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SLAYER

1
SHOW NO MERCY
1983年。ボーカルがベースを兼任、ギター2人の4人組。メタリカに次いでデビューした4大スラッシュメタル・バンドのひとつ。この4バンドの中で、スレイヤーだけがデビュー当時のサウンドを残しており、ひたすらスピーディー、ハード、アグレッシブに突き進んでいる。メタリカと同じ年にアルバムを出しているが、ハードさの度合いはスレイヤーの方が上で、過激でうるさい音楽を求める人にとっては強力なアルバムとなった。メタリカのアルバムとともに、この作品の登場によってスラッシュメタルの誕生が印象づけられたのは確実だ。
 
HAUNTING THE CHAPEL
1984年。4曲入りシングル。初期の代表曲である「ケミカル・ウォーフェア」を収録。4曲とも勢いで突っ走る。「アグレッシブ・パーフェクター」はデビュー曲。
 
LIVE UNDEAD
1984年。7曲入りスタジオライブ盤。スタジオライブとは録音スタジオに観客を入れて行うライブのこと。全曲がハードでスピーディー。静かになる部分は存在しない。イメージ通りのスレイヤーが聞ける。7曲で23分。
2
HELL AWAITS
1985年。勢いはそのままだが、こういうバンドにしては6分を超える長い曲が3曲もある。十分に制御されたスピード。
3
REIGN IN BLOOD
1986年。前作まででも十分に速いが、このアルバムはさらにスピードアップして、曲もヒステリックになっている。長い曲はなく、ほとんどが2分台。10曲トータルでも28分しかない。アメリカで大ヒットし、チャートにも登場、全米94位で50万枚売れた。オープニング曲の「エンジェル・オブ・デス」は代表曲。当時は人体切り刻みを歌った「ネクロフォビック」とアウシュビッツ収容所を歌った「エンジェル・オブ・デス」が高速曲として人気を分け合っていた。メジャー・レーベルから出たことは、ヘビーメタル・ブーム、スラッシュメタルの流行の象徴だった。強烈なアルバム。
4
SOUTH OF HEAVEN
1988年。全米57位。余裕が出てきたのか、オープニング曲はハードな曲ではない。当然速い曲もあるが、今回は抑え気味。このころはスラッシュメタルがメジャーな存在になっていたので、他のバンドとの差別する意味においてハードさだけではもたないと考えたのは理解できる。
5
SEASONS IN THE ABYSS
1990年。全米40位。このアルバムが出たとき、スピードを抑えて重さを強調していると頻繁に評価されていた。確かにその通りのサウンドだ。初期のイメージとは違う路線で全米トップ40に入ったことは快挙だ。同時期にメタリカの「メタル・ジャスティス」は6位、「メタリカ」は1位、メガデスの「ラスト・イン・ピース」は23位、「破滅のカウントダウン」は2位、アンスラックスの「パーシスタンス・オブ・タイム」は24位。4大スラッシュメタル・バンドでは最も売れなかった。しかし、全米トップ40に4大スラッシュメタル・バンドがすべて入っている。グランジ・ロック登場直前がスラッシュメタルの黄金時代だった。最後のアルバムタイトル曲では2声コーラスを導入、歌メロに新たな試みを行った画期的な曲。
 
DECADE OF AGGRESSION
1991年。2枚組ライブ盤。安定した演奏力。全米55位。
6
DIVINE INTERVENTION
1994年。ドラムのデイブ・ロンバードが抜け、フォビドゥンのポール・ボスタフが加入。デイブ・ロンバードが脱退したとき、ほとんどの人が後任はどうするのか、そもそも務まる人がいるのかという疑問を持ったはずだ。スレイヤーのファンでない人までもがそう思った。それほどスレイヤーは強力なイメージがあった。新しく加入したポール・ボスタフはそつなくこなしている。バスドラムの音がきれいに聞こえるようになっているので、スピード感がある。「ディトヘッド」収録。時流に乗ってボーカルの音が割れたように処理された曲もある。基本的なサウンドは変わらない。全米8位。
 
SERENITY IN MURDER
1995年。シングル盤。ライブ4曲収録。ライブは新たに加入したドラム、ポール・ボスタフが演奏しているというのがポイント。
 
UNDISPUTED ATTITUDE
1996年。カバーのみで構成されたアルバム。大物の証明。有名バンドではGBH、DRI、スイサイダル・テンデンシーズ、ストゥージズをカバー。80年代前半、つまりスレイヤーがデビューしたときの曲が多い。ほとんどがハードコアなので曲は短く、16曲で36分しかない。初回生産分は3曲入りのボーナスCDがついた2枚組になっている。全米34位。
7
DIABOLUS IN MUSICA
1998年。邦題「悪魔の鎮魂歌」。明らかに流行のラウドロックに影響された音で、ボーカル兼ベースのトム・アラヤは抑揚の少ないメロディーを絶叫することが多い。前作の「ディヴァイン・インターベンション」で今作のような曲が入っていたのを考えると、先鋭的ロック音楽としてのスラッシュメタルは「ディケイド・オブ・アグレッション」で終わったと考えられる。全米31位。
 
STAIN OF MIND + 4 LIVE TRACKS
1998年。シングル盤。ライブ4曲収録。
8
GOD HATES US ALL
2001年。前作と同路線。メタリカとスレイヤーは過激なロック音楽の最先端を行っていたので、方向性を変えてもそれほど反発されることなく受け入れられるという特権がある。時代の先端を行くということはそういうことだ。ここにイメージの蓄積の価値が存在する。スレイヤーは流行を作る側、それ以外の多数のハードコア、スラッシュメタルのバンドは追う側である。ただし、現在のスレイヤーがこのまま次作も同じようなアルバムを作ると、一気に人気が降下することは想像に難くない。スレイヤーが演奏しているということを抜きにして聞けば、斬新なことをやっているとは言えない。
9
CHRIST ILLUSION
2006年。ドラムにデイブ・ロンバードが復帰。インパクトはそれほどなく、従来の路線を踏襲。どう見ても過激という言葉は使えない。80年代後半のスラッシュメタルを現状保存しているサウンド。
10
WORLD PAINTED BLOOD
2009年。邦題「血塗ラレタ世界」。スレイヤーがこれまで維持し続けてきたサウンドを、今回も守っている。40分台というアナログレコード時代の収録時間も変わらない。これからも自らを保存し続けていくのが使命になりつつある。過去のアルバムと現在のアルバムを連続で聞くと、80年代が最も近いと分かる。ずっと同じサウンドで行くのを評価するか、新しいサウンドを模索するのを評価するかは聞き手の価値観に任せられる段階に来ており、スレイヤーはそうした評価に構われないレベルに立っている。11曲で40分。
11
REPENTLESS
2015年。ギターのジェフ・ハンネマンが死去。エクソダスのギター、ゲイリー・ホルトが加入。ドラムがポール・ボスタフに交代。オープニング曲の「ディリューションズ・オブ・セイヴィアー」はアルバムタイトル曲のイントロになっているので実質的に11曲の収録。前作から6年も経っていても、メンバーが変わってもサウンドが変わらない。90年代のヘビーロック、ラウドロック登場以降、スレイヤーはもはや最も攻撃的なサウンドのバンドではなくなっているし、おどろおどろしいイメージもデスメタル等の登場でそれほど怖くもなくなっている。いつもどおりのアルバムで聞き手に安心感を与え、それが喜ばれる状況は、スレイヤーが驚きをもたらすバンドではなくエンターテイメントを提供するバンドになったということであり、皮肉とも言える。

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