解説を書いており、どの曲がどのアーティストに影響を受けているかを明らかにしているが、「スキツォフォニケイテッド」のミューズ、「ロックスター」のマリリン・マンソンは、書かれなくても分かるというくらいに雰囲気が出ている。「ロックスター」「トリップ・トゥ・ザ・ムーン」「フロム・ダスク・ティル・ドーン(ウィ・ガット・ザ・グルーヴ)」などはエレクトロニクスを用いている。2000年代の有名アーティストに似た曲調にしたり、エレクトロニクスを取り入れたりしたとしても、ヘビーメタル風のギターやクイーン風のコーラス、80年代的なアンサンブルの整合感を続けている限り、世界のロックの一線に復帰することはないだろうということも確認させてしまう。ボーナストラックでデヴィッド・ボウイの「火星の生活」をカバーしている。

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