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BLACK SABBATH/HEAVEN AND HELL

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BLACK SABBATH
1970年。邦題「黒い安息日」。4人編成。同時代のバンドと比較して、雰囲気、サウンドの重さ、独創性、いずれも特異だ。イントロの雨の音と鐘、雷鳴。否応なく好奇心が沸いてくる。ジャケットの不気味さ、発売日の特異さ(13日の金曜日)、バンド名の3点で、聞く前からイメージを決定づけられているといってよい。ハイライトはこの「ブラック・サバス」と「N.I.B.」だろう。全米23位、全英4位。
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PARANOID
1970年。アルバム・タイトル曲が有名だが、このバンドの個性を表しているのは「ウォー・ピッグス」と「ハンド・オブ・ドゥーム」だ。初期の作品はボーカルがオジー・オズボーンである必然性は感じられないが、ソウルやブルースに傾倒した別のボーカルではサウンドに合わないだろう。アメリカで最も売れているブラック・サバスのアルバム。全米12位、400万枚、全英1位。
3
MASTER OF REALITY
1971年。アコースティックの小品が2曲あるが、これがいい出来。「アフター・フォーエバー」のギーザー・バトラーはうなっている。「チルドレン・オブ・ザ・グレイヴ」「スイート・リーフ」収録。全米8位、200万枚、全英5位。
4
BLACK SABBATH VOL.4
1972年。トニー・アイオミのギターが重量感を失わずに泣いている。「ウィールス・オブ・コンフュージョン」や「スノウブラインド」は叙情やプログレッシブという言葉さえ浮かぶ。全米13位、全英8位。
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SABBATH BLOODY SABBATH
1973年。邦題「血まみれの安息日」。このアルバムが発売されたときのイギリスはグラム・ロックとプログレッシブ・ロックの名盤が次々と登場していた。ブラック・サバスも少なからず影響を受けたらしく、シンセサイザー、メロトロンが入っている。フルートやストリングスも出てくる。新しい音の導入はトニー・アイオミが積極的だったという。イエスのキーボード奏者、リック・ウェイクマンまでゲスト参加している。しかし、ブラック・サバスらしい暗さは保持している。アメリカではデビューからこのアルバムまで5作連続で100万枚以上売れている。全米11位、全英4位。
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SABOTAGE
1975年。合唱団を導入。ボーカルの重ね録りもあり、バラエティに富んでいると言える。前作からの実験的サウンドが継承されているが、総合的な出来は前作のほうがよかったか。全米28位、全英7位。
 
 
WE SOLD OUR SOUL FOR ROCK'N'ROLL
1975年。ベスト盤。17曲のうち「黒い安息日」「パラノイド」「VOL.4」が4曲ずつ、「マスター・オブ・リアリティ」が3曲。
7
TECHNICAL ECSTASY
1976年。キーボードが添え物的扱いではなく、ギターと対位法的に使われており、もはや切り離し不可能だ。バラードでも普通の曲でも同じように歌ってしまうボーカルの稚拙さが目立つ。全米51位、全英13位。
8
NEVER SAY DIE
1978年。2曲でホーン・セクションが入っている。とは言っても実験的なことをしているわけではないところがこれまでと違う。新しい楽器を使うと同時に音楽的にも進歩していた前作までとは根本的に違う。ビル・ワードのボーカルはうまいとは言えない。全米69位、全英12位。
9
HEAVEN&HELL
1980年。ニュー・ウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘビー・メタルが全盛だったころに発売。オジー・オズボーンより歌唱技術的にはるかにうまいボーカル、ロニー・ジェイムス・ディオが加入。「ネオンの騎士」「チルドレン・オブ・ザ・シー」と「ダイ・ヤング」は傑作。全米28位、全英9位。
 
LIVE AT LAST
1980年。緊張感の高いライブ。1973年録音。ボーカルはオジー・オズボーン。スタジオ盤は暗くおどろおどろしく、ライブでは勢いよく。全英5位。
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MOB RULES
1981年。邦題「悪魔の掟」。「南十字星」が秀逸。「ターン・アップ・ザ・ナイト」はロニー・ジェイムス・ディオの2枚のアルバムでは最もハード。全米29位、全英12位。
LIVE EVIL
1982年。「アイアン・マン」はロニー・ジェイムス・ディオのようなうまいボーカルだと逆に違和感が出てくる。「ヘブン・アンド・ヘル」と「南十字星」の20分にわたる演奏はすばらしい。全米37位、全英13位。
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BORN AGAIN
1983年。ボーカルは元ディープ・パープルのイアン・ギランに替わる。音程の危なっかしさはオジーと大差ないが、それはそれで緊張感を生み出す。声はイアン・ギランのほうが高く出る。初期のブラック・サバスらしさは希薄になってきた。イアン・ギランはブラック・サバスに加入する前、ソロ・アルバムでヒットを連発していたので、イギリスでの人気は高い。「パラノイド」の1位に次いで全英チャート成績がいいというのは驚異的だ。全米39位、全英4位。
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SEVENTH STAR
1985年。またボーカルが替わって元ディープ・パープルのグレン・ヒューズが加入。ギーザー・バトラーが抜けてデビュー時のメンバーはトニー・アイオミだけになった。バンドの名義はブラック・サバス・フィーチャリング・トニー・アイオミ。「Vol.4」までは暗く重いサウンドを指向していたが、「血まみれの安息日」でトニー・アイオミがブリティッシュ・ハード・ロックに目覚め、ギーザー・バトラーがいなくなった本作で好きなように作って提示したのがこのアルバム。全米78位、全英27位。
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THE ETERNAL IDOL
1987年。またボーカルが替わってトニー・マーティンが加入。トニー・マーティンは他のボーカルに比べれば地味だが、ロニー・ジェイムス・ディオのくせを薄くしたような歌唱法で、どんな曲でもそつなくこなせる。ベースはボブ・デイズリー、ドラムはエリック・シンガー。全米168位、全英66位。
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HEADLESS CROSS
1989年。ドラムにコージー・パウエルが加入。本作と次作でレベルの高い作品を出し、ブラック・サバス名盤10年周期説が登場した。ジェフ・ニコルスの弾くキーボードが大きな貢献をしている。神話を題材にとった詩が多く、再び初期のミステリアスなイメージを前面に出すことに成功した。全米115位、全英31位。
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TYR
1990年。ベースに元ホワイトスネイクのニール・マーレイを迎え、演奏技術の面ではバンド史上最強となった。前作に続き詩、ジャケットとも古代ヨーロッパ神話を扱っている。傑作といって差し支えないだろう。アメリカではチャートに入らず。全英24位。
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DEHUMANIZER
1992年。ボーカルにロニー・ジェイムス・ディオ、ベースにギーザー・バトラーを呼び戻して作られた。ドラムはヴィニー・アピスに交代。しかし「ヘブン・アンド・ヘル」のようなレベルを期待して聞くと物足りない。神話を中心とした詩世界から現実社会に関する詩にシフトしたのは、「アメリカ的になった」と言えなくもない。12年経って、ロニーの声の音域も以前ほど大きくなくなった。最後の曲はどう聴いても蛇足。全米44位、全英28位。
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CROSS PURPOSES
1994年。ブラック・サバス名盤10年周期説があるとするならば、その周期のはざまは常にメンバー間のいざこざ、離合集散であった。今回、またトニー・マーティンが復帰。安定した歌唱力を聞かせる。さすがに作品の質は落とさない。全米122位、全英41位。
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FORBIDDEN
1995年。「TYR」と同じメンバー。ヒップホップ・グループ、ボディ・カウントのギターがプロデュースしている、というのはこのアルバムの紹介でよく聞かれる言葉だが、さほど重要ではないほど、クオリティは高い。「アイ・ウォント・クライ・フォー・ユー」はすばらしい出来。全米チャートに入らず。トニー・マーティンのアメリカでの不人気ぶりはチャート順位でも明らか。全英71位。
 
 
REUNION
1998年。オジー・オズボーンが復帰したときのライブ。全米11位。「ヘブン・アンド・ヘル」以来18年ぶりに100万枚を超えた。全英41位。
 
UNDER WHEELS OF CONFUSION 1970-1987
1998年。「ブラック・サバス」から「エターナル・アイドル」までの4枚組ベスト。
 
 
THE BEST OF BLACK SABBATH
2001年。2枚組ベスト盤。「悪魔の落とし子」までから32曲選曲。
 
 
PAST LIVES
2002年。ライブ盤。1970年から75年までの録音。「ライヴ・アット・ラスト!」の9曲に9曲追加し18曲入り2枚組にしている。
 
 
BLACK SABBATH:THE DIO YEARS
2007年。邦題「ベスト・オブ・ディオ・イヤーズ」。ロニー・ジェイムス・ディオがボーカルをとっている3枚のアルバム「ヘヴン・アンド・ヘル」「悪魔の掟」「デヒューマナイザー」から12曲、ライブ盤「ライヴ・イーヴル」から1曲選曲し、新曲3曲を追加したベスト盤。新曲のボーカルはロニー・ジェイムス・ディオ。
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2013年。オジー・オズボーン、トニー・アイオミ、ギーザー・バトラーの3人をブラック・サバスのメンバーとし、ドラムはゲスト参加のミュージシャンで録音している。こじつけ的に解釈すれば、オジー・オズボーンが70年代に在籍していた時のスタジオ録音8枚とベスト盤1枚、脱退以降に出たライブ盤2枚(「ライヴ・アット・ラスト」「パスト・ライヴス」)、97年の一時的復帰のライブ盤「リユニオン」を参入し、多数のベスト盤やボックスセットを除くとこのアルバムが13枚目になる。オジー・オズボーンが参加するスタジオ録音盤としては「ネヴァー・セイ・ダイ」以来35年ぶりで、このアルバムの価値もオジー・オズボーンがブラック・サバスのメンバーとしてスタジオ録音したという点にある。サウンド面は予想通りで、過去の名曲を思い出させるメロディーも、入れるべきものとして当然入っている。バンド側が考える「求められているサウンド」と、聞き手の「求めるサウンド」が録音前から一致しているので、スリルや高揚感よりは安心感が大きくなるだろう。キーボードは使われず、人気のある「黒い安息日」から「VOL.4」までのイメージを踏襲している。
 
LIVE FROM RADIO CITY MUSIC HALL/HEAVEN AND HELL
2007年。2枚組ライブ盤。ロニー・ジェイムス・ディオがボーカルを取り、ヘヴン・アンド・ヘルとして発売した。ギターはトニー・アイオミ、ベースはギーザー・バトラー、ドラムはヴィニー・アピス。「チルドレン・オブ・ザ・シー」や「ヘヴン・アンド・ヘル」は感情のこもり方、ドラマチックさにおいて「ライヴ・イーヴル」には及ばない。しかし、30年近く経って「ヘヴン・アンド・ヘル」や「ネオンの騎士」が演奏されていることの方が重要だ。「デヒューマナイザー」と「ベスト・オブ・ディオ・イヤーズ」の曲も演奏されている。2枚目の最後の2曲はアンコールのような扱いで、「ネオンの騎士」のあとの歓声が2分も続く。「デヴィル・クライド」の後半はヴィニー・アピスのドラム・ソロが入る。「ヘヴン・アンド・ヘル」は15分。
 
THE DEVIL YOU KNOW/HEAVEN AND HELL
2009年。ロニー・ジェイムス・ディオとしては「デヒューマナイザー」以来のスタジオ録音盤で、通算4枚目。多くの曲がミドルテンポで、90年代以降に評価されたサウンドを再現している。サビの音階が降下して終わる曲が多いので、ヘビーメタルよりもグランジやオルタナティブ・ロックのイメージがある。このアルバムを買うファンの期待とはずれるが、主役はギターのトニー・アイオミとベースのギーザー・バトラーだろう。ロニー・ジェイムス・ディオはこのアルバムが最後の録音となった。

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