HardrockHeavymetal.com

はてなブックマークに追加

BEYONCE

 
 
WORK IT OUT
2002年。シングル盤。
1
DANGEROUSLY IN LOVE
2003年。ビヨンセのソロアルバム。ヒップホップ・ソウルのサウンドで、男性アーティストはジェイ・Z、アウトキャストのビッグ・ボーイ、ルーサー・ヴァンドロスなど、女性アーティストはミッシー・エリオットが参加している。ジェイ・Zは2曲、ボーナストラックを含めれば3曲に参加している。デスティニーズ・チャイルド時代に比べて、コーラス・ハーモニーが控えめだが、ソロアルバムなので当然のなりゆきとも言える。「サヴァイヴァー」ほど派手なサウンドではない。「クレイジー・イン・ラヴ」はシャイ・ライツの「アー・ユー・マイ・ウーマン?(テル・ミー・ソー)」をサンプリング。「ノーティ・ガール」はドナ・サマーの「愛の誘惑」をサンプリング。「ビー・ウィズ・ユー」はブラザーズ・ジョンソン(シャギー・オーティス)の「ストロベリー・レター23」とブーツィーズ・ラバー・バンドの「アイド・ラザー・ビー・ウィズ・ユー」をサンプリング。「ザッツ・ハウ・ユー・ライク・イット」はデバージの「アイ・ライク・イット」の歌詞を引用。「クレイジー・イン・ラヴ」と「ベイビー・ボーイ」はボーカル・ハーモニーの録音はパット・トラヴァース・バンド、ヒューズ・スロールのパット・スロール。「ヒップ・ホップ・スター」でボッグ・ボーイの録音をしているのはジャズマタズのグールー。
 
LIVE AT WEMBLEY
2004年。アルバム収録曲3曲とリミックス等が収録されたCDが付いている。日本盤は「ライヴ・アット・ウェンブリー」というタイトルながら、CDにDVDが付いている体裁になっている。CDの「ウィッシング・オン・ア・スター」はローズ・ロイスのカバーで、ジェイ・Zもカバーしている。
 
 
CHECK ON IT
2006年。シングル盤。
 
 
DEJA VU
2006年。シングル盤。ジェイ・Zと共演。
2
B'DAY
2006年。アップテンポな曲が増え、バックの演奏に楽器の音が多くなった。雰囲気としてはロックの語法を使っている。女性歌手によるダンス音楽としてはとても質が高く、ビヨンセは歌唱力、作曲、編曲などをすべてハイレベルでこなしている。大きな人気を獲得するのは当然とも思える。「ゲット・ミー・バディード」「シュガ・ママ」は力強いボーカルで、声の限界に近づく歌い方だ。「フリーカム・ドレス」もいい曲。ボーナストラックを除くと10曲で38分。
 
IRREPLACEABLE
2007年。シングル盤。2曲ともアルバム収録曲と同じ。日本盤はDVD付き。
 
B'DAY
2007年。最初に発売されたアルバムに新曲を5曲追加した新装盤。「ビューティフル・ライアー~華麗なる反撃」は女性ラテン歌手シャキーラと共演。バイオリンが使われ、中東風のメロディーが入る。「ウェルカム・トゥ・ハリウッド」はジェイ・Zと共演。「フロウズ・アンド・オール」は古風なシンセサイザーを使い、70年代のサイケデリック・ロック風の雰囲気がある。「イフ」は歌い上げるバラード。「ワールド・ワイド・ウーマン」はビヨンセとしては普通の出来。「ゲット・ミー・バディード」「フリーカム・ドレス」「シュガ・ママ」が連続して並んでいるので、強力なボーカルが堪能できる。
 
 
BEAUTIFUL LIAR
2007年。邦題「ビューティフル・ライアー~華麗なる反撃」。シングル盤。女性ラテン歌手シャキーラと共演。
 
 
THE BEYONCE EXPERIENCE LIVE
2007年。ライブDVD。日本盤はリミックスCDが付いている。
3
I AM...SASHA FIERCE
2008年。2枚組で63分。1枚目は8曲で33分、2枚目は8曲で29分。1枚でも十分に収まる量だが、2枚に分けた意味は曲調、雰囲気の違いにある。使われる楽器も異なっている。1枚目はミドルテンポでアコースティックギターやピアノ、ドラムが多い。バラード集というイメージ。2枚目はコンピューターを使った現代的なサウンドで、ダンスを意識した編曲になっている。2枚ともビヨンセのボーカルを十分にいかしており、他の女性ボーカルと歌唱力の差を見せつけている。1枚でも収まる曲を2枚に分け、それを「私は私」のようなタイトルにしたのは、ビヨンセの人間としての多面性を示すためだろう。63分の分量で2枚組を実現できるのはビヨンセだからだろう。
 
I AM...YOURS AN INTIMATE PERFORMANCE AT WYNN LAS VEGAS
2009年。2枚組ライブ盤。DVDもついている。CD2枚で100分あり、DVDには1枚目の全部と2枚目の半分が収録されている。バックのミュージシャンやダンサーと十分なリハーサルを行い、ショーとしての完成度を高めた一流のライブだ。スタジオ盤では聞けない12分の「デスティニーズ・チャイルド・メドレー」も含まれ、その場限りの特別な演出をCDにもDVDにも収録している。「デジャ・ヴ・ジャズ」はデューク・エリントンの「スウィングしなけりゃ意味がない」を演奏している。観客が1500人なので大歓声ではないが、観客との掛け合いも楽しい。
4
4
2011年。人格を押し出した前作のような性格付けがなくなり、エンターテイメント性とボーカルのうまさを前面に出した曲が多い。声の力強さ、表現力を生かすためか、演奏は控えめだ。曲と演奏とボーカルを三位一体で高品質にするのではなく、あくまでもボーカルが中心という作り方だ。「ベスト・シング・アイ・ネヴァー・ハド」「スタート・オーヴァー」は声量で勝負。「ラヴ・オン・トップ」はジャクソン・ファイヴのような曲。「ラン・ザ・ワールド(ガールズ)」収録。
5
BEYONCE
2013年。極めて享楽的、個人的な歌詞で、高い教育を受けないまま歌手になった女性の認知構造や世俗性を分かりやすく示す。客観的視点はなく、「今・ここ・私」に限りなく密着する。1990年代後半から2000年代のギャングスタラップで、男性ヒップホップアーティストが示した自己中心的、顕示的な感覚を、ビヨンセがポップスで実践している。サウンドに特段の変化はなく、2010年代の若年層向けポップスとしてはごく普通だ。歌唱力はあるかもしれないが、それを褒め称えれば曲の内容に連座する。一般的に、世界のトップだった歌手がトップとは言えなくなったとき、注目されるところは分かりやすい面から分かりにくい面に移る。トップでなくなるということは感覚的部分で既視感が強くなることであり、それはサウンドと見た目という分かりやすい面が注目に値しなくなるということだ。そうなれば、次に目が行くのは分かりにくい面、思考的部分、想像的部分であって、音楽においては歌詞の内実や曲の構造、図像解釈学的視覚であり、全体のメッセージ性になってくる。ポップス、ロック、ソウル、ヒップホップで、個人性を前面に出した内容を「リアル」だと肯定するのはたやすい。それがアーティストの意図しないところでメッセージ性を発していることもあるだろう。しかし、どう見ても豪勢な振る舞いであるビヨンセは、世俗的であることの悲しさがどうしても前面に出てしまう。日本盤は2014年発売。
6
LEMONADE
2016年。アフリカ系であることと女性であること、すなわち二重の従属的立場であることをアルバムの内容に反映させた。アフリカ系、女性という立場はそのまま人種問題と女性問題につながる。いずれも多くのアーティストが度々取り上げてきたので、ビヨンセが取り上げたことに特段の新しさがあるわけではない。しかし、白人、男性という支配的立場に無自覚、無反省な振る舞いが増えた2016年以降は、ビヨンセがあらためて取り上げる意味も大きくなってくる。今後、行動が伴うかどうかがアーティストの価値を左右するだろう。サウンドはソウル、ロック、クラブミュージックなど、全方位外交だ。ケンドリック・ラマー、ジェイムス・ブレイク、ジャック・ホワイトがゲスト参加している。主なジャンルの大物アーティストを揃えたところはビヨンセの知名度によるところだろう。

HOMEご意見はこちら → webmaster@hardrockheavymetal.com