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STEREOLAB

1
PENG!
1992年。ステレオラブは女性ボーカル、ギター兼キーボード、ベース、ドラムの4人編成。ギターとオルガンでバックを埋め、女性ボーカルが軽くボーカルを乗せる。ボーカルは素人並み。ギターとオルガンの一方または両方が空白を埋め尽くすのはマイ・ブラディ・ヴァレンタインをはじめとするシューゲイザーの影響か。日本盤は1997年発売。
 
SWITCHED ON
1992年。4曲入りレコード2枚と2曲入りシングル盤の計10曲を収録した企画盤。女性ボーカルが加入し、2人になった。ギターのティム・ゲインは担当がギター、ムーグ、ファルフィサとなっている。ファルフィサはオルガンに似た音のキーボード。「ペン」と「スペース・エイジ・バチェラー・パッド・ミュージック」の間に録音された曲なので、この2枚に似たサウンド。「コンタクト」は9分近くあるが、他の曲は3分から5分。日本盤は1999年発売。
2
SPACE AGE BATCHELOR PAD MUSIC
1993年。アナログ・レコードを模して、前半5曲を「サイド1(イージー・リスニング)」、後半の3曲を「サイド2(ニュー・ウェーブ)」としている。2曲目の「スペース・エイジ・バチェラー・パッド・ミュージック(メロウ)」と4曲目の「スペース・エイジ・バチェラー・パッド・ミュージック(フォーミィ)」はいずれも2分前後のインスト。この2曲はイージー・リスニングとは言えないが、他の3曲と「サイド2(ニュー・ウェーブ)」は名前どおりのサウンドになっている。収録時間もレコード並みの28分。日本盤は1997年発売。
3
TRANSIENT RANDOM-NOISE BURSTS WITH ANNOUNCEMENTS
1993年。邦題「騒音的美学の終焉」。キーボード奏者が加入し6人編成。このうち4人にオルガン、同じく4人にギターの表記が付いている。このアルバムで大手レコード会社に移り、世界的に発売された。ギターとオルガンで不協和音風の音の壁を作り、女性ボーカルが乗る、「ペン!」の作風。10曲のうち4曲に引用、サンプリングを用いており、音響上の実験を多く含んでいる。各曲にはサブタイトルのようなものがついているので、曲の意図をある程度推測することができる。「ポーズ」はサブタイトルがプルースト・ソングで、マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」に関連するサウンドを期待させる。その時点で多くの人は、過去と現在と未来の自由な移動をサウンドでどう表現するかに注目するが、レコードの針を左右に動かし、耳をつんざく不快音を入れている。CDプレーヤーでも再生場所の移動は簡単にできるが、レコードの方が明確に表現できるという点で一般性を持っている。「ジェニー・オンディオライン」は18分ある。「音楽とバックグラウンド・ノイズのテスト…」という長い説明がついており、曲もそのようになっている。10曲で62分。
4
MARS AUDIAC QUINTET
1994年。ジャケット写真がシンセサイザーになり、曲もオルガン、シンセサイザーが中心だ。前作ほど実験的ではなく、ポップなロック・アルバムとして聞ける。特に長い曲もなく、60年代後半のソフト・ロックを現在のアーティストが演奏している印象だ。15曲で67分。
 
REFRIED ECTOPLASM SWITCHED ON VOLUME 2
1995年。1992年から94年までに販売されたレコード等の収録曲を集めた企画盤。「アニマル・オア・ヴェジタブル(ア・ワンダフル・ウドゥン・リーズン)」は13分半で、ギターフレーズの反復のあとノイズのコラージュが続く。これ以外は2分から6分。このアルバムで日本デビュー。
5
EMPEROR TOMATO KETCHUP
1996年。ムーグ、オルガン、ギターを駆使したポップなロックということになるが、ロックバンドという知識がなければ、女性ボーカルのポップアルバムでも通用する。1曲目はやや長めで実験的な曲。2曲目以降はポップになり、キーボードで遊んでいるような曲が続く。即興で弾いているような雰囲気が減り、きちんと編曲されたようなアンサンブルになった。13曲のうち5曲をトータスのジョン・マッケンタイアがプロデュースしている。アルバムタイトルは寺山修司監督の映画「トマトケチャップ皇帝」からつけられたという。このアルバムで日本での人気が上がった。
6
DOTS AND LOOPS
1997年。トータスのジョン・マッケンタイアが参加し、その影響が大きく出ている。ドラムはリズムが複雑になり、多くの曲に木琴、鉄琴が使われる。ボーカルやコーラスの「コントラナチュラは9分、「リフラクションズ・イン・ザ・プラスティック・パルス」は17分半。10曲のうち英語の歌詞が5曲、フランス語の歌詞が5曲となっている。
 
MISS MODULAR
1998年。シングル盤。タイトル曲はアルバムより12秒短い。同時収録の3曲はアルバム収録曲のリミックス・バージョン。「リフラクションズ・イン・ザ・プラスティック・パルス」はイギリスのテクノ・グループ、オウテカがリミックスし、8分弱になった。「コントラナチュラ」はフランスのキッド・ロコがリミックスし、5分強になっている。 
 
ALMINIUM TUNES
1998年。アルバム未収録曲を集めた2枚組企画盤。1994年から97年まで、25曲収録。2枚目はトータスのジョン・マッケンタイアがかかわった曲が多いので「ドッツ・アンド・ループス」に近いサウンドが聞ける。「アイアン・マン」はブラック・サバスのカバーではない。
7
COBRA AND PHASES GROUP PLAY VOLTAGE IN THE MILKY NIGHT
1999年。邦題「ミルキー・ナイト」。15曲のうち8曲をトータスのジョン・マッケンタイア、7曲をガスター・デル・ソルのジム・オルークがプロデュースしている。「ドッツ・アンド・ループス」と同様、バンド・アンサンブルは整合感があり、女性ボーカルのポップ・アルバムではないサウンドだ。ピアノやストリングス、金管楽器、木琴・鉄琴などがシンセサイザーの代用ではなく実際の音として使われ、サウンドに生々しさがある。ジム・オルークがプロデュースした「ブルー・ミルク」は11分半、「カレイドスコーピック・ケイズ」は8分あり、これ以外の13曲はおおむね3分から5分。
8
THE FIRST OF THE MICROBE HUNTERS
2000年。邦題「マイクローブ・ハンターズ」。7曲のうち6曲は2000年録音の新曲、1曲は1997年録音の未発表曲。2000年に録音された曲はステレオラブのメンバーが自らプロデュースまで行っており、「ドッツ・アンド・ループス」や「ミルキー・ナイト」のようなサウンドとなっている。トータスのジョン・マッケンタイアがかかわってないにもかかわらず鍵盤打楽器の音が使われ、音作りに影響を受けたことが分かる。
9
SOUND-DUST
2001年。「ミルキー・ナイト」に近いサウンド。曲は単純ではないが、女性ボーカルとなじみやすいメロディーでポップな感覚を持たせる。トータスのジョン・マッケンタイアとガスター・デル・ソルのジム・オルークが半分ずつプロデュースしている。
 
INSTANT 0 IN THE UNIVERSE
2003年。女性ボーカルの1人が交通事故で亡くなり、5人編成となった。5曲入りEP。メロディーはギターとキーボードだけで構成されており、これまでの金管楽器や鍵盤打楽器は使われていない。メロディーはポップ。
10
MARGERINE ECLIPSE
2004年。女性ボーカルが1人になってから最初のアルバム。多重録音でコーラスを作っているので全く違和感はない。ほとんどのメロディーをキーボードで演奏し、初期にあったムーグやオルガンはあまり出てこない。聞きやすいエレクトロ・ポップとも言える。長大な曲はない。
 
FAB FOUR SUTURE
2006年。シングル盤の曲を集めた企画盤。2005年に録音されている。「マーガリン・エクリプス」の路線。金管楽器が使われ、フレンチ・ホルンがよく出てくる。オープニング曲とエンディング曲は同じ曲のパート1とパート2になっている。
11
CHEMICAL CHODES
2008年。コンピューターやリズム・マシーンではなく、ドラムセットやストリングス、金管楽器そのものの音を多く使っている。キーボードもピアノやハープシコードと分かる音が多い。リズムは簡素になり、曲が短くなったので、60年代のポップ・アルバムの雰囲気だ。録音技術が最新なので、サウンドが古いという印象はない。「セルフ・ポートレイト・ウィズ”エレクトリック・ブレイン”」はボーカル以外は60年代モータウン・サウンドだ。女性ボーカルをおしゃれだと感じる感覚は、これまでメディアから受けてきたイメージがいかに大きいかを物語る。
12
NOT MUSIC
2010年。シンセサイザー、キーボード、鉄琴を中心にメロディーが作られ、リズムはあらかじめ作った断片を編集してつなぎ合わせている。最初の3曲はボーカルもあってポップに感じるが、4曲目以降は実験的、あるいは編集途中の曲を公開したような曲が多くなる。「シルバー・サンズ」は「ケミカル・コーズ」収録曲のリミックスで10分ある。アルバムの統一感は必ずしも必要ではないが、方向性の散漫さが編集の消化不良を起こしている。

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