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BRUCE SPRINGSTEEN

1
GREETINGS FROM ASBURY PARK,N.J.
1973年。邦題「アズベリー・パークからの挨拶」。ブルース・スプリングスティーンはボーカル兼ギターのソロ・アーティストで、バックはベース、ドラム、キーボード、サックス。キーボードはオルガンとピアノが中心で、ギターはアコースティック・ギターも多く使用。ボブ・ディランほどくせはないが、それに近い雰囲気がある。ロック時代のボブ・ディランをなじみやすくした印象。メッセージ性はそれほど強くなく、一般的なロックの範疇に収まっている。「夜の精」「光で目もくらみ」収録。全米60位、200万枚。
2
THE WILD,THE INNOCENT&THE E STREET SHUFFLE
1973年。邦題「青春の叫び」。ブルース・スプリングスティーンのほかにバックバンドのメンバー5人を固定し、これをEストリート・バンドとしている。ベース、ドラム、キーボード2人、サックスの編成で、ベースはチューバを兼任。メロディー楽器はギターよりもピアノ、オルガン、ホーン・セクションが目立つ。ハードな曲とアコースティックな曲が交互に配置されており、「E・ストリート・シャッフル」「いとしのロザリータ」は派手だ。全米59位、200万枚。
3
BORN TO RUN
1975年。邦題「明日なき暴走」。ひたむきさとサウンドのハードさがうまく釣り合い、バランスのとれたアルバム。曲のイメージとサウンドが一貫して真面目で、ドラマティックさもあり、初期の大ヒット作となった。全米3位、600万枚。
4
DARKNESS ON THE EDGE OF TOWN
1978年。邦題「闇に吠える街」。デビューから一貫して故郷のアメリカを歌い、アルバムを出すごとにテーマを変化させているが、このアルバムでは、視線が暗部にも向いている。これまでは自分の周りの環境や自分自身について歌ってきたが、今回はタイトルからして方向が異なっている。サウンドは前作のような力強さよりも幾分軽くなっている。もちろん聞き所はサウンドよりも歌詞にあるだろう。全米5位、300万枚。
5
THE RIVER
1980年。2枚組。再び自分の周りを題材にしたアルバム。「明日なき暴走」や「闇に吠える街」のようなアルバムそのものの熱さではなく、シンガー・ソングライターのような懐かしさに似た寂寥感がある。一般的にはソウルやブルースの影響が強いアルバムだとされる。全米1位、500万枚。
6
NEBRASKA
1982年。アコースティック・ギターとハーモニカだけで録音されたアルバム。意識が周りよりも自分に向かっているという点では、前作の延長線上にあり、サウンド上の変化も了解できる。このようなサウンドの場合、何が歌われているのかが注目されるが、詩は「闇に吠える街」のように重苦しい。誰が悪いと決めてかかっているわけではなく、聞き手にさまざまな思索をさせる内容になっている。何かのメッセージを認めることも、妥当な聞き方ではないように思われる。全米3位、100万枚。
7
BORN IN THE U.S.A.
1984年。従来のロック・サウンドに戻り、記録的な大ヒットとなった。特にオープニング曲の「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」はアメリカ人に強い誇りのようなものを感じさせ、アメリカの80年代ロックの代表曲となった。実際はアメリカに批判的な内容の詩になっている。アメリカン・ドリームから見放されている男性が今をどう生きているかについて歌った曲が多い。一般にイメージされるアメリカ賛歌ではない。全米1位、1500万枚。
 
 
BRUCE SPRINGSTEEN&THE E STREET BAND LIVE 1975-1985
1986年。ライブ盤。全米1位、1300万枚。
8
TUNNEL OF LOVE
1987年。曲ごとに演奏者の名前が表記されているので、表記のない楽器はブルース・スプリングスティーンということになる。したがって「ネブラスカ」に近い録音方法をとっているが、ロックの雰囲気は残したままだ。サウンドはややリラックスしており、目の覚めるようなきらびやかな曲は見られない。ジャケットも大人を感じさせ、次の段階へ入ったことをうかがわせる。全米1位、300万枚。
 
CHIMES OF FREEDOM
1988年。4曲入りミニアルバム。4曲ともライブで、「自由の鐘」はボブ・ディランのカバー。「明日なき暴走」はアコースティック・ライブ。歓声の厚さで会場の広さが伝わってくる。
9
HUMAN TOUCH
1992年。「ラッキー・タウン」と同時発売。「トンネル・オブ・ラヴ」の路線。アルバム2枚を2枚組にせず1枚ずつ同時に出すのはブルース・スプリングスティーンが先鞭ではなく、ガンズ・アンド・ローゼズが先。全米2位、100万枚。
10
LUCKY TOWN
1992年。「ヒューマン・タッチ」と同時発売。女声コーラスが多いが、「ヒューマン・タッチ」とそれほど変わるところはない。明確に雰囲気を変える意図は感じられず、2枚を比較する意義も見出しにくい。全米3位、100万枚。
 
STREETS OF PHILADELPHIA
1994年。4曲入りシングル。タイトル曲は映画のサウンドトラック。3曲はMTVの番組「アンプラグド」の曲。3曲のうち2曲は、後にCDで発売された「プラグド」に収録されていない。
 
 
GREATEST HITS
1995年。ベスト盤。新曲4曲を含む。全米1位、400万枚。
 
SECRET GARDEN
1995年。「グレイテスト・ヒッツ」からのシングル。6曲入り。日本盤ボーナストラックの「ルーレット」はハードですばらしい曲。
11
THE GHOST OF TOM JOAD
1995年。再び「ネブラスカ」に似たようなサウンドとなり、12曲のうち7曲はブルース・スプリングスティーンが1人で演奏し、歌っている。ホーン・セクションはなく、キーボードも最小限で、バイオリンとスチール・ギターがよく使われる。楽器編成だけでみても、サウンドがカントリーに近くなっていることが推測できる。歌詞は具体的な物語によって登場人物の悲哀を語る形になっており、それはデビュー以来変わらないブルース・スプリングスティーンのスタイル。個別具体例がアメリカだけの問題に限られるわけではないが、このスタイルは古典的なブルースのイメージに近い。トム・ジョードとはアメリカの小説家スタインベックの代表作「怒りの葡萄」の主人公。アメリカの小説では代表的な社会批判作。全米11位、50万枚。
 
 
MTV UNPLUGGED
1997年。邦題「プラグド」。全米189位。
 
BEFORE THE FAME
1998年。邦題「ビフォア・ザ・フェイム~栄光への旅立ち」。デビュー前の1972年ごろに録音された曲を収録した企画盤。13曲収録。「エヴァキュエーション・オブ・ザ・ウェスト」はギター、ベース、ドラム、ピアノ、オルガンを使い、唯一のバンドサウンドになっている。この曲以外はギターのみによる弾き語り。ボブ・ディランやピート・シーガーのようになりたかったと思われるスタイル。
 
 
TRACKS
1998年。4枚組。
 
 
18TRACKS
1999年。「トラックス」の4枚から15曲を選んでCD1枚に編集し、未発表曲3曲を追加。
 
 
LIVE IN NEW YORK CITY
2001年。ライブ盤。全米5位、100万枚。
12
THE RISING
2002年。E・ストリート・バンドとともにバンド・サウンドを作った。前半は女声コーラスとビートを効かせたリズム&ブルースに近いサウンド、後半はシンガー・ソングライターのようにミドルテンポを中心とした哀切を漂わせる。スタジオ録音としては7年ぶりで、サウンドもロック寄りであるため復活作と言っていいだろう。全米1位、200万枚。
13
DEVILS&DUST
2005年。「ネブラスカ」のようなアコースティック作品。ブルース・スプリングスティーンのボーカルとギターに、若干のキーボード、パーカッションを加えた曲が多い。「オール・ザ・ウェイ・ホーム」「ロング・タイム・カミング」はカントリー・ロック風で、明確にドラムが使われるが、他の曲はスチール・ギターやハーモニカを使い、静かに、絞り出すように歌う。ベースはブレンダン・オブライエン。全米1位、50万枚。
HAMMERSMITH ODEON,LONDON '75
2006年。邦題「ライヴ・アット・ハマースミス・オデオン'75」。ライブ盤。「明日なき暴走」の30周年記念盤に付いていたライブDVDのCD版。「明日なき暴走」までの3枚から14曲、ミッチ・ライダー&ザ・デトロイト・ホイールズのカバーメドレーのカバー、ゲイリー・US・ボンズのカバーで構成される。「明日なき暴走」が出た直後の公演で、演奏に勢いがある。ピアノの弾き語り風から7人編成の分厚いサウンドまで曲調にも幅がある。17分超の「キティズ・バック」はオルガン、ピアノ、ギター、サックスがそれぞれソロをとる。「ロザリータ」はメンバー紹介を含む。日本盤は、ブルース・スプリングスティーンのトーク部分も訳が付いており、カバーの2曲は聞き取りによる歌詞と対訳が付いている。16曲で125分。
14
 
WE SHALL OVERCOME:THE SEEGER SESSIONS
2006年。1960年代のフォーク歌手、ピート・シーガーのカバー集。「ウィ・シャル・オーヴァーカム」はジョーン・バエズでも有名。ピート・シーガーはボブ・ディランやピーター・ポール&マリーとともに60年代前半のフォーク・リバイバルで活躍し、大学生の社会批判精神に大きな影響を与えた。ピート・シーガーを採り上げたこと自体が社会告発だ。全米3位、50万枚。
 
 
LIVE IN DUBLIN
2007年。ライブ盤。全米23位、50万枚。
15
MAGIC
2007年。アメリカン・ロックの手本のようなサウンドでありながら、ブルース・スプリングスティーンの個性を出しているという傑作。90年代以降では最高作。ギター2人、キーボード2人、サックス、女声ボーカル、ベース、ドラムの8人が中心となって演奏している。オープニング曲はハードロックとも呼べるロック。どの曲も間奏のサックスがいい。ロックの高揚感を失わない。全米1位、100万枚。
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WORKING ON A DREAM
2009年。「マジック」のメンバーにバイオリン奏者が加わった9人編成のバックバンド。コーラスやストリングスもあり、ロック、ポップスとして申し分ない環境だ。これまでのブルース・スプリングスティーンのアルバムでもかなり聴きやすく、弾き語りによる内省的なサウンドは1曲もない。オープニング曲の「アウトロー・ピート」は8分だが、2曲目以降は2分から4分。シンガー・ソングライターのように歌っていても、バンドサウンドが温かみを持ち込むので肩ひじ張らずに聴ける。全米1位、50万枚。
17
WRECKING BALL
2012年。ストリングス、ホーン・セクション、コーラスに多数のミュージシャンが関わる。目を引くのはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのギター、トム・モレロだろう。アイルランド民謡風、カントリー風の編曲が多く、歌詞は訴えかけることが多い。サウンドと歌詞の両面で意味に還元されるため、軽い気分で聞けるアルバムではない。「ウィ・テイク・ケア・オブ・アワ・オウン」はブルース・スプリングスティーンのイメージ通りの音。「レッキング・ボール」は過去の名曲に比肩するいい曲。「ランド・オブ・ホープ・アンド・ドリームズ」や「アメリカン・ランド」等は詩の内容に関心を抱かせ、日本盤の解説で詳しく検討されている。全米1位。
18
HIGH HOPES
2014年。ホーンセクション、ストリングス、女性ゴスペルコーラスのほか、バイオリン、マンドリン、アコーディオンなど、前作と同様に楽器が多彩だ。トム・モレロが12曲のうち8曲に関わっている。「アメリカン・スキン(41ショッツ)」はアメリカの人種差別を扱う。「ディス・イズ・ユア・ソード」はイーリアンパイプ、ホイッスルを使うアイルランド風の曲。「ハイ・ホープス」「ドリーム・ベイビー・ドリーム」は他人の作曲で、「ドリーム・ベイビー・ドリーム」は1979年、「ハイ・ホープス」は87年に作曲されている。「ジャスト・ライク・ファイア・ワールド」はザ・セインツのカバー。「ハリーズ・プレイス」は「ザ・ライジング」のときに録音されたらしく、クラレンス・クレモンズがサックスを演奏している。社会的な歌詞の曲が含まれることやトム・モレロが参加していることなど、前作との共通点が多い。ブルース・スプリングスティーンとトム・モレロはともに政治意識が高く、聞く方も曲に社会的メッセージを求めて聞くため、ブルース・スプリングスティーンを取り巻く人々の階層性、男性性は高くなっているとみられる。

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