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HEARTLAND

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HEARTLAND
1991年。80年代末のアメリカ型ハードロックを標榜し、ロックンロールのないメロディアスなロックを提示する。サウンドは極力不協和音を排し、ギターも澄んだ響きが多い。ギターよりもキーボードが曲のイメージを決定し、コーラスも厚めだ。ボーカルはMR.BIGのエリック・マーティンに似る。ハートランドに限らず、ギターやキーボードが上品さを志向し、ボーカルが技巧的に歌い、ロックンロールやファンク風の曲をやらないようなアーティストは英米白人至上主義の典型的サウンドとみなされ、90年代には時代錯誤とされていった。ノイズを忌避しようとするサウンドは、異質な文化を排除しようとする態度と同じであり、技巧を要する演奏や歌唱は、認められた正統に従順する態度と同じだ。劣位志向が一般化した90年代以降のロックにおいて80年代風の洗練されたサウンドが支持されないのは当たり前で、このアルバムの評価は高くない。しかしメロディアスなハードロックを好む人からは評価が高い。
2
WIDE OPEN
1995年。ベースが抜け4人編成。前作と同じ方向のサウンドを作る。グランジ、オルタナティブロック、ブリットポップが全盛期を迎えていても、メロディアスなハードロックの作り手や聞き手が全くいなくなるわけではないため、量的には前作と同じか、やや少ない程度の評価を得られるだろう。演奏も歌唱も既に存在しているものとの同質性が高い。同質性があっても構わないが、評価の基準は80年代と同質ではないということを、アーティスト側が認識しておくべきだろう。「ウェン・アイム・ウィズ・ユー」はバッド・イングリッシュのヒット曲「ホェン・アイ・シー・ユー・スマイル」にかなり似ている。ボーナストラックの「ファイト・ファイア・ウィズ・ファイア」はアコースティック日本盤は1996年に発売。
3
III
1995年。ギターが交代し、ドラム、キーボードが抜け2人編成。ギターがベース、キーボードを兼任する。ドラムは演奏者の表記がなく、プログラミングで演奏している。デビュー以来ボーカルとギターが全曲を共作しており、メンバーが変わっても作曲の仕方は変わらない。キーボードが控えめになり、作り込まれたようなサウンドはやや減った。ギター中心になったことでサウンドが4人編成に近くなり、アメリカのロックのような乾いた泥臭さがある。「ワン・ステップ・アット・ア・タイム」「ウェイティング・フォー・ザ・ビッグ・ワン」などはギターが奔放だ。
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BRIDGE OF FOOLS
1997年。ベース、ドラム、キーボードが加入し5人編成。ドラムはデビュー時のメンバーで、再加入というよりも「III」を2人で制作したことによる演奏再開だ。キーボードが加入したことで、ギターとキーボードの同時演奏に制約がなくなり、ほとんどの曲でキーボードが厚みを加えている。エリック・マーティンとそっくりっだったボーカルは、濁りがやや減ってエリック・マーティンとは明確に異なる声になっている。80年代のアメリカのバンドでは、フォリナーに近いサウンドだ。
5
MIRACLES BY DESIGN
1998年。ギターが2人に増え6人編成。ギターが2人同時に演奏するため、それだけでハードロックに近いサウンドになる。キーボードもこれまでどおり使われるが、それでもこれまでで最もハードだ。しかし、バッド・イングリッシュやフォリナーのようなサウンドでも、ギター中心のハードロックであっても、これまでどこかにあったロックの再現であることは変わらず、バンドの自覚のない保守性が現れている。歌唱力のあるボーカルやアンサンブルに長けたギターが普遍的価値を持っているとは限らず、ロックではその普遍的価値が常に客観的距離を持って再審されていることを、誰かがバンドに教えるべきだろう。
6
WHEN ANGELS CALL
1999年。過去の曲をアコースティックギターで演奏した企画盤。14曲のうちヴァージニア・ウルフの曲が3曲、新曲が3曲含まれている。「ワイド・オープン」から4曲、「ハートランドIII」から3曲選ばれており、「ハートランド」「ミラクルズ・バイ・デザイン」からそれぞれ1曲、「ブリッジ・オブ・フールズ」からゼロと、選曲のバランスに欠けることは否めない。ヴァージニア・ウルフから3曲も選ばれていることから、ボーカルのクリス・オージーが選曲を主導したとみられる。キーボードも控えめに使われている。
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AS IT COMES
2000年。ベース、キーボードが交代し、一時的に加入したギターが抜け5人編成。ギターは1人だが「ミラクルズ・バイ・デザイン」のサウンドを引き継いだようなハードロックで、メロディーはギターが主、キーボードが従となっている。ボーカルは個性に欠けるものの、エリック・マーティンに似ているという印象はなくなっている。イギリスやドイツ、スウェーデンなどでみられるロックンロールのないハードロック、あるいはブルースやラテン音楽、カントリー音楽を感じさせないメロディアスなロックと同様のサウンド。社会階層的に劣位方向にある要素を取り入れないということだ。
8
COMMUNICATION DOWN
2002年。ドラムが交代。キーボードが抜け4人編成。ゲストでキーボード奏者が参加している。「ミラクルズ・バイ・デザイン」以来続くハードロック路線。ドラムはハードロックに合った演奏をする。ボーカルは力強い発声になった。演奏や歌唱に多少の変化はあっても、曲調に大きな変化はない。イギリスと日本のごく一部でしか評価を得られていないのは、バンドを取り巻く人間とバンドが仲良しグループを形成し、批判的意見が出なくなっているからだろう。数制作クレジットが年前からほとんど変わらない。
9
MOVE ON
2005年。グランド・イリュージョンのボーカル2人が参加し、コーラスがグランド・イリュージョンのように分厚くなっている。コーラスをボーカルの補完ではなく独立した楽器の一つと扱うことで、曲の表現が拡大されている。前作までバンドの曲調があまり変わらなかったことを考えると、異なる能力を持つアーティストとの共同作業が少なくない効果を生み出すことを示す。「ホェア・ドゥ・ウィー・ゴー・フロム・ヒア」はクリス・オージーが声の限界に近い高音を出している。「テイク・ミー・アライヴ」はロックンロールの揺らぎがある。
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MIND YOUR HEAD
2007年。ベースが抜け、ドラムが交代。ギターがベースとキーボードを兼任したため、ボーカルとギターが主導するかつての手法に戻っている。「コミュニケーション・ダウン」のサウンド。
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TRAVELLING THROUGH TIME
2011年。ベスト盤。

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