FRANZ FERDINAND

  • イギリスのロックバンド。4、5人編成。
  • 2000年代のロックバンドでは、ダンスしやすいロックとして代表的なバンドの地位を得た。
  • サウンドはやや古風だが、ブリットポップやクラブミュージックを通過したサウンドとなっている。

1
FRANZ FERDINAND

2004年。ボーカル兼ギターが2人いる4人編成。イギリス出身。キーボードも若干使う。リズムがかつてのディスコやダンス音楽風で、それをバンドサウンドだけで演奏する。テクノのような人工的な音を使用しない。ボーカルの声域は広くないが大人の男性を感じさせ、ロキシー・ミュージックの雰囲気を持つ。メロディーや曲の展開が自然で、どの曲もポップさを失わない。「テイク・ミー・アウト」収録。日本盤ボーナストラックの「ショッピング・フォー・ブラッド」はゲイリー・グリッターの「ロックン・ロール・パート2」のようなリズム。フランツ・フェルディナンドとは第1次世界大戦のきっかけとなったオーストリアの皇太子の名前。

2
YOU COULD HAVE IT SO MUCH BETTER

2005年。曲に勢いや力強さが加わり、前作を大きく上回るアルバムになった。オープニング曲から最初のバラード直前までの6曲はアップテンポの曲が続き、高揚感が収まらない。サウンドにも厚みが出てロックらしさが増し、ダンス音楽の要素は相対的に小さくなった。「ドゥ・ユー・ウォント・トゥ」はテレビのコマーシャルに使われ大ヒット。エレクトリック・ライト・オーケストラの「ドント・ブリング・ミー・ダウン」を思い出させる。

 
DO YOU WANT TO

2005年。シングル盤。収録1曲のみでアルバムとまったく同じバージョンでも日本盤が出る。

3
TONIGHT

2009年。前作の路線で、安定したダンス音楽風ロックを演奏する。前作ほど密度の濃い曲ではなく、聞き手を一瞬で捕まえてしまう爆発的な曲なない。逆にいえば、曲が粒揃いになっている。使われる音が古風で、シンセサイザーや効果音が70年代風だ。最後の3曲はロックの勢いが減退する。

4
RIGHT THOUGHTS RIGHT WORDS RIGHT ACTION

2013年。「ユー・クッド・ハヴ・イット・ソー・マッチ・ベター」のころのサウンド。ロックのはねるリズムが戻っている。コーラスも効果的に付くようになった。オープニング曲の「ライト・アクション」と「ラヴ・イルミネーション」は「ドゥ・ユー・ウォント・トゥ」のテンポで、メロディーや勢いによって書き分けたような曲。「バレット」は最もテンポが速く、制御されたパンクに近い。「トリーソン!アニマル」はザ・ストラングラーズかザ・ドアーズかというような、キーボードとベースが目立つ曲。日本盤はスタジオライブ盤が付いており、「ドゥ・ユー・ウォント・トゥ」や「ノー・ユー・ガールズ」も含まれている。

5
ALWAYS ASCENDING

2018年。ギター兼キーボードが抜け、ギターとキーボードが加入。5人編成。オープニング曲がアルバムタイトル曲となっており、1分半ほどのイントロのあと、従来のニューウェーブ風ロックにつながっていく。ダンスしやすく、ポストパンクの空気を感じさせるバンドサウンドを保ちながら、現代風ではないシンセサイザーで音の幅を広げた。声は低めだが冷たさのあるアレックス・カプラノスのボーカル、押しつけがましくないギター、速すぎず遅すぎずダンスしやすいテンポを維持するドラムを揃えれば、フランツ・フェルディナンドのサウンドになることが確立しつつある。

F・F・S/F・F・S

2015年。フランツ・フェルディナンドとスパークスの合作。作曲も演奏もメンバー全員で行っている。ドラムが効いた曲やアップテンポの曲にはフランツ・フェルディナンドの、スパークス特有のコーラスが多い曲にはスパークスの影響が出ているように聞き取ってしまう。フランツ・フェルディナンドのボーカルがファルセットを多用するのは、スパークスと一緒にやっているからこそだ。「コラボレーションズ・ドント・ワーク」は定型的ではないポップスで、スパークスと共作したことの証が示されたような曲。「キング・オブ・ザ・ソングス」はフランツ・フェルディナンドの初期の曲に近い。