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ANIMAL COLLECTIVE

1
SPIRIT THEY'RE GONE,SPIRIT THEY'VE VANISHED/AVEY TARE AND PANDA BEAR
2000年。パンダ・ベアーがパーカッションを演奏し、それ以外の音ろアヴェイ・テアーが演奏している。オープニング曲は中波の波長を故意に外したノイズ音が前面に現れ、ボーカル、アコースティックギター、パーカッションがその奥で演奏される。アコースティック楽器とボーカルは一般的なポップスに近いが、それに覆い被さるような電子音、人工音、ノイズが多くの曲で加えられている。電子音、ノイズのサウンド化がロックからフォークに及んできたことを示すアルバム。
2
DANCE MANATEE/AVEY TARE,PANDA BEAR AND GEOLOGIST
2001年。メンバーが1人増え3人編成。それぞれギター、ドラム、ミニディスクを担当し、全員にボーカル、シンセサイザー、エレクトロニクス、パーカッションの表記が加わっている。実験性が強くなり、一般的な人気を得ることを全く考えていないサウンド。リズムとメロディーを持つバンドアンサンブルは曲の一部として現れるが、全体として
3
CAMPFIRE SONGS/CAMPFIRE SONGS
2003年。メンバーが1人入れ替わり、アコースティックギター兼ボーカルが3人いるグループとなった。アコースティックギターで弾き語りをするが、メロディーに大きな起伏をつけているわけではないので、実際に語っているようなサウンドになっている。前衛的ではないが一般性はまだ獲得できない。
4
HERE COMES THE INDIAN
2003年。これまでに関わったメンバー4人が全員参加し、アニマル・コレクティヴとして発売した。「インファント・ドレッシング・テーブル」は徐々に盛り上がり、ボーカルの多重録音で「パニック」につながっていく。12分ある「トゥー・セイルズ・オン・ア・サウンド」もピアノとノイズが盛り上がっていき、3分から4分かけてフェードアウトしていく。「スリッピ」はロック。注目すべき曲は増えてきた。
SPIRIT THEY'RE GONE,SPIRIT THEY'VE VANISHED/DANCE MANATEE
2003年。「スピリット・ゼイアー・ゴーン、スピリット・ゼイヴ・ヴァニッシュト」と「ダンス・マナテー」を2枚組にして再発売。日本盤は2006年発売。
5
SUNG TONGS
2004年。アヴェイ・テアとパンダ・ベアの2人になった。アンサンブルに重点を置き、やや前衛的ながらもポピュラー音楽に近づけようという意図がみられる。特にオープニング曲の「リーフ・ハウス」、2曲目の「フー・クッド・ウィン・ア・ラビット」、「キッズ・オン・ホリデイ」はポップス、ロックとして十分な話題性を持つ。このアルバムで日本デビュー。
6
FEELS
2006年。4人のほか、ピアノ、バイオリン奏者が参加している。さらにポップになり、オープニング曲から4曲目までは踊ることも可能なロックだ。「グラス」はヒット性が高い。5曲目から8曲目までは「キャンプファイア・ソングス」「ヒア・カムズ・ジ・インディアン」のころに似た曲になるが、ピアノやエレキギターがタイミングよく入るため、以前よりも聞きやすい。「バンシー・ビート」は長いが構成はシンプルだ。
7
STRAWBERRY JAM
2007年。エレクトロニクス、シンセサイザーとドラムを中心に音を作り、ギターの出番は少ない。エレクトロニクスとシンセサイザーは音階や長さが制御され、これがサウンドに整合感を与える。不協和音を長く取り入れることはなくなり、ポピュラー音楽としての分かりやすさが大きく上がった。一部に理解されるアーティストから多数に理解されるアーティストになり、同時にポピュラー音楽の先端をなす数あるアーティストのひとつとなった。
8
MERRIWEATHER POST PAVILION
2009年。前作の整合感とポップさを保ちながら、使う音の素材を大量に詰め込んでいる。楽器の音を含め、サンプリングした音、エレクトロニクスによる人工音、打楽器音を敷き詰め、コーラスを多用したボーカルでポップな、前向きな曲に仕上げている。アナログ楽器がエレクトロニクスや電子音に変わっただけで、多数の音を重ねた集合音楽としてはクラシックの交響楽と変わらない。聞こえてくる音としてはシンセサイザー、キーボードが前面に出てくるため、高揚感を持ったサウンドになればそれは(もともとの意味から離れた、単にサウンド傾向としての)サイケデリックロック、ポップスということになる。60年代後半、80年代後半にもサイケデリック、アシッドのブームがあったので、20年ごとに出てくるブームの一端を担っているとも言える。
9
CENTIPEDE HZ
2012年。パーカッションの量が増え、音の密度が高いサウンドとなった。パーカッションは高揚感と焦燥感を生む。メンバーの誰が何の音を出しているのかという、20世紀的な問いが無意味になりつつあることを、「メリウェザー・ポスト・パヴィリオン」とこのアルバムで示している。「フィールズ」以前に比べればポップになっているが、まだ万人受けするサウンドではない。
10
PAINTING WITH
2016年。ボーカルの使い方を進歩させ、声を楽器と同じように1拍ずつ割り当てる。「メリウェザー・ポスト・パヴィリオン」のころは誰がボーカルをとるにせよ、ボーカルは歌詞を歌い、言葉の流れを認識しながら音にしていた。ボーカルを重ねてハーモニーを作ることについても、伝統的な多声音楽の範囲内だった。このアルバムでは、例えば「ライイング・イン・ザ・グラス」では文を単語に分解し、その断片を異なるメンバーが交差するように歌いながらボーカルとして構築している。「サミング・ザ・レッチ」「リサイクリング」は同じ歌詞を異なるメロディーで、単語ごとに交互に歌っている。全体的にボーカルハーモニーの技巧を重視したサウンドで、多くの部分が2声以上のハーモニーとなっている。「ストロベリー・ジャム」や「メリウェザー・ポスト・バヴィリオン」よりも聞きやすいエレクトロニクスのサウンドなので、音楽の革新性や時代性を、楽器の演奏や音の加工、編集方法、曲の構成、音の方向性などに見出そうとする聞き方をすれば高い評価にはならないだろう。しかし、バンドがこのアルバムでやろうとしていることがボーカルハーモニーの開拓ならば、心性は依然として挑戦的だ。

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