PROPHETS OF RAGE

  • レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのボーカルを除く3人とパブリック・エナミーのボーカルとDJ、サイプレス・ヒルのボーカルが結成した。
  • 中心人物はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロとパブリック・エナミーのチャック・D。
  • 当初から政治的メッセージを前面に出している。

THE PARTY'S OVER

2016年。EP盤。新曲2曲とライブ3曲を収録。新曲はこのバンドのテーマ曲になるであろう曲で、2曲とも2人がボーカルをとる。チャック・Dは声が太いので迫力がある。「キリング・イン・ザ・ネイム」はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、「シャット・エム・ダウン」はサイプレス・ヒルのカバー。「ノー・スリープ・ティル・クリーブランド」はビースティー・ボーイズの「ノー・スリープ・ティル・ブルックリン」にパブリック・エナミーの「ファイト・ザ・パワー」を織り交ぜている。

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PROPHETS OF RAGE

2017年。曲に政治的メッセージを込めており、メンバーとサウンドからどうしてもレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを思い出させる。音楽に政治的メッセージを込めるのはロックでもヒップホップでも一般化しているが、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが注目された90年代と約20年後の2010年代では、状況が違いすぎてこのアルバムの評価も異なってくるだろう。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが活動していた90年代は若年層の音楽としてロックが優勢であり、パブリック・エナミー並みの政治性とヒップホップの音楽的特徴を取り入れることはそれ自体に意義があった。ロックよりもヒップホップが優勢な2010年代では、ヒップホップより古いロックのスタイルを借りて政治的主張をすることの意味を示す必要があるが、なかなか難しいだろう。トム・モレロやチャック・Dが、政治的状況に危機感を抱いて共同で音楽を作ったという記録的意味合いは大きい。「テイク・ミー・ハイヤー」はスライ&ザ・ファミリー・ストーンを思わせる。ギター、ベース、ドラムであまり多重録音をしないサウンドは、曲によってジミ・ヘンドリクスを思わせる。