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STRAPPING YOUNG LAD/DEVIN TOWNSEND

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HEAVY AS A REALLY HEAVY THING/STRAPPING YOUNG LAD
1995年。邦題「超怒級怒濤重低爆音」。ストラッピング・ヤング・ラッドはボーカルのデヴィン・タウンゼンドを中心とするバンド。ドラムやギター、キーボードを機械的なサウンドにしているが、それが逆に安定したリズムを生みだし、安心できる。音の密度が濃く、機械的に処理されたサウンドも多いが、それに対する拒否反応は全く出てこない。むしろマシンガン的連打が心地よく聞こえる。音を分厚くしているので、普通のヘビーメタルがとても貧弱に感じられるようになる。
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COOKED ON PHONICS/PUNKY BLUSTER
1996年。邦題「史上最高の偽者パンク」。デス・メタル・バンドがパンクをやるという設定で、物語性が強い。ストーリーのアイデア自体はいわゆる楽屋ネタで、これといった驚きはない。日本でもフォーク・グループが時代とともにロック、ニュー・ミュージック、テクノへとサウンドが変わっていく様子をネタにしたアルバムがあり、このアルバムもその一種。内容も平凡だ。「メタル・ヘッズはパンク・ロッカー」はラモーンズの「シーナはパンク・ロッカー」のカバー。
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BIOMECH/OCEAN MACHINE
1997年。ストラッピング・ヤング・ラッドのボーカル兼ギター、デヴィン・タウンゼンドが、ベース、ドラムの3人編成で結成したバンド。サウンドは厚いがメロディーはハードロックに近く、曲の質も高い。デヴィン・タウンゼンドはゆっくり歌えばU2のボーカルに似ており、曲によっては80年代中期以降のピンク・フロイドのようなところもある。ストラッピング・ヤング・ラッドのようなスピード感や圧迫感、重量感等はなく、名前を変えて出した意味がある。傑作。
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CITY/DEVIN TOWNSEND(STRAPPING YOUNG LAD)
1997年。邦題「歌舞伎町から超鋼鉄重低爆撃」。前作のハードな部分をより多くしたようなサウンド。機械的、人工的なサウンドとロックの荒々しさがうまく組合わさっている。
 
NO SLEEP ’TILL BEDTIME LIVE IN AUSTRALIA/STRAPPING YOUNG LAD
1998年。邦題「豪州から(生)鋼鉄重低爆音」。ライブ盤。「超怒級怒濤重低爆音」と「歌舞伎町から超鋼鉄重低爆撃」のハードな曲を中心に選曲されている。ほぼスタジオ盤通りの演奏。最後の「ファー・ビヨンド・メタル」はスタジオ盤未収録。ジーン・ホグランのドラムがすごい。日本盤はTシャツ付き。「歌舞伎町から超鋼鉄重低爆撃」のデモ・バージョンが4曲入っているが、ライブそのものは30分以下しか収録されていない。
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∞(INFINITY)/DEVIN TOWNSEND
1998年。デヴィン・タウンゼンドのソロとして最初の作品で、曲はバラエティー豊かだ。ギターやキーボードなどでサウンドを厚くしており、ポップな曲もある。何でも厚くないと気が済まないようだが、そういう音を好むアーティストは昔からおり、エレクトリック・ライト・オーケストラもそうだった。エレクトリック・ライト・オーケストラの場合、サウンドは宇宙的で、近未来的だった。このアルバムはロックのスタイルで演奏されているが、「バッド・デヴィル」や「アンツ」、「コロニアル・ボーイ」などはクイーンやスパークスがやっていてもよさそうな音。
 
INFINITY-CHRISTEEN+4DEMO/DEVIN TOWNSEND
1999年。シングル盤。デモが4曲入っているが、4曲とも完成されたバージョンは存在しない。
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PHISICIST/DEVIN TOWNSEND
2000年。デヴィン・タウンゼンドとして出しているが、バックの演奏はストラッピング・ヤング・ラッドと同じ。サウンドもそれに近い。ややメロディアスな曲があるところがデヴィン・タウンゼンドのソロであることを感じさせる。ボーカルはメロディーを歌っていることが多い。最初の2曲はドラムのジーン・ホグランが高速でバスドラムを踏んでいる。「デス」は激しい。
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TERRIA/DEVIN TOWNSEND
2001年。オーシャン・マシーンの「バイオメック」の路線。厚いキーボードとギターで覆われ、ミドルテンポで進んでいく。アルバム全体に統一感があり、80年代中期以降のピンク・フロイドがギターとキーボードをヘビーロックにしたような印象。ギターの音が濁っていながらサウンドはきれいに整えられており、この手のギターサウンドを使うバンドに大きな可能性を与える傑作。
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ACCELERATED EVOLUTION/THE DEVIN TOWNSEND BAND
2003年。デヴィン・タウンゼンドのバンドを名乗り、メンバーはストラッピング・ヤング・ラッドとは異なる5人編成。「フィジシスト」ほどハードではなく、高速リズムなどはないがロックサウンドの生々しさがある。バンドなのでヘビーメタルのようなギターソロもある。「デッドヘッド」は「テリア」の作風に近い。
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STRAPPING YOUNG LAD/STRAPPING YOUNG LAD
2003年。邦題「帰ってきた超高速怒轟重低爆音」。これまでのストラッピング・ヤング・ラッドと変わらないサウンド。デビュー当時のような機械的効果音は少なく、バンドサウンドがほとんど。ジーン・ホグランのドラムがすばらしい。
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ALIEN/STRAPPING YOUNG LAD
2005年。オープニング曲から7曲目まで、ハードな曲が続き、8、9曲目はデヴィン・タウンゼンドがソロで出したアルバムのような曲、10曲目で再びハードになり、最後の曲はSE。「超怒級怒濤重低爆音」ほど機械的ではなく、ドラムは人間が演奏しているであろう印象を受ける。8曲目までと、それ以降は異なる性格にしているのかも知れないが、総体は前作の路線。
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SYNCHESTRA/THE DEVIN TOWNSEND BAND
2006年。「テリア」と同じように、自然の音を取り入れ、アルバム全体を1曲のように作曲している。これまでと同様のサウンドで、シンバルの音が割れたりしないのはボストンを思い出す。「ヴァンポルカ」はベンチャーズの「パイプライン」のようなメロディー。曲のタイトルも自然にかかわっていることが多く、アルバムタイトルからしても環境そのものが自然のオーケストラという主張を読み取れる。
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THE NEW BLACK/STRAPPING YOUNG LAD
2006年。ストラッピング・ヤング・ラッドの路線。ギターとキーボードがすき間なく曲を埋め尽くしている。ジーン・ホグランの機械のようなドラムに支えられているからこそできることだ。「ユー・サック」はすさまじい。
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ZILTOID THE OMNISCIENT/DEVIN TOWNSEND
2007年。全能の神ジルトイドがタイムマシン用の燃料であるブラック・コーヒーを手に入れるため、地球を訪れ、ヘビーメタルのギターヒーローになってコーヒーを得ようとする。しかし3次元の人類によってジルトイドは4次元の無能者だと見透かされ、5次元の知性によってふぬけにさせられる。ここまでが6曲目まで。7曲目から10曲目は難しい。解釈はいかようにもなる。11曲目の「トール・ラッテ」も12曲目の「メッセージズ・フロム・ジルトイド」も物語の内容に関連していると思われるが、歌詞は掲載されていない。録音メンバーの表記はない。
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KI/DEVIN TOWNSEND PROJECT
2009年。デヴィン・タウンゼンド・プロジェクトは、このアルバムから始まる4部作のプロジェクト名。このアルバムは第1部で、デヴィン・タウンゼンドはボーカル兼ギターを担当する。参加ミュージシャンはベース、ドラム、キーボードの3人。これまでのデヴィン・タウンゼンドのアルバムと比べると、全体的にハードさが抑えられ、同時に鳴らされる楽器の数が少ない。「ヘヴン・センド」だけがハードロックで、他の曲はギターの弾き語りに近いような静かな、やや憂鬱な雰囲気が漂う。
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ADDICTED/DEVIN TOWNSEND PROJECT
2009年。4部作の2枚目。キーボード奏者がいなくなり、女性ボーカルとギターが加わった。よってボーカルは男女、ギターは2人いることになる。「ハイパードライヴ!」「リズルヴ!」では女性がメーンボーカルをとる。キーボード奏者はゲスト参加。これまでのストラッピング・ヤング・ラッド、デヴィン・タウンゼンドのイメージに近いサウンドだ。
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DECONSTRUCTION/DEVIN TOWNSEND PROJECT
2011年。4部作の3枚目。4枚の中で最もハードなサウンド。9曲のうち10分前後が3曲、16分半が1曲ある。ギター、ベース、ドラム、シンセサイザーのほか合唱団、オーケストラの音が塊になっている。似たようなサウンドの曲を一枚のアルバムに集めるのは、アイデアとしては理解できるが、それを通して聞くと食傷気味になる。「ディコンストラクション」はジャック・デリダの「脱構築」。
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GHOST/DEVIN TOWNSEND PROJECT
2011年。4部作の4枚目。瞑想的で緩やかなサウンドが中心となっている。キーボードやギター、ボーカルも輪郭があいまいなまま流れていく。4枚の中でこのアルバムだけが自然や外界とつながっているような音だ。テンポも自然が持っているスピードに合わせたようだ。安寧を求めたサウンドとも言える。
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EPICLOUD/DEVIN TOWNSEND PROJECT
2012年。4部作が6部作に伸びたという。バンドとして男女のボーカルがおり、コーラス隊が2グループで11人おり、「ギャング・ボーカル」がデヴィン・タウンゼンドを含め7人いる。サウンドが過去4枚分の総括のようになっており、特定の傾向を持った曲調にはなっていない。ボーカルの人数が多く、女性が多いので相対的にデヴィン・タウンゼンドのボーカルが減るが、むしろボーカルを多彩にしている。すぐに出るであろう次作も期待できる。
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CASUALTIES OF COOL/CASUALTIES OF COOL
2014年。2枚組。デヴィン・タウンゼンドの経験を基にしたとみられる物語。主人公はデヴィン・タウンゼンドを置き換えた男性であり、不安、恐れ、慰め、救済と進んでいく精神的情景を描く。その進み方はキリスト教を感じさせるが、宗教全般、もっと広くいえば人間が随時体験する精神のサイクルと見ることもできる。不安は疎外感、慰めは過去の思い出であることはブックレットで分かる。そのような内容がサウンドとしてヘビーメタルになるはずがなく、柔らかい持続音と角の立たないメロディー、人間の声の範囲内に収まる音域によってアンビエント音楽に近いサウンドになっている。ボーカル、ギター、ベース、キーボードのデヴィン・タウンゼンド、女性ボーカルのチェ・エイミー・ドーヴァルの2人が中心。ドラムは元カイパのメンバー。インターネットで資金調達したことは、アピールするほどのことではないだろう。
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Z2/DEVIN TOWNSEND
2014年。デヴィン・タウンゼンド・プロジェクトの「スカイ・ブルー」とジルトイドの「ダーク・マターズ」の2枚組。いずれもデヴィン・タウンゼンドはボーカル、ギター、キーボード、プログラミングを担当する。「スカイ・ブルー」は主に6人、「ダーク・マターズ」は3人で録音しているようだ。2枚とも女性ボーカルが参加している。ヘビーメタルではなく、ヘビーメタルの要素を残したエレクトロニクス多用のロック。ヨーロッパのヘビーメタルバンドがシンセサイザーと合唱隊でクラシック調にアルバムを作るのと同じで、題材やサウンドの志向性が違うだけだ。シンセサイザーとボーカルハーモニーは常に厚い。「スカイ・ブルー」の「サイレント・ミリティア」はブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アムに影響を受けたという。ジルトイドの「ダーク・マターズ」は「ジルトイド・ジ・オムニシェント」の続編となっており、最後の曲は「つづく」で終わっているのでさらに続編があるとみられる。前作と同様にナレーションやせりふが入る。「ジルトイド・ゴーズ・ホーム」はソイルワークに影響を受けたという。

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