MAGO DE OZ

  • スペインのヘビーメタルバンド。バイオリンを含む6人編成。2000年以降はメンバーが増え10人編成。
  • 民謡を取り入れながら、ヘビーメタルのハードさを保ったサウンド。代表作は「ラ・マンチャの伝説」。

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MAGO DE OZ

1994年。マゴ・デ・オズはスペインのヘビーメタル・バンド。ボーカル、ギター2人、ベース、ドラム、バイオリンの6人編成。リーダーはドラム。ホーン・セクションやエレキピアノを使い、ロックン・ロール、カントリー、ヘビーメタルなどを演奏する。ロックン・ロール的な楽しさを伝えるような雰囲気が多い。スペンサー・デイヴィス・グループのカバー「ギミ・サム・ラヴィン」も含めて、歌詞はすべてスペイン語で歌われる。ヘビーメタルと呼べるのは「エル・ラゴ」「マゴ・デ・オズ」の2曲。

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JESUS DE CHAMBERI(OPERA ROCK)

1996年。ボーカル、ギター2人が交代。ボーカルはキーボードを兼任する。キリストの受難を現代のマドリードに置き換えたコンセプト・アルバム。チャンベリはマドリードの区の地名で、アルバムタイトルは「チャンベリのイエス」。バイオリンが入ったヘビーメタルとして曲調が統一され、スペインでの出世作となった。当時のヨーロッパのヘビーメタルはドイツ、北欧を中心に活気があったころで、イタリアやスペインはほとんど注目されていなかった。「チャールダーシュ」はモンティの有名曲。

 
MAGO DE OZ(LA BRUJA)

1997年。デビューアルバムのうちの5曲を新しいボーカルで録音し直したアルバム。全曲がヘビーメタルに編曲し直されている。「マゴ・デ・オズ」はデビューアルバムよりも1分半長くなり、11分近くある。

3
LA LEYENDA DE LA MANCHA

1998年。アルバムタイトルは「ラ・マンチャの伝説」で、言うまでもなくスペインのセルバンテスが書いた「ドン・キホーテ」を題材にしている。ジャケットの男性がドン・キホーテで、裏ジャケットにはサンチョ・パンサ、風車が出ている。前作に続きコンセプト・アルバム。曲によってティンホイッスルが使われるが、ほとんどの曲はバイオリンを含むバンドサウンドで演奏される。ギターとバイオリンがうまくかみ合い、ヘビーメタルとして質が向上した。「エル・サント・グリアル」ではブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」が挿入される。「エル・テンポ・デル・アディオス」はレインボーの「王様の宮殿」のカバー。

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FINISTERRA

2000年。「フィニステラ」とはステラ(地球)のフィニッシュ、「地球の最後」の意。バイオリンのほか、アコーディオンやフルート、ティンホイッスルを取り入れ、民謡サウンドを本格的に織り交ぜている。今作もコンセプト・アルバムで、22世紀末のコンピューター社会を取り上げている。2枚組で106分。バスドラムの連打で、ヨーロッパの民謡メタルの典型的サウンドとなった。バイオリンとギターが同じメロディーで流れる部分も多く、スペイン語の歌詞以外は一線級に近づいている。レインボーの「レインボー・アイズ」、サイモン&ガーファンクルの「スカボロー・フェア」、ジェスロ・タルの「ケルピー」のカバー収録。

 
FOLKTERGEIST

2002年。ライブ盤。カンサスの「すべては風の中に」のカバー収録。

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GAIA

2003年。キーボード奏者、フルート兼ティンホイッスル兼バグパイプ奏者が加入し8人編成。アルバムを出す度に物語が長大化し、このアルバムは3部作の1枚目。バイオリンとフルート、ティンホイッスル、キーボードがソロを取ることが多くなり、ギターはバックでリズムを刻む。キーボードはオルガンが多い。

6
BELFAST

2004年。ギターが1人増え9人編成。カバーを中心とする企画盤。「ベルファスト」はボニーMのカバーで、アストラル・ドアーズ、ワザリング・ハイツのニルス・パトリック・ヨハンソンが参加している。ホワイトスネイクの「ギルティ・オブ・ラヴ」はシン・リジーのようなサウンド。ユーライア・ヒープの「黒衣の女」、エルヴィス・プレスリーの「好きにならずにいられない」のカバー収録。

MADRID-LAS VENTAS

2005年。ライブ盤。ハンマーフォールの「グローリー・トゥ・ザ・ブレイヴ」のカバー収録。

7
GAIA II-LA VOZ DORMIDA

2005年。「ガイア」に続くアルバム。2枚組で109分。2003年に他界したスペインの女性反戦作家ドゥルセ・チャコンの小説を副題にしている。この小説の舞台は1930年代のスペイン内乱。これまでのアルバムでゲスト参加のミュージシャンが最も多く、ウォークライやサラトガのボーカルも参加している。2枚目の最後の曲は21分あり、女性を含む4人が入れ替わりながらボーカルを取る。そのあとに出てくるナレーションにはナイジェリア、エチオピア、コロンビア、広島が出てくるので、物語の内容はかなり重く厳しいと推測できる。「ガイア」と比べるとサウンドも激しさよりは憂いや悲嘆を感じさせる。

A COSTA DA MORTE 

2007年。ライブ盤。

8
LA CIUDAD DE LOS ARBOLES

2007年。女性ボーカルが加入し10人編成。「ガイア」のあとに発表された「ベルファスト」と同様、身構えずに聞けるアルバム。「ミ・ノンブレ・エス・ロックン・ロール」は久しぶりのロックン・ロール。バイクのふかし音も入る。クイーンの「39」のカバー収録。

 
BARAKALDO D.F.

2008年。ライブ盤。バラカルドはスペインのバスク地方、ビルバオの港湾都市。D.F.はメキシコ・シティ。この2都市の公演から選曲されている。オープニング曲は疾走しながら10分。「ラ・カンタータ・デル・ディアブロ」は21分の曲を17分に短縮している。モーツァルトのトルコ行進曲を挿入している。オープニング曲と代表曲の「モリノス・デ・ヴィエント」は歓声が大きい。ボーナストラックで新曲を収録。

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GAIA III-ATLANTIA

2010年。3部作の最終作。ギターが1人抜け9人編成。「ガイアII」に続き2枚組で、最後の曲は19分ある。エンディングでは心臓が停止するようだ。