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NAPALM DEATH

1
SCUM
1987年。A面に12曲、B面に16曲、計28曲収録。A面は86年、B面は87年に録音し、それぞれメンバーが異なる。A面はボーカル兼ベースを含む3人編成、B面は4人編成で、ボーカルはカテドラルのリー・ドリアン、ギターはカーカスのビル・ステア。ハードコアを出自とするため曲は短く、28曲のうち2分台が2曲、4分台が1曲、それ以外の25曲は2分以下。ハードコアよりも高速のドラムを持つが、長続きしないので1分以上の曲ではいったんリズムを変えることが多い。音質は低く、ボーカルは歌うというよりもがなるか叫んでいる。歌詞は社会批判、体制批判がほとんどで、ヘビーメタルではなくパンク、ハードコアの系譜に位置することが明確だ。28曲で33分。「ユー・サファー」は1秒の曲として有名。シングル盤も1秒しか収録されていない。
2
FROM ENSLAVEMENT TO OBLITERATION
1988年。邦題「ナパーム・デス」。「スカム」のB面からベースが交代。オープニング曲は3分あるミドルテンポの曲で意表を突くが、2曲目以降は前作のような高速で短い曲が続く。音質がやや上がり、ドラムは演奏技術も上がっている。「ディスプレイ・トゥ・ミー」などは前作のがなるような歌い方ではなく、デスメタルのデス声になっている。「インコンシーヴァブル」はダブルボーカルのようだ。日本盤は「スカム」全曲とシングル盤収録曲5曲を同時収録し、「ハーモニー・コラプション」と同時発売された。
3
HARMONY CORRUPTION
1990年。リー・ドリアンとビル・ステアが抜け、ボーカルとギター2人が加入。5人編成。ハードコアの高速ドラムは残っているが、曲は大幅に長くなり、デスメタルに近づいた。11曲のうち最も短い曲が2分。長い曲は5分以上ある。米・フロリダで録音しており、ディーサイドとオビチュアリーのメンバーがボーカルで参加している。日本盤はシングル盤収録曲を8曲収録している。シングル盤収録曲のうち6曲はメンバー交代前なのでボーカルはリー・ドリアン、ギターはビル・ステア。「ウォールズ・オブ・コンファインメント」は流麗なギターソロがある。「ノー・メンタル・イフォート」「ハーモニー・コラプション」はサンプリングを使用か。日本盤CDは前衛音楽のジョン・ゾーンが解説を書いており、リー・ドリアンのボーカルは日本のギズムから影響を受けているという。このアルバムで日本デビュー。
MASS APPEAL MADNESS
1991年。EP盤。4曲収録。
4
UTOPIA BANISHED
1992年。邦題「失樂園」。ドラムが交代。最初と最後の曲はミドルテンポで、間に挟まれた13曲は高速のリズムを含む威圧的な曲だ。
THE WORLD KEEPS TURNING
1992年。邦題「永続革命宣言」。91年から92年にかけて発表されたシングル盤等から32曲を収録。後半の19曲はライブ盤の「イントロ」以外が全曲収録されている。90年のライブなのでドラムは交代前のメンバー。MCも入っているので、短い曲でも演奏時間は長く表示される。
5
FEAR,EMPTINESS,DESPAIR
1994年。邦題「哀歌」。グランジ、オルタナティブロックの流行がロックの許容範囲を広げ、このアルバムのみ大手レコード会社からも出ている。ほぼ全曲が3分台となり、音質も明瞭になった。ベース奏者には「ランダム・ギター・ノイズ」という表記が付くようになり、シューゲイザーの流行によって轟音のようなギターが不快音とは認識されなくなったことも追い風になっている。「ハング」「モア・ザン・ミーツ・ジ・アイ」「アルマゲドン×7」などは編曲が一段上がったかのようだ。日本盤はボーナストラックでデッド・ケネディーズの「ナチ・パンクス・ファック・オフ」のカバーを収録している。
6
DIATRIBES
1996年。90年代前半はデスメタルに近づいたが、もともとハードコアから出てきたバンドでもあり、ヘビーメタルが重視する権威志向を持っていない。体制批判的な姿勢は歌詞だけで表出しているのではなく、音像でも同様だ。したがってオルタナティブロック、ヘビーロック、ミクスチャーロックにある新しい手法を用いて、従来のハードコアやデスメタルから離れるのは自然な流れと言える。「ライプ・フォー・ザ・ブレイキング」から「ジャスト・リワーズ」はハード。
7
INSIDE THE TORN APART
1997年。前作と同様の豪快なヘビーロックだが、前作と同様であるというところにこのアルバムの弱さがあるだろう。
8
WORDS FROM THE EXIT WOUND
1998年。ギターがスラッシュメタルに近くなり、同時代に流行したメタルコアの影響も受けたようなサウンド。ギターの切れがよく、ハードコアの勢いがある。メタルコアに近いからこそハードコアにも近くなっている。ナパーム・デスはハードさにおいてはロックの最先端ではないが、前作と同じにせず何かを更新しようという意志は持ち続けている。「ナン・ザ・ワイザー」はメロディーを歌うボーカルが出てくる。
LEADERS NOT FOLLOWERS
1999年。EP盤。6曲全曲がカバー。ロウ・パワー、スローター、ペンタグラム、リパルジョン、デス、デッド・ケネディーズのカバーを収録。デッド・ケネディーズの「ナチ・パンクス・ファック・オフ」は93年のEP盤と異なる。
9
ENEMY OF THE MUSIC BUSINESS
2000年。豪快で勢いよくとばす曲が続く。高速のドラムはこれまでで最も多用される。ジャケットに描かれるバンドのロゴが「永続革命宣言」以前に戻り、この時期のサウンドを標榜していることを示す。
10
ORDER OF THE LEECH
2002年。ギター1人を除く4人で録音。ドラムが乾いた音に変わり、バスドラムが明瞭に響く。ギターは壁のように厚くなり、前作のハードコア路線をさらにハードにしている。
LEADERS NOT FOLLOWERS PART2
2004年。カバー曲集。19曲収録。CD化やレコード化されていなかった曲も含まれている。クリプティック・スローター、オフェンダーズ、ディヴァステイション、ヘルハマー、アンチ・サイメクス、ヴァーマクスト、ディスチャージ、シージ、マスター、インサニティ、クリーター、マサカー、アティテュード・アジャストメント、ディー・クライゼン、セパルトゥラ、デイグロー・アボーションズ、アグノスティック・フロント、ハイラックスをカバー。ハードコアが多いので19曲のうち3分以上は4曲。日本盤はボーカルによる曲の解説と、行川和彦による客観的な解説の両方がある。
11
THE CODE IS RED...LONG LIVE THE CODE
2005年。ハードだがやや余裕があるサウンド。ボーカルのゲストが3人参加している。「ザ・グレート・アンドザ・グッド」はデッド・ケネディーズのジェロ・ビアフラが効果的に変化を付けている。最後の「モラル」「アワー・ペイン・イズ・ゼアー・パワー」は2曲で7分近くにわたりミドルテンポが続く。これまでになかった展開だ。日本盤ボーナストラックの「クラッシュ・ザ・ポーズ」は日本のハードコアバンドのガーゼのカバー。
12
SMEAR CAMPAIGN
2006年。このアルバムがこれまでと異なる点は、信仰を全体のテーマとしていることだ。アルバムの最初と最後を同じタイトルで統一し、キーボードを使っているが、これはキリスト教の原罪を意識した曲だろう。突進する「シンク・ファスト・レット・ゴー」でもコーラスが出てくる。「イン・ディファレンス」ではザ・ギャザリングの女性ボーカルが参加しており、宗教的な雰囲気を出している。「アイズ・ライト・アウト」、アルバムタイトル曲等、複数の曲でコーラスを使う。人間の内面性に焦点を当てたのは大きな進化だ。
13
TIME WAITS FOR NO SLAVE
2009年。邦題「世界平和を願う。」。「哀歌」や「ディアトライブス」以来のサウンドの変化がある。ギター、ベースにもボーカルがつき、多くの曲でコーラスが出てくる。「オン・ザ・ブリンク・オブ・エクスティンクション」から「ファラシー・ドミニオン」はオルタナティブ・ロックともゴシックとも言えないメロディーのヘビーロックで、このアルバムの主眼がハードコア・ヘビーメタルのサウンドそれ自体ではないことを示している。「スミアー・キャンペーン」と同様、サウンドよりもメッセージ性だろう。
14
UTILITARIAN
2012年。ハードコア一辺倒からやや離れ、さまざまな要素を取り入れている。「エヴリデイ・ポックス」はジョン・ゾーンのフリージャズ風サックスが入る。「ザ・ウルフ・アイ・フィード」はスクリーモのように声を使い分ける。「フォール・オン・ゼアー・ソーズ」「ブランク・ルック・アバウト・フェイス」「レパー・コロニー」は前作の中盤にあったヘビーロック風の曲。「スミアー・キャンペーン」以降、ナパーム・デスは別の次元に入ったということを確定させた。アルバムタイトルは「功利主義者」道徳や公平性との関係を意識しているとみられる。
15
APEX PREDATOR-EASY MEAT
2015年。前作と同様、ハードコア、デスメタルのサウンドから逸脱しようとしている。このアルバムの全体的なテーマは、社会あるいは自然に存在する階層、支配と抑圧関係から来る歪み。「デアー・スラム・ランドロード…」「セスピッツ」「ヒエラルキーズ」等はハードコア的なサウンドから意識的に離れようとしている。
CODED SMEARS AND MORE UNCOMMON SLURS
2018年。邦題「レア音源解禁!!」。企画盤。2枚組。アルバム未収録曲、未発表曲等を収録。

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