THE ANIMALS/ERIC BURDON&THE ANIMALS

  • ボーカルにエリック・バードン、キーボードにアラン・プライスを抱えるイギリスのロックンロール、ブルースバンド。5人編成。
  • ビートルズ、ローリング・ストーンズ、キンクスなどとともに1960年代中期のブリティッシュ・インヴェイジョンを構成するバンド。
  • カバー曲が多く、1920年代から50年代のブルース、ロックンロールに傾倒する。「朝日のあたる家」「悲しき願い」のヒットで有名。

1
THE ANIMALS

1964年。イギリスでのデビュー盤。ジョン・リー・フッカー、ファッツ・ドミノ、チャック・ベリー、レイ・チャールズ等のカバーを中心とするアルバム。シングル盤でヒットした「朝日のあたる家」はアルバムの収録曲ではないが、2013年の日本盤にはボーナストラックに入っている。この当時、バンドのメンバー全員が安定した演奏力を持っていることは珍しく、ザ・バーズのようなバンドでもデビューできたことを考えると、ロックンロールを安心して聞けること自体が素晴らしいことだと言える。オープニング曲の「ストーリー・オブ・ボ・ディドリー」はボ・ディドリーとロックンロールの歴史を6分近くかけて歌う。歌詞にはボブ・ディラン、ペイオラ事件、ビートルズ、ローリング・ストーンズが出てくる。

THE ANIMALS

1965年。邦題「朝日のあたる家」。イギリスでのデビュー盤から「ライト・タイム」を外し、シングル曲3曲を追加した日本独自盤。オープニング曲はシングル曲である「朝日のあたる家」となっている。ジャケットはアメリカ盤を流用している。

2
ANIMAL TRACKS

1965年。邦題「アニマルズNo.2」。ロックンロールのハードさ、ブルースのブルースらしさが前作よりも顕著に出ている。ロックンロールよりも「アイ・ビリーヴ・トゥ・マイ・ソウル」「ワーリード・ライフ・ブルーズ」のようなミドルテンポのブルースに聞き所がある。11曲のうち、オリジナル曲はエリック・バードンが作曲した「フォー・ミス・コーカー」のみ。ボーナストラックで「悲しき願い」「悲しき叫び」「朝日のない街」収録。

ANIMAL TRACKS

1965年。邦題「アニマルズNo.2」。日本での2枚目のアルバム。イギリス盤にはない「悲しき願い」「悲しき叫び」「ブルーな気持ち」を収録している。ジャケットはイギリスでのデビュー盤を流用している。

3
ANIMALISM

1966年。チャック・ベリーの「スウィート・リトル・シクスティーン」、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスの「アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー」などをカバー。「クラッピング」は手拍子と頬叩きの曲。ブリティッシュ・インヴェイジョンのバンドとしてポップなヒット曲を演奏させたいマネージャーのミッキー・モストと、ブルース、ロックンロールをやりたいエリック・バードンの意見が食い違い、エリック・バードンが自らアメリカのレコード会社と契約して出したアルバム。ボーナストラックにはシングル曲、アメリカ盤の「アニマライゼーション」収録曲等があり、グランド・ファンク・レイルロードの「孤独の叫び」で有名な「インサイド・ルッキング・アウト」、ブルースの「シー・シー・ライダー」が含まれる。

4
WINDS OF CHANGE/ERIC BURDON&THE ANIMALS

1967年。邦題「サンフランシスコの夜」。アニマルズ解散後、ボーカルのエリック・バードンがエリック・バードンとアニマルズを結成。ギター2人の5人編成。サンフランシスコのフラワー・ムーヴメントに対応したアルバムを作った。オープニング曲のイントロからシタールが使われ、アニマルズとは雰囲気が全く異なる。ロックンロール、ブルース「黒くぬれ」はローリング・ストーンズのカバー。これ以外の10曲はメンバー全員が共作したことになっている。「ペスト」はエリック・バードンが詩を朗読する。「ホテル・ヘル」は西部劇のようなトランペットが使われる。

5
THE TWAIN SHALL MEET/ERIC BURDON&THE ANIMALS

1968年。邦題「野性の若者たち」。オープニング曲の「モンタレー」と「スカイ・パイロット」の編曲がよく、ストリングス、ホーンセクションがうまく使われる。ベースが目立つようになったのは編曲がよくなったからというのもあるだろう。「オール・イズ・ワン」はサイケデリック・ロック。A面の5曲は4分前後のロック、ポップス、B面の3曲は6分から7分あり、サイケデリックの雰囲気が大きい。

6
EVERY ONE OF US/ERIC BURDON&THE ANIMALS

1968年。キーボード奏者のズート・マネーが加入し6人編成。アニマルズで最も社会性の強いアルバム。「移民の少年」はコックニーとジョーディ-の会話が挟まれているが、コックニーとジョーディーはともになまりがきつい英語をしゃべる人のことで、特定の人名ではない。イギリスではなまりのきつさが社会階級の低さを表す。歌詞の中の黒い川は、ロンドンの中産階級とコックニー、ジョーディーの労働者階級の間にある溝を表していると読み取れる。「ニューヨーク1963-アメリカ1968」は19分あり、アフリカ系の公民権運動とキング牧師の暗殺、元下級軍人の浅はかな発言、メンバーによる「自由」の叫び声が入る、この時代特有の不定型な曲。

7
LOVE IS/ERIC BURDON&THE ANIMALS

1968年。邦題「愛」。ギターとベースが抜け、ギターにアンディー・サマーズが加入し、5人編成。カバー曲が多く、「リバー・ディープ、マウンテン・ハイ」はアイク&ティナ・ターナー、「アイム・アン・アニマル」はスライ&ザ・ファミリー・ストーン、「リング・オブ・ファイアー」はジョニー・キャッシュ、「カラード・レイン」はトラフィック、「ラヴ・サムバディ」はビー・ジーズ、「時は流れて」はアルバート・キングほかのカバー。「双子座」は後にクォターマスがカバーする曲。「ラヴ・サムバディ」はエリック・バードン以上に女性ボーカルが大きな活躍をするが、誰が参加しているかは分からない。8曲目と9曲目はジャケットの表記が実際とタイトルも時間も異なっている。